Webサステナビリティガイドライン入門セミナー (2026年8月19日開催)
2026年8月19日、当社エグゼクティブ・フェロー(CBO)の木達が登壇し、社会課題の解決やSDGsに取り組む組織のWeb担当者や、自社サイトの品質向上に向けて新たな視点を求める方を対象に、「Webサステナビリティガイドライン入門セミナー」をオンラインで開催しました。本セミナーでは、策定中のWebサステナビリティガイドライン(WSG)について、社会的背景、最新草案の構成と内容、サステナブルWebデザインとの関係や将来動向を解説しました。

木達の講演の様子
はじめに、Webサステナビリティガイドライン(WSG:Web Sustainability Guidelines)について、Webサイトやモバイルアプリなどを制作・運用するデジタル担当チームが、持続可能性に関する意思決定を行うための実践的な提言をまとめた文書であると紹介しました。WSGは、SDGsに関わるPPP(Planet, People, and Prosperity)の考え方を踏まえ、消費電力や温室効果ガスの削減といった環境面だけでなく、社会や経済を含めてWebの持続可能性を幅広く扱うガイドラインであると説明しました。
つぎに、WSGの構成や関連文書を紹介し、ガイドラインが多数の項目で構成されていることから、本セミナーでは代表的な内容を取り上げて解説しました。具体例として、効率的で誠実なユーザー体験、パフォーマンスやエネルギー消費を考慮した設計、持続可能なホスティング、倫理的な製品戦略などを挙げ、Webサイトの構築・運用においてサステナビリティを考慮する視点を示しました。最後に、WSGが将来的に制度や調達基準などから参照される可能性に触れ、長期的な視点で関心を持つことの重要性を述べました。
エグゼクティブ・フェロー(CBO)木達からのコメント
セミナーへのご参加、誠にありがとうございました。WebサステナビリティやWSGについては、これまでにも何度かセミナーでお伝えしてきましたが(例:サステナビリティ経営時代のWeb品質 解説セミナー)、一連のセミナーの最新回が本セミナーです。
WSGの取り組みについて、その法的根拠が現時点では存在しないことに関し、残念に思われた方が中にはいらっしゃるかもしれません。未完成ゆえ、時期尚早であることは確かなのですが、WSGに取り組むことなど無意義・無価値とすら感じられた方も、いらっしゃるかもしれません。
しかし、一度お読みいただければお分かりいただけると信じていますが、WSGのガイドラインや達成基準にある提言には、ユーザーや運用する側にとっての直接的かつ短期的なメリットを実感できるものが少なくありません。
皆様におかれましては、「サステナビリティ」という言葉に構えすぎることなく、本セミナーを機にWSGに、そしてWebサステナビリティにぜひご興味・ご関心をお寄せいただければと思います。そしてPPP(Planet, People, and Prosperity)に資するコミュニケーションデザインを、ご一緒に実践できることを切に願います。
ご質問への回答
業界でのWebサステナビリティの今後の動向、認知度、取り組み具合について教えてください。
今後の動向についてはWSGが完成し、持続可能性への社会的要請がさらに高まることで、WSGが各種制度や調達基準、業界ガイドラインなどから参照される可能性があると予想し、また実際そうなることを期待もしています。
認知度は、日本国内では残念ながら低いと考えています。しかし英語圏においては徐々に認知が高まってきており、本セミナーでご紹介した関連書籍(『Designing for Sustainability』『Sustainable Web Design』『Building the Sustainable Web』)の出版は、その証左と捉えています。考え方が日本に本格的に輸入されるまでは、今しばらく時差があるでしょう。
取り組み具合については、私には正直わかりかねますが、「Webサステナビリティ」という言葉を用いないまでも、すでに一定程度取り組まれてはいる認識です。表示パフォーマンスやアクセシビリティの向上、ダークパターンの回避といった取り組みは、いずれもWebサステナビリティへの取り組みの一環と捉えることが可能だからです。
WSGの活用は、サステナビリティへの取り組みとして外部評価向けにPRできますか?
なにぶんWSG自体が未完成ですから、現時点においてWSGを活用する取り組みがPRに値するかは、わかりません。しかしW3Cの承認を経て、W3Cの公式文書として完成した暁には、そうした類の性質をWSGは帯びると私は考えています。
少なくとも、WSGに近い規模でもってWebサステナビリティに関するベストプラクティスを集約、一元化したものは他に類を見ません。そういう意味でも、WSGの活用が外部評価に資する可能性は十分にあると思います。
WSGに取り組むための社内での説得材料として、Webアクセシビリティ分野における障害者差別解消法のような法的根拠はありますか?
私が知る限り、現時点でWSGへの対応を直接求める法律はありません。Web Content Accessibility Guidelines(WCAG)に取り組む必要性は、障害者差別解消法と共に語られることがありますが、WSGについては同様の法的根拠はまだ存在しないと理解していただいて結構です。
ただし、上場企業を中心に、サステナビリティ関連情報を開示することへの圧力は高まってきています。今後その延長として、Webサイトの構築・運用を通じたサステナビリティへの取り組みや、その成果の開示が求められる可能性もあるのではないかと考えています。従い、現時点では今後高まりうる社会的要請への備えとしてWSGを説明されると良いと思います。
問い合わせフォームで、個人情報の利用目的などを見えにくい場所に格納し、詳細を確認せずとも同意できるようにしているUIは、WSGの観点で誠実でないとみなされる可能性はありますか?
難しいご質問ですが、誠実ではないとの見方は可能と思います。本来であれば利用者が確認すべき情報を、意図的に隠すということは、利用者が確認しないことを暗に期待していると捉えられる可能性があります。
ただし、それがWSGの観点で不誠実な設計、つまりWSGに不適合かというと、判断が分かれると思います。少なくとも、WSGのガイドラインや達成基準が、その種のUIを個別具体的に禁止しているわけではありません。最終的には、UIの実装状況に照らして個別に判断する必要があります。
アンケートにお寄せいただいたコメント(一部)
- Webサステナビリティに関して、概念や考え方等、基本的な部分から学ぶことができました。
- 最近の動向の理解に役立ちました。