デザインガイドライン/デザインシステム入門(4月16日開催)
2026年4月16日、当社エクゼクティブ・フェロー(CBO)の木達が登壇し、Webサイトの品質を改善したい方、ガイドラインの運用担当者を対象に、『デザインガイドライン/デザインシステム入門』をオンラインで開催しました。本セミナーではWebサイトにおいて一定の品質を保ち、継続的に運用していくための手法として、デザインガイドラインやデザインシステムとそれらの活用法を解説しました。

木達の講演の様子
講演は、「ブランディングとガバナンスの重要性」という話題からスタートしました。本セミナーにおいて、ブランドとは人々の脳内に形作られる価値やイメージであり、ブランディングはブランドを作るための活動すべてを指します。近年、ブランディングが重視されるようになった背景や、ブランディングに欠かせない品質である一貫性をもたらす手段として、ガバナンスが重要であることを解説しました。
次いで「組織の持続可能性に不可欠なデザインマネジメント」と題し、デザイン資源を管理し、デザイン目標を達成する取り組み=デザインマネジメントの必要性を解説しました。デザインマネジメントを実現する手段がデザインガイドラインであり、デザインシステムです。両者に含まれる内容を、Web上で閲覧できる実例を通じて共有もしました。
さらにはデザインガイドラインの作成プロセス、デザインガイドライン/デザインシステム運用上のポイントを解説。小さく生んで大きく育てることや、継続的な監査、更新、教育に取り組むことが重要であり、経営層を含め関係者全員を巻き込むことが必要、という言葉でセミナーを締めくくりました。
エクゼクティブ・フェロー(CBO)木達からのコメント
90分という、オンラインにしては長丁場のセミナーへのご参加、誠にお疲れさまでした、ありがとうございました。本セミナーでお伝えした内容が、皆様の担当業務において課題解決の糸口をつかむ、そのきっかけとなれば幸いです。
アンケートの「セミナーの時間は適切だと感じましたか」という設問で、「やや長いと感じた」と回答くださった方が複数いらっしゃったのは想定の範囲内だったのですが、「やや短いと感じた」方がいらっしゃったことに、驚きました。「1時間半は少し長いかなと思いましたがそれを感じさせない内容と進み方でした」との大変ありがたいコメントを頂戴し、恐縮です。
できるだけセミナーの時間は短くしたいものの、デザインガイドライン/デザインシステムの必要性や意義をご理解いただくためには、「なぜ」それが必要か、そこのところを丁寧に噛み砕いてお話しすることが不可欠と考えています。
質疑において、AI技術を絡めたご質問をいただきましたが、デザインガイドライン/デザインシステムの「ありたい姿」は、AI技術の影響を受け今後ますます変化していくことでしょう。単に既存のルールを守るのみならず、新たなルールの提案までもAI技術が担う日が来るかもしれません。動向を注視しつつ適宜、情報共有させていただきます。
ご質問への回答
デザインシステムやデザインガイドラインは、Webサイトの新規構築時やリニューアル時に導入すべきでしょうか。既存サイトの運用中でも導入できるのでしょうか。
新規構築やリニューアルのタイミングで導入するのが理想的です。見た目に限らず、情報構造や実装を含め、総合的にデザインルールを定義するタイミングですから、以後のルールの適用を推進しやすい利点があります。既存サイトに対し、デザインシステム/デザインガイドラインを後付けで導入することも可能ですが、守るべきルールと実態をどう整合させるかのバランスが難しく、難易度は相対的に高くなります。
デザインガイドラインは読まれにくい傾向があるため、AIによってチェックできるガイドラインチェッカーのような仕組みをセットで提供するのは有効でしょうか。
ガイドラインの遵守においてAI技術を活用するのは、有効です。実際、それに近しいものとして、ルールを遵守しながらUIパーツの一覧に基づき画面を構成するような仕組みが登場しつつあります。
今後、AI技術のさらなる進化に伴い、ガイドラインの理解や適用、さらには遵守状況のチェックまでをも自動化できる可能性は十分にあります。そうなれば、わざわざ人間がガイドラインを読み込んだり、個別に遵守状況を確認するといった負担は、大幅に軽減されるでしょう。
しかしながら、現時点ではあらゆるケースに対応できる完全なソリューションには至っておらず、どうしても人の判断や確認が必要となる認識です。当面はどこまでを機械化し、どこからを人間が判断・確認するかの線引きを意識しながら、全体を仕組み化されると良いでしょう。
デザインシステムを制作する側というより、使用・浸透させる立場なのですが、どういったことを意識して行動していくと役立てられるのでしょうか。
セミナー中に申し上げたとおり、本来デザインシステムは「手段」であって、「目的」ではありません。デザインシステムを利用すること自体が目的化してしまえば、いつの間にか本来の目的が忘れ去られ、せっかくの取り組みが形骸化してしまいかねません。従い、デザインシステムがなぜ必要なのか、組織にとって具体的にどのような課題を解決するためにデザインシステムを利用するのか、デザインシステムの「目的」を意識して行動されると良いでしょう。
弊社では、全社的なデザインマネジメントがまだまだ整備されていません。具体的には、ブランド部門、デジタルの制作部門、プロモーション部門に分かれており、全社横断での連携が十分とは言えません。 ブランド部門がVI(ロゴやデザイントークンなど、ブランドの核となる部分)を定義し、デジタル部門がそれをデザインシステムや具体的なコンポーネントに落とし込み、運用するという役割分担になるのかなと考えていますが、この理解でよいでしょうか。プロモーションも含めて、全社で一貫したデザインマネジメントを行うためには、どのような体制や役割分担が現実的でしょうか。
役割をどう分担するかに、一律の「正解」は無いと考えます。組織の歴史や文化、組織の現状に応じた、組織に固有の「最適解」は存在するはずですが、お書きいただいた内容だけから正確にお答えするのは困難なため、回答は差し控えさせていただきます。
全社で一貫したデザインマネジメントを行うための体制については、ぜひ横断的な体制の実現を目指していただきたいと思います。典型的な縦割り構造の組織であった場合、各部門が個別に部分最適化を進めるあまり、全体最適化の視点が弱まって、最終的にデザインマネジメントがうまく進められなくなる懸念があります。そうならないためには、例えば各部門の代表者から構成される横軸組織を新規に立ち上げ、その横軸組織が中心となってデザインマネジメントを全社的に推進する、といったことが考えられます。
アンケートにお寄せいただいたコメント(一部)
- ガイドラインを作成するというのはとても参考になりました。しかし、ガイドラインを作成し、従業員に理解・浸透してもらうのは大変な作業だと思いました。WEBサイトと掲載用PDF資料を最初の切り口に、営業資料などにも活用できそうだと感じています。
- 講師の方の話し方がとても分かりやすく、1時間半というお時間でしたが、それを感じさせない内容と進み方でした。
- 弊社WebサイトはCMSで部署ごとに管理・運用しているため大小のデザインに統一性が無いことが日常的な悩みです。Webサイト改修のタイミングで、導入を上長に相談してみたいと思いました。