5W1H (+1H)
5W1Hとは、いまさら説明するまでもないことですが、Why、What、Who、Where、Whenのそれぞれの頭文字をとった5Wに、Howの1Hを加えたものであり、文章を構成する際などの基本的な要素として用いられます。マーケティングにおいても、なぜ(Why)、何を(What)、誰が(Who)、どこで(Where)、いつ(When)、どのようにして(How)といった要素を捉えることにより、マーケティング戦略策定、計画立案を、モレなくダブリなく行なうことができます。また、この5W1Hに、実務の分野においては重要な要素である「いくらで(How much)」といった金銭的要素を加えたものを、5W1H (+1H)もしくは5W2Hとして捉えることができます。
マーケティングに5W1H (+1H)は欠かせない
マーケティングの考え方に、R(リサーチ)⇒STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)⇒MM(マーケティングミックス)⇒I(実行)⇒C(コントロール)で示されるマーケティング・プロセスがあります(こちらを参照ください)。リサーチによって事実を集め、その事実に基づきSTPでのマーケティング戦略の策定、MMでのマーケティング施策のアクションプランの作成を行います。ここまでが計画のフェーズだとすれば、そうした計画に基づく施策の実行を行ない、さらに仮説検証、効果検証による施策のコントロールを行なうことが、マーケティングにおける実行のフェーズにあたります。
ここで重視していただきたいのは、前半の計画のフェーズにおいても、後半の実行のフェーズにおいても、事実を捉えることがマーケティング・プロセスの中に含まれているという点です。リサーチによって事実を捉える、施策の実行による効果を事実として捉える、この2つのプロセスがなければ、マーケティングは顧客の声に耳を貸さない、マーケターのひとりよがりになってしまいます。
この「事実を捉える」という点で役立つのが5W1H (+1H)です。はじめに書きましたが、5W1Hは文章を書く際の構成要素として用いられます。「誰が」「いつ」「どこで」「何を」「どのように」行なったかという形で、事実を5W1Hの形式で捉えることは、顧客の「購買シーン」「利用シーン」を捉える意味でマーケティングにとっても非常に重要です。

VOCを5W1H (+1H)で捉える
VOC(Voice of the Customer)という言葉があります。具体的には、顧客の見方、ニーズを反映したデータ(苦情、アンケート結果、コメント、市場調等)を元に、顧客の要求、競合他社の活動、市場の変化などを継続的に追跡する戦略を意味します(コラム 企業ホームページで自社の価値、機会、信頼を最大化する(2)を参照ください)。
VOCというと、単純に顧客の声に耳を傾けることだと誤解しがちです(実際、私も誤解していました)。しかし、実際には、顧客の言うことを鵜呑みにしたのでは、顧客の事実、特定の状況において顧客に発生する「用事」を見つけ出すことはできません。顧客に意見を聞いたのではダメなのです。意見と事実は異なるからです。
顧客から事実を引き出すためには、正しい質問を行なわなくてはなりません。5W1H(+1H)の形式で、「誰が」「いつ」「どこで」「何を」「どのように」「いくらで」買ったか、「誰が」「いつ」「どこで」「何を」「どのように」使ったかを聞くべきなのです。そうした質問を顧客に投げかけることにより、顧客に発生した「用事」が起こった状況を聞き取る、読み取ることが、真にVOCを捉え、それをマーケティングに活かす重要なポイントなのです。
さらに、残る1つの要素である「なぜ」については、顧客の意見を聞くべきではありません。「なぜ」については、正しい事実はないからです。「なぜ」は、マーケターが事実を元に考え出すべき仮説であり、仮説の抽出こそがマーケターの腕の見せ所だからです。
このように、5W1H (+1H)は、特定の状況に発生する顧客の「用事」を捉えた事実に、マーケターの仮説(「なぜ」)をプラスした、マーケターの意見(アイデア)を明示するツールとしても活用できるのです。(つづきへ→)
