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デザイン・プロセスの重要さについて

2007年1月26日

HCDチーム Webアナリスト
矢野 絵美

Webサイト構築において、ユーザビリティに考慮したサイトを制作したいと考える企業のWebマスターは非常に多いと思います。ただ、「ユーザビリティに考慮する」と漠然と考えていても、実際にはなかなか思うようにいかない場合が多く、「ユーザビリティ」という言葉ばかりがひとり歩きして悩みの種になってしまうことが多くあるように感じます。

ユーザビリティへの考慮とはどのように考えればよいのでしょうか?

ユーザビリティというとなんとなく難しく思えてしまうのですが、実は私たちは普段の生活でも、ユーザビリティへの考慮を考える上で必要なプロセスを無意識のうちに実行している場合があります。今回はそんな例をご紹介したいと思います。

友人へのプレゼントを選ぶときどうしていますか?

例えば、友人への誕生日のプレゼントや、自宅に招待されたときの手土産に何を選びますか?

もちろん、「お菓子作りが得意だから、自分の作ったお菓子を持っていく」とか「最近話題の○○にしてみる」などいろいろあると思いますが、どんなものを選ぶにしてもやはり、友人が喜んでくれるかどうか?を考えていると思います。

経験からの選択と新たなフィードバック

私たちは、プレゼントを渡す友人が「どんな人?」で「どんなものが好き?」で「どんなライフスタイルを持っている?」かなど、まず友人のパーソナリティを考えると思います。その上で、こういうのは気に入りそうだな、○○さんっぽいな、などと考えながら少しずつ範囲を絞っていきます。さらに、「最近どんなものを欲しがっていた?」「ほかの人は何をプレゼントするのだろう?」など、トレンドと周りの影響も自然に考慮しています。たとえ無意識にプレゼントを選んでいたとしても、実際にはいろいろなことを考えたり、いろいろなデータを基に友人にその時にあったプレゼントを選ぼうとしたりしているのです。そして、その理由は「喜んでもらいたいから」ですよね。

さて、いろいろと悩み、考えて渡したプレゼントに対する友人の反応はどうだったでしょうか? 友人の好きな色のものですごく喜んでくれたとか、少しサイズが大きかったとか、実はほかの人からも同じようなものをすでにもらっていたとか、そういった情報を入手すると、それは新たなデータとしてまた頭の隅に蓄積されていると思います。この友人からのフィードバックを次の機会に生かせるため、次はさらに喜んでもらえるものを準備できる可能性が高くなります。

「友人」を「ユーザー」に置き換えてみる

さて、話を少し戻しましょう。Webサイトを制作する際にユーザビリティへの考慮という視点で考えてみると、「ユーザー中心のデザイン・プロセス」があります。このユーザー中心のデザイン・プロセスでは、ユーザー視点に立ってWebサイトの設計を行うため、ユーザビリティに考慮したWebサイトづくりのプロセスとして非常に有効なプロセスであるといえます。 標準的なユーザー中心デザインのプロセスは、下記のような流れになっています。

標準的なユーザー中心デザインのプロセス

上の友人へのプレゼントの例をこのプロセスに当てはめてみると、

  • ユーザー調査:友人がどんな人物で、普段どんな生活をしているのか?
  • ユーザー要求の分析:友人はどんなものを欲しがっているのか?
  • プロトタイプ:今回選択したプレゼント
  • ユーザビリティ評価:プレゼントへの感想、フィードバック

ということになります。

こうやって見ていただくと、このプロセスは、普段の私たちの生活の中で何度も繰り返されているものと大きく変わらないということがお分かりいただけるかと思います。そこで、今度はWebサイトの構築においてこのプロセスを考えてみると、今まで「友人」として考えていた部分を「ユーザー」に置き換えていただければ分かりやすくなると思います。

  • ユーザー調査:Webサイトのユーザーはどんな人なのか? どんな利用の仕方をしているのか?
  • ユーザー要求分析:Webサイトのユーザーはどんな情報、機能を欲しがっているのか?
  • プロトタイプ:デザインプロトタイプの作成
  • ユーザビリティ評価:Webサイトのユーザーはサイトに対してどんな評価をしているのか?

いかがでしょうか? 自社のWebサイト構築のプロセスと友人へのプレゼント選び、類似していると思いませんか?

この2つの類似を感じていただければ、ユーザー調査、ユーザー要求の分析、ユーザビリティ評価(ユーザーからのフィードバック)といった調査を含むデザイン・プロセスの重要さについてもお分かりいただけるかと思います。

Webサイトにおけるユーザーからのフィードバック方法

Webサイトでのユーザーからのフィードバック方法としては、ユーザーテストがあります。ユーザーテストは被験者にタスクを実行するよう依頼し、タスクを実行してもらいながらテストを行う方法です。ユーザー中心デザイン・プロセスでは、ユーザーテストなどのユーザビリティ評価の結果を上流工程へフィードバックしてプロセスを繰り返すことで、評価と改善を繰り返しながら徐々に完成度を上げていく点が特徴です。

さて、このユーザーテストの手法の一つとして、弊社では本日アイトラッキング分析サービスをリリースいたしました。アイトラッキングとは、眼球の動きをとらえる専用のアイトラッキング・ツールを用いて、被験者の眼球運動、視線を検出する方法です。弊社では、スウェーデンのTobii社のアイトラッカーを利用しています。この装置は従来のアイカメラ型のように身体に装着するタイプではなく、非接触型のアイトラッカーが液晶ディスプレイと一体になったタイプであり、モニターを閲覧するWebユーザビリティの調査には最適のツールです。

インタビューによるユーザーテストでは知ることのできない、実際のユーザーの閲覧個所や閲覧順序、注視率を視覚的に確認することができます。Webサイトに対する評価法の一つとしてご利用をおすすめいたします。