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SIGGRAPH 2006 参加報告

2006年8月11日

ミツエーメディアクリエイティブ ディレクター
榛葉 幸哉

at BOSTON

その景色は自分が知るアメリカの雰囲気とはまったく異なるものでした。不思議に思い、タクシーの運転手に聞いてみると、この地域一帯がニューイングランドと呼ばれていること、そしてその歴史を教えてくれました。ちょうど1ヵ月前に訪れたロンドンと同じ雰囲気を持った古い街並みがいたるところに残り、とても美しく心地良い街でした。

2006/7/30-8/3の間、ここアメリカ合衆国北東部に位置するマサチューセッツ州の州都、ボストンにて最大規模のコンピュータグラフィックスの祭典「SIGGRAPH 2006」が開催されました。我々は昨年L.A.で開催されたSIGGRAPH2005に続き、2度目のエキジビターとして参加する機会をいただきました。

昨年は右も左も分からず手探り状態での出展でしたが、今年はその経験を活かし挑むことができました。

8/1エキシビジョン初日、朝9:30からエキジビターエリアが一般公開され、来場者が訪れはじめると昨年と同様、来場者は我々のブースを見るなりコンピュータグラフィックの祭典になんでWeb制作会社がいるの?というような質問を数多くされましたが、説明をしていくと共感してくれる方も多く、3日間の出展期間を通して手ごたえを感じることができました。その分反省点も多く、それは次回の課題として取り組んでいきたいと思います。

ブース出展企業における昨年との違い

さて、周りの出展ブースに目をやると昨年同様中央には常連企業が華やかなブースを構えていましたが、その他で昨年とはちょっと違った感じを受けました。そこで、私が感じた幾つかの点をあげてみたいと思います。

Googleの出展

今やその行動ひとつひとつに注目が集まるGoogleがSIGGRAPH初のブース出展です。会場中央に構える常連企業とはすこし距離をおいて、隅に近い一角を陣取っていました。

いわずと知れた[Google Earth]と[SketchUp]を中心に出展しており、ところどころに設置された大型モニターには[Google Earth]のサテライト画像が映し出されたり、[SketchUp]のデモが行われていたりして、熱心に説明を聞き入っている多くの来場者の姿が印象的でした。

専用のデスクを構え、積極的に採用情報を開示していたことも驚きでした。
そのデスク上に積まれていた5色の上質紙のひとつには「Google does Graphics!」と書かれ、「我々もグラフィックに力をいれているんだ!」とインターフェイスデザイナーやグラフィックデザイナー向けにアピールしていました。

また、3日間を通して先着順で無料配布するT-shirtsやピンバッチなどに長蛇の列ができ、同社への関心の高さを表しているかのようでした。

Webに関連する企業の増加

Googleのようなネット系大企業がブースを構える一方で、規模は小さいながらに優れたWeb3D技術を売り込む企業の出展にたくさんの人が訪れていたことも印象的でした。PDFに直接張り込めるインタラクティブ3Dの技術の試みなど参考になることもたくさんありました。

また、会場の中央にブースを構えるAdobeがFlash8のワークショップを行っていたことも驚きでした。Adobeのワークショップは従来AfterEffectやPremireのいわゆる映像編集、エフェクト処理系のワークショップは行われていましたが、Macromediaの買収後こうした場所でのFlashのワークショップは初めての試みだったのではないでしょうか。

UP COMING プロダクツ

SIGGRAPHというと企業が集うエキシビジョンエリアに目が行きがちですが、Emerging Technologiesと名づけられたエリアでは新しい技術や試みを披露するためのブースが並んでいました。

ここでは従来メディアアーティストと呼ばれる人から研究者、世界各国の大学や個人がその成果を発表する場で、なかにはすでに実用化されているものや、近い将来商品化されそうなものがたくさんありました。

どれも共通してデジタル技術を駆使しながらも使い勝手はアナログ的要素を感じさせるものが多く存在していました。「五感を通じて -Emotional Experience- 体験する」といったような言葉が当てはまりそうだなと感じました。

例えば、画面の表示操作をマウスの代わりに自分の手や指でコントロール可能なインターフェイス、実際試してみると圧力のかけ方で移動させたり、変化させたりできました。
また水面がインターフェイスになっていて水に触れることで変化をさせたり、触感という要素を盛り込んだものが多数見られました。

新しい試み

もう一点、このSIGGRAPHで目玉といえば、世界中の有名クリエーターから学生までが応募した短編映像作品を厳選して上映する「Electronic Theater」があります。
上映作品は本当にすばらしいのひと言に尽きますが、今回私が注目したのは上映前の観客に対する新しい試みでした。

大きな映画館のようなホールで行われたのですが、入館時に片手で持つスティックのようなものを渡されました。それは視力検査の時に片方の目を覆う棒状のもので、先端には赤と緑の反射板のようなものが裏表に貼り付けられていました。

席に座りスクリーンを見るとなにやらホールの座席表のようなものが映し出され、その中で赤と緑の模様が変化しながら動いていました。

入館時に渡されたスティックの色、座標を判別してスクリーンに反映して、ユーザの反応によって表示が変化したりして、参加型の試みが上手くなされていたなという印象でした。みんなが座席につくと、上映の準備が整うまでの間、スティックを使ったゲームが行われ会場は大いに盛り上がりました。

言葉に頼らないコミュニケーション

今回のSIGGRAPH2006に参加してみて世界中から、さまざまな言葉や文化を背景に持つ人々が集まる会場で、クリエーター達がアイデアを絞り、言葉に頼らず観客から笑いや涙を誘う試みがところどころに仕込まれていて、来場者が受け手側としてでなく一緒になって楽しんでいる印象を受けました。

日頃、我々の部署では、コンテンツ企画やコンテンツデザインを考え、制作する仕事が多いのですが、どうしたらもっとユーザをうまく誘導し行動へとつなげられるか?ユーザの背中を一押しする、つまり感覚に訴えるには何が必要なのか?ということを考え、プロジェクトを進めています。

感覚に訴えるコンテンツとは、言い換えればNonverbal Communication(言葉に頼らないコミュニケーション)とも言え、今回の旅はこうした面でもたくさんのヒントをもらった様な気がします。