CSUN 2015聴講セッション紹介2 - Cognitive Accessibility 101

アクセシビリティ・エンジニア 黒澤

この記事ではCSUN 2015の2日目(3月5日)に行われたセッションからCognitive Accessibility 101(認知のアクセシビリティ 初級編)を紹介したいと思います。このセッションは大変人気で会場に参加者が入りきらず、見られなかった参加者向けの再演が3日目に行われたのことです。

このセッションは、BBCのJamie Knight氏が発表していました。彼の話は、人の認知(cognition)には大きく3つのプロセス、

  • Receiving(受容)
  • Processing(処理)
  • Actioning(行動)

があるという話から始まりました。そして、これらのプロセスを意識してデザインすることは、認知障害などの有無に関わらず全てのユーザーに影響するという話が続きました。例えば、酔っぱらっている場合や疲れている場合、人の認知能力は落ちるとのことです。

さて、Knight氏自身は、文字を流し読みできずに全て読んでしまう、などの認知に関わる障害をもっているとのことです。そこで、彼は

  • スクリーンリーダーを使って文章を読み上げる
  • ズーム機能やSafariのリーダー機能を使って関係する項目のみ画面に入るようにする

などを行っているとのことでした。また、スマートフォン向けのページでは、情報量が限定されていることが多いため、スマートフォンで仕事をすることも多いとのことです。

セッションでは、彼の経験を踏まえて、Webサイトなどのデザインでは次の点に注意すると良いという話がありました。

  • 明確な知覚されたアフォーダンス(ボタンであることがすぐわかるボタン)
  • 意思決定が必要な項目(オプションなど)を限定したり、やり直す機能の提供
  • 一連のステップのなかで、今どのステップにおり、残りのステップがいくつあるかを明示

紹介された内容はユーザビリティを高める一般的な手法と言えますが、当事者から発表されたことは重要だと思います。社内でもアクセシブルなサイトはユーザビリティも高いという話題がでるときもありますが、このセッションの内容を踏まえつつ浸透を図っていきたいと思います。

2015年3月12日追記:発表者のJamie Knight氏が、講演内容に関するブログ記事を公開しています。英語の記事ですが、セッション内容が気になる方は合わせてご覧ください。