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Adobe MAX 2011 参加報告

2011年11月4日

Flashデベロッパー
黄 聖實

10月3日〜5日の3日間、Adobe Systems(以下、Adobe)が開催するAdobe MAX 2011(以下、Adobe MAX)に参加してきました。

Adobeは、印刷やグラフィック、映像、ウェブなど様々な分野で使用されるコンテンツの制作ツールを開発する、ソフトウエアの会社です。代表するソフトウエアとしては、Photoshop、Illustrator、Dreamweaver、Flash、Premiereなどで、各分野の専門家たちはそれらのツールを使うことで多様なコンテンツの制作が可能になります。

Adobe MAXでは、業界の最新技術が共有され、その技術がAdobeで開発されたソフトウエアを通して、どれくらい簡単にできあがるかが説明されます。参加者はここで、現在話題になっているテーマやこれから開発されるツール、そしてその内容をベースにこれから自分がやれることを考えることができます。

そこで本コラムでは、今回のAdobe MAXで発表された情報のうち、以下の3つを中心に説明したいと思います。

  1. Adobe Creative Cloud
  2. Flash Platformの進化
  3. HTML5の受け入れ

Adobe Creative Cloud

まず初めに発表されたのは Creative Cloudでした。

Cloudサービスとは、ネットワーク経由でネットワーク上のサーバー群にいろいろなデータを登録しておけば、ネットワークがつながっている場所ではどこからでもそのデータを読み込むことができる、ウェブベースのサービスです。Cloudサービスが既存のサービスと違うのは、様々なプラットホームをサポートすることと、同期という概念があることです。ウェブベースのサービスですので、ウェブができる環境ならそのプラットホームと関係なく使用できますし、効率のためにローカルマシンで活用することも可能です。この際に使用されるのが同期です。ローカルマシンを同期させると、次の作業に必要なデータがローカルマシンからウェブに転送され、その転送されたデータを元に他の環境から続けて作業ができます。

Creative Cloudは、このCloudサービスを利用しており、その使い方に合わせて発表は「Creative Service」「Creative Community」「Creative Apps」という3つのテーマで説明されました。

Creative ServiceはAdobeが提供するCloudサービスで、このサービスを利用すると、タブレット用の電子書籍アプリを書き出したり、エンドユーザーにインストールされてないフォントをブラウザ上で表示したりすることができます。

Creative CommunityはAdobeが提供するCloudのスペースで、Adobe製品を利用して制作されたファイルを確認したり、共有したり、SNSに投稿したりすることができます。

Creative Appsはタブレットとデスクトップの特性を生かし、企画や制作、グラフィックの編集などがCloud上で利用できる製品です。

企画者/デザイナ/デベロッパーは、お互いのアイデアや中間成果物をCreative Cloudを利用して同期させることで、より早く、そしてより正確にみんなの手元に届けることができます。

Adobeで開発されてきたツールは制作時間を短縮してくれました。Creative Cloudは、現場で使用するにはセキュリティやサービス費用などの現実的な問題も考えなければならないものの、プロジェクトに関わるスタッフ同士のコミュニケーションを含め、コンテンツ制作に必要な全工程の時間を短縮してくれることでしょう。

Flash Platformの進化

AdobeはAdobe MAX 2009で、AIR(Adobe Integrated Runtime)を利用してiOSとAndroid OSのアプリ制作をサポートすることを発表しましたし、去年のAdobe MAX 2010では、BlackBerry PlaybookやTVなどのデバイス追加と共に、重いと言われたFlashコンテンツを各プラットホームに最適化していることを発表していました。今回、Flash Platform部分で紹介されましたStage3DやANE(ActionScript Native Extensions)、Alchemyなどもその延長線にあると思われます。

Stage3Dは、グラフィック処理 – 画面に表示する際に必要な演算処理 - をGPU(Graphics Processing Unit)に任せることで、CPU(Central Processing Unit)にかかる負荷を下げてくれます。制作者1人でデザインから開発までを行なっていた今までのプロセスから、デザイナと開発者を分けてお互いの分野に専念できるように改善したと考えれば良いでしょう。Stage3Dを使って作成されたコンテンツ例としてはNissan Juke 3Dが挙げられます。※コンテンツを見るには最新のFlash Player が必要です。

ANEはスマートフォンのバイブレーションなど、Flashでは実現できないNativeの機能をC/C++及びJavaなどのNative Codeを利用して実行することができます。

通常の構造では、ネイティブ環境(Desktop,iOS,Android OS…)の上位にRuntime Pleyerがあり、その上位にFlash Contents(AIR)があった。ANEが追加された構造では、Runtime PlayerとFlash Contents(AIR)の間にANEが追加される構造のほか、ネイティブ環境の上位にANEがあり、その上位にFlash Contents(AIR)がある構造も可能になる

それから、Alchemyを利用するとC/C++で作成されたソースをAVM2(ActionScript Vitual Machine 2)で実行できるように変換できます。変換されたコンテンツはFlash PlayerとAIRで実行できます。例えば、PlayStation用プラットホームに開発されたゲームソースを、簡単にFlash用のコンテンツに変換してウェブから楽しめるようにできます。

※3D Unreal Engineで有名なEpic Games社も、Adobe MAXを通してFlash Playerのサポートを発表しました。

HTML5の受け入れ

FlashとHTML5&CSS3(以下HTML5)は、いつも話題になっています。

ウェブをベースにする分野でHTML5は強力な機能を持っていて、実際に多くのウェブサイトのFlashコンテンツが、今はHTML5に置き換えられています。

これに対しAdobeは、FlashのようにタイムラインベースでHTML5のアニメーションが制作できるEdge、HTML5をベースにしたモバイルアプリが生成されるフレームワークPhoneGap、Fireworksで制作されたグラフィック要素からすぐにCSS3のソースが確認できるFireworks CSS3 Mobile PackなどのHTML5関連ツールも発表しました。さらに、W3CにはCSS3関連の機能を提案したりもしました。

上でも述べたように、Adobeは、制作者のためのソフトウエアを開発する会社です。つまり、現在の制作環境が必要とするならいつでもその環境に合わせていきますし、そのスタンスはHTML5に対しても異なっていないことを今回、改めて確認させてくれたと思います。