AI時代の発信力:microCMS紹介セミナー(3月5日開催)
2026年3月5日、当社テクノロジーアンバサダーの榛葉とX-tech推進本部 副本部長の加藤が登壇し、CMSの導入・リプレイスを検討する企業の担当者を対象に、『AI時代の発信力:microCMS紹介セミナー』をオンラインで開催しました。株式会社microCMSの中野氏と中嶋氏をゲストに迎え、CMSの選定ポイントから、microCMSの基本機能・特長、さらにAI連携を見据えた最新動向まで、デモを交えてご紹介しました。

加藤と榛葉の講演の様子
はじめに、CMSの利用状況と選定の考え方について解説しました。CMSは多くのWebサイトで利用されており、現在では一般的な仕組みとなっています。一方で、保守・運用コストや価格の高さといった課題も多く見られます。こうした背景から、CMSの選定では安全性を確保しやすいものを選ぶことが、結果的に運用コストの削減につながると考えます。そして、「安全性・利便性・経済性」という優先順位で検討することが重要であると主張しました。これらに加えて「将来性」も重視すべき観点として挙げ、継続的な機能更新や環境変化への柔軟な対応が可能なCMSを選ぶ重要性について強調しました。
次に、株式会社microCMSの中野氏よりmicroCMSの紹介とデモンストレーションが行われました。ヘッドレスCMSの特徴として、フロントエンドとバックエンドを分離し、コンテンツをAPIで管理・配信する構造により、高い柔軟性と拡張性を実現できる点を説明されました。microCMSは日本製のSaaS型サービスとして、権限管理やワークフロー機能、セキュリティ対応、サポート体制などが充実している点が強みです。構造化されたコンテンツ管理により多様なチャネル展開が可能であり、将来的な拡張やAI活用にも適した基盤であることを示されました。
最後に、「AIフレンドリーなCMS」をテーマにディスカッションを行いました。AIとCMSを接続する仕組みであるMCPサーバーが、AI時代において重要になると強調しました。MCPサーバーはAIエージェントとCMSをつなぐ共通規格であり、従来は人が行っていたコンテンツの取得や作成、更新といった操作をAIが実行できるようになります。具体的には、記事の一括更新や多言語展開、他CMSからのデータ移行といった作業を効率化することができます。デモでは、日本語記事をもとに英語・中国語の記事を自動生成し登録する様子を紹介し、AIによるコンテンツ運用の実用性を紹介しました。
そして、Webサイトにおいては正確で一貫性のある情報発信がこれまで以上に重要になる中で、その中核を担うCMSの役割も変化しつつあります。CMSは単なる管理ツールではなく、「信頼できる唯一の情報源(SSOT)」として、AIと人の双方に正確な情報を提供する基盤へと進化していくとまとめ、セミナーを締めくくりました。
X-tech推進本部 副本部長 加藤、テクノロジーアンバサダー 榛葉からのコメント
セミナーをご視聴いただき、誠にありがとうございます。今回はmicroCMS様をお招きしての共催ということもあり、大変、多くのお申し込みとご参加をいただきました。ヘッドレスCMSへの関心の高さを感じます。ご登壇いただきました株式会社microCMSの中野様と中嶋様に改めて御礼申し上げます。
ヘッドレスCMSをテーマとするセミナーは3回目となりますが、毎回、ご質問をたくさんいただきます。従来のCMSとは仕組みも運用も異なるため、具体的に検討しようとすると疑問にぶつかる方も多いようです。次回は、これまで寄せられた相談・実例をもとに、Web担当者の疑問にお答えするQ&Aセミナーを企画しています。
以下、今回のセミナーでいたいだいたご質問について、この場を借りてお答えします。
ご質問への回答
microCMSプランでS3やCDNの連携したいのですが可能でしょうか。
はい、可能です。
microCMSでは、Enterpriseプランのオプション機能としてAmazon S3連携機能が用意されています。これにより、管理画面からアップロードした画像を自社所有のS3バケットに直接保存し、独自のドメインや任意のCDN(CloudFront, Akamaiなど)経由で配信することが可能です。また、フロントエンド(Webサイト側)については「APIベース」であるため、フロントエンドをホスティングしているサーバーの前段に任意のCDNを配置してキャッシュさせることも、制限なく行えます。
- microCMSの行き先をテストサーバーと公開サーバーの2カ所を任意で選べるのでしょうか。
- microCMSで作った構造化データは、飛ばした行き先のサイトのCSSが自動で反映されるのでしょうか。
- 出し分けることが可能です。 microCMSのWebhook機能を活用することで、コンテンツの更新時にプレビューサイトと本番公開サイトの両方、あるいは片方に通知を送ることができます。フロントエンド側でAPIを叩く際に、リクエスト先を切り替えることで、プレビュー用のテスト環境と公開用の本番環境を完全に分離して運用するのが一般的です。
- CSSは自動では反映されません(フロントエンド側で制御します)。 microCMSは「ヘッドレスCMS」であり、「データ(中身)」と「デザイン(見た目)」が完全に分離されています。microCMSが提供するのはJSON形式の純粋なデータのみです。 そのため、受け取り側のWebサイトにあるCSSがそのデータに適用されるよう、フロントエンドエンジニアがコーディングを行う必要があります。逆に言えば、サイトのデザインをCMS側に縛られず、自由に設計できるのが最大のメリットです。
microCMSは「APIベースのCMS」と説明されていますが、管理画面上ではフォルダのような構造でコンテンツが整理されているように見えました。この場合、なぜ「APIベース」と呼ばれているのか、またどのような仕組みや機能によって実現されているのかを、改めて教えていただけますか。
管理画面はあくまで「入力インターフェース」であり、出力が「API」に特化しているからです。
従来のCMS(WordPress等)は、管理画面と「HTMLを表示する機能」がセットになっています。一方、microCMSは表示機能を持たず、「作成したコンテンツをAPI(URL)経由で取得する」という仕組みに特化しています。管理画面上のフォルダのような構造は、あくまで運用者がデータを管理しやすくするための「論理的な整理」です。裏側ではすべてのデータが構造化されており、開発者はAPIを通じて必要なデータだけを、必要な場所(Webサイト、アプリ、デジタルサイネージ等)に呼び出すことができます。
microCMSで作成したコンテンツは、デザインを含めた形はどこでプレビューできるのでしょうか。管理画面内で確認できるのか、あるいはフロントエンド側の環境と連携して確認する形になるのかを教えてください。
フロントエンド環境と連携し、管理画面から「画面プレビュー」ボタンで確認できます。
microCMSの管理画面自体にレンダリング機能はありませんが、「画面プレビュー設定」という機能があります。あらかじめプレビュー用のURL(開発中のサイトなど)を登録しておくと、管理画面の「画面プレビュー」ボタンを押した際に、「下書き状態のデータ」を含んだ状態で実際のサイトデザインを確認することができます。
ClaudeのエージェントがMCPを利用してCMSの移行作業を行っている例を拝見しました。この場合、microCMSの中にエージェント機能があるわけではなく、Claudeなど外部のAIツールを別途契約・設定したうえで連携して利用する、という理解でよろしいでしょうか。
その通りです。microCMSの外部でAIが動く構成になります。
microCMS自体にAIエージェントが内蔵されているわけではありません。MCP(Model Context Protocol)という仕組みを使い、Claudeなどの外部AIツールとmicroCMSの「マネジメントAPI」を接続します。AIがこのAPIを通じてmicroCMSの操作権限を持つことで、「既存のCMSからデータを読み取り、microCMSの形式に合わせて登録する」といった一連の作業を自動化できる、という仕組みです。
レガシーなCMSからデータ移行は可能でしょうか?
はい、可能です。
microCMSには、プログラムからコンテンツを操作できる「マネジメントAPI」や「書き込み用API」が用意されています。
- 旧CMSからデータをエクスポート(CSVやJSON形式など)
- microCMS側で受け皿となるスキーマ(型)を作成
- スクリプトやAPIを叩くツールを使い、一括でデータをインポート
という手順で移行を行います。また、小規模な移行であれば、管理画面からのCSVインポート機能も活用いただけます。
また、MCPサーバーを活用したAIエージェントによるデータ移行も今後の実用化が見込まれます。
今後ウェブアクセシビリティの基準としてJIS改正が行われる予定ですが、デモで拝見したAIエージェントによるコンテンツ登録の際にウェブアクセシビリティ(JIS規格AA準拠)に沿った登録は可能でしょうか。
AIのサポートにより、準拠しやすいコンテンツを作ることが可能です。
2024年4月の合理的配慮の義務化に伴い、アクセシビリティへの関心が高まっています。AIエージェントを活用することで、以下の作業を自動化・高品質化できます。もちろん、最終的な判断は人間が行う必要があります。
- 画像の代替テキスト(alt属性)の自動生成: 画像内容を解析し、適切な説明文を登録する。
- 適切な見出し構造の構成: 文脈を判断し、見出しレベル(h2, h3...)が飛ばないように構成する。
- 平易な表現への書き換え: 多くの人が理解しやすい言葉遣いに調整する。
ただし、アクセシビリティは「HTMLの構造」や「色のコントラスト」など、フロントエンド側の実装にも依存します。「AIの力を借りてアクセシブルなデータを作り、アクセシブルなフロントエンドで表示する」という両面の対策が重要です。
非常にページ数が多いWordPressからの移行を行う場合の具体的な工数やコストイメージなどがわかればありがたいです。
WordPressをどの程度カスタマイズしているかによって大きく異なるため、具体的な日数やコストを一律に示すことは難しいですが、工数が増えやすいポイントはいくつかあります。例えば、カスタム投稿タイプなどのコンテンツタイプが多い場合や、多数のプラグインを利用している場合、また画像点数が多い場合などです。一度移行用のスクリプトを実装できれば、その後はコンテンツを移行・入稿していく作業が中心となります。そのため、移行スクリプトの調整にどの程度時間がかかるかが、全体の工数を左右するポイントになると考えられます。
また、MCPサーバーを利用したコンテンツ移行も可能です。エージェントに対する移行指示書を細かく設定する必要はありますが、こうした方法を活用することで、移行作業の効率化も期待できます。
料金プランは4900円のプランが妥当だと思いますが、それでもMTから乗り換えた場合、どのようなことができるのでしょうか。スムーズに行く部分を教えてほしいです。比較検討したいため、できればMTのような既存のメジャーCMSのほうが優れている部分も教えてほしいです。
MTとの比較という観点では、表示部分の自由度がメリットとして挙げられます。MTでは専用テンプレートやMTタグを使用してページを構築しますが、ヘッドレスCMSの場合はその制約がありません。さまざまな言語やフレームワークと連携できるため、フロントエンドの実装を柔軟に行える点が特徴です。
一方で、MTのほうが優れているケースもあります。例えば、CMS内でテンプレート管理からコンテンツ出力までを一体的に扱えるため、フロントエンドの開発環境がなくてもサイト運用が可能です。これに対し、microCMSのようなヘッドレスCMSでは、フロントエンド側の開発環境を別途用意する必要があります。
アンケートにお寄せいただいたコメント(一部)
- microCMSの概要とCMS選定の際のポイントがよくわかりました。ありがとうございました。
- リニューアル検討にあたり、情報構造の重要性を改めて認識しており、AIエージェントのお話が魅力的でした。
- microCMSの仕組みが理解できました。また、AI時代のコンテンツ発信との関係についても整理されていて参考になりました。