画像の代替テキストを考えよう(2025年5月27日開催)
2025年5月27日、「画像の代替テキストを考えよう」をオンラインで開催しました。
2024年4月の改正障害者差別解消法施行を機に、アクセシビリティへの対応を強化する企業は増えています。そしてアクセシビリティ改善の取り組みの1つであり、視覚障害者や検索エンジンにも情報を正しく伝える「代替テキスト」の役割は極めて重要です。本セミナーでは、代替テキストの意義や記述のポイントなどを、実例を交えて解説しました。

木達の講演の様子
代替テキストとは、Webアクセシビリティ向上における基本であると説明し、その重要性や考え方を話しました。また、W3Cが作成した資料「altディシジョンツリー」の5つの質問を紹介。当社のWebサイトで実際に掲載しているものを例に、画像がどの質問に当てはまるか考えることによって、最適な代替テキストを決定できることを紹介しました。Webアクセシビリティの改善は、小さく始めて大きく育てることが重要であるとし、まずは画像の代替テキストから取り組みましょうと訴え、セミナーを終了しました。
エグゼクティブ・フェロー 木達からのコメント
セミナーへのご参加、誠にありがとうございました。また、残り時間を見誤ったため、質疑応答の時間を設けることができず、大変失礼いたしました。改めて、この場を借りてお詫びいたします、申し訳ございませんでした。参加をお申し込みいただいた際にお寄せいただいたご質問、2問にまずお答えします。
キャプションを配置した画像への代替テキストは必要か否かを教えてください。アクセシビリティ的には不要と考えていますが、SEO的に影響ないのかを知りたいです。
キャプション(写真を説明するテキスト)が、写真の代替テキストと完全に同じ文言になってしまうようであれば、代替テキストは不要(空にしていただいて結構)です。ただし、画像がリンクの一部になっている場合は、代替テキストがリンクテキストになるため、リンク先を理解できるよう、代替テキストを提供しましょう。なお、画像とキャプションが単一のリンク、同じa要素内容としてマークアップされている場合は、キャプションがリンク先の説明として必要十分であれば代替テキストは空でもかまいません。
SEO的な影響の有無については、お答えしにくいというのが正直なところです。私がSEOの専門家ではないということもありますが、Googleをはじめとする検索サービスにおいてSEO的に何が好ましいか、好ましくないかは、その多くが不可知です。またいつ検索サービス側で仕様を変更するとも限らず、お答えした内容が誤りになる可能性もゼロではないからです。
そのうえで、あえて個人的な見解を申し上げるなら、SEO的な影響はない、控えめにいっても僅かであると推察します。基本的に、ユーザーが不利益を被るようなことを検索サービスがするはずがありませんから、たとえば代替テキストが空であってもキャプションの内容が適切である限り、当該ページの検索順位が下がるようなことは起こりにくいと考えます。
アクセシビリティ向上の前向きで妥当な導入について
具体的に導入の何をお知りになりたいか、詳細が書かれておりませんでしたので、なかなかお答えしにくいご質問ではあります。どうすれば組織が前向きにアクセシビリティ向上に取り組めるか、上司や経営層を説得し予算を引き出せるか......という趣旨のご質問と想像のうえ、お答えします。
Webにおいてアクセシビリティ向上は、障害者や高齢者といった一部のユーザーのためだけに必要な施策ではありません。もちろん、取り組むことで障害者や高齢者にとっての利便性は確実に向上しますが、ほかのユーザーにとっても利便性が向上する可能性があります。つまり、あらゆるユーザーにとっての使いやすさを全般的に高め、コンバージョンを向上させる効果が期待できます。ECサイトを例に申し上げれば、アクセシビリティを高めたほうが売り上げの向上が期待できるのです。これは、極めて前向きな動機になると思います。
すでに申し上げた考え方を「攻めのアクセシビリティ」と位置付けるなら、「守りのアクセシビリティ」とでも呼ぶべき考え方、動機も存在します。それは法令遵守であり、たとえば昨年4月に施行された改正障害者差別解消法への対応です。情報アクセシビリティは同法において環境の整備の一環として、努力義務として求められていますから、そういった法律への対応というのも、「攻めのアクセシビリティ」ほどではなくとも組織にとって前向きな理由になり得ると私は思います。
また開催後のアンケートを通じ、以下のご質問をいただきました。
altを空にするときは、alt だけの表記とするのか、alt=""とするのは、どちらが良いのでしょうか?
どちらが良い、ということはございません。短くaltとだけ記したほうが、僅かながらHTMLファイルの容量なり、表示の際に必要な通信量の節約にはなりますが、アクセシビリティ的な意味で期待される結果はどちらの書き方でも同じです。
アンケートにお寄せいただいたコメント(一部)
- なかなかaltに焦点を当てたセミナーは見かけたことがなく、貴社ならではのセミナーであると感じました。具体的な事例が多く、自社の対応を考えるうえで大変参考になりました。
- いつもalt属性の値に悩むのですが、コンテンツを書いた人が考えるべきという点で納得しました。ありがとうございました。
- 画像の代替テキストについての知識が深まりました。また、最初から高い目標を設定しがちなので、その点注意していきたいと思います。