YouTube広告トップ10

映像プロデューサー 田中

2015年6月、 YouTubeは世論調査に基づく過去10年の広告トップ10を発表しました。

1位は、トルコ航空が制作したCM「Kobe vs Messi: Legends on Board - Turkish Airlines」。バスケットボール界のスター "コービー・ブライアント選手" と、サッカーボール界のスター "リオネル・メッシ選手" が登場し、バトルを繰り広げるという内容。

2位は、アメリカ最高峰のスポーツイベント、スーパーボウルでTV中継の合間に放映されたスポットCM。毎年大きな注目を集めているが、中でも2011年のフォルクスワーゲン(VW)「The Force」は、ダースベーダーに扮した息子とその父親との愉快なやりとりを描き、スーパーボウルCMの"最高傑作"と言われている。

3位は、P&G傘下の生理用品ブランドAlwaysgaが制作した「Always #LikeAGirl」。「女の子らしく」("like a girl")という表現が、どのようなイメージを持たれているのかを調査するという実験。

4位は、Volvoが制作した"The Epic Split feat. Van Damme" アクション俳優として絶大な人気を誇ったジャン=クロード・ヴァン・ダムが180度開脚を披露する。

5位は、「Dove Real Beauty Sketches」。 "You are more beautiful than you think. ―あなたはあなたが思っている以上に美しい。"というメッセージをある実験を通して伝える作品。

1位から5位を見てみると、ジェンダーに敏感な視点から作られた「実験」作品が2本もランクインしていることに気づきます。「ジェンダー」とはそもそも、生物学的な性別(セックス)に対し、社会的・文化的につくられる性別のことですが、「性別」による差別に対して敏感なアメリカだからこそ、制作された作品と言えます。この二つは、すべての人々が生きやすい社会を目指したものだからこそ、多くの共感を得たとも言えるでしょう。

また、このような「実験」では有名な俳優は必ずしも必要ではなく、視点次第で低予算で制作することができます。こういった社会的「実験」動画はまだまだ日本での事例は多くありません。そういった意味では、今後の可能性にあふれた分野と言えるでしょう。