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UX香港参加報告:スパークルなUXデザイナーになるための5つのこと

2017年3月10日

第一事業部 第二本部(UX) 第二部
インフォメーションアーキテクト
前島 大

2017年2月24日~25日に香港で開催されたUser Experience Hong Kong(UXHKに参加してきました。

UXHK会場の様子

今年で7回目を迎えた本イベントは香港在住の方をはじめ、台湾、韓国、シンガポール、フィリピン、マレーシアなどアジア諸国以外にもカナダ、オーストラリア、イギリス、ドイツなど遠方からの参加もあり総勢300~400名程の人々が訪れていました。毎年のように参加される方も多いようで香港でのUXの盛り上がりが感じられました。

本コラムでは各セッションの要点を簡単にお伝えします。

UXの3つの領域とキャリアアップのための5つの段階を知ること

Bill Albertによるセッション “Moving your UX career to the next level” では、UXでフォーカスすべき3つの領域とどのようにキャリアをスタートし次のレベルへステップアップすべきか5つの段階が語られました。

フォーカスすべきUXエリアとキャリアグロース

セッション中にありました “Your career is about people” という表現は非常に印象的で、UXの目的はユーザーという “人々” の体験をより良いものにすることであり、そのためのキャリア形成段階では多くの “人々” から学び、実際のプロジェクトでは多くの “人々” と協力して成し遂げるものであると再確認しました。

ソリューションではなくプロブレムを愛すこと

Andrew Greenによるセッション “Falling in love with the problem, rather than the solution” では、 ソリューションを万能視する “solutionism” に対して、解決策よりもその問題が最優先で解決すべき価値があるものなのかどうかを問うことが大事だといいます。

Airbnbを例に挙げ、カスタマージャーニーにおける各フェーズの指標に対して、“Importance - satisfaction = Problem Size” という公式のもと、Problem Sizeの大きなものからプライオリティを上げて取り組んでいくべきという考え方はIAとして非常に納得するものでした。

UXとはいつもシンプルでわかりやすいことがゴールではないことを知ること

Martin Bulmerによるセッション “Designing systems for experts” は、営業部門で使用されるCRMや銀行で使用されるローンシステム、カスタマーコールセンターで使用される画面のインターフェイスなどはエキスパート向けのものであり一般的なWebサイトとはかなり異なったUXチャレンジが必要であるという内容でした。

例えば一般顧客が使用することのない業務用システムの画面であった場合、エキスパートはそれほどUIを気にしなかったり、UIを一新してしまうのではなく既存のアイデア(使いやすさや慣れ)も考慮すべきであったり、システムやタスクが複雑であるがためにプロトタイプが作成しづらくユーザーテストが困難であったり、エキスパートへのヒアリングの機会が持ちづらかったりなどがあるため、これらをクリアするためのTIPSが語られました。

特に対象となる画面を使用するユーザーはエキスパートのみを想定するのではなく、エキスパートに今後育っていくノンエキスパートも考慮する必要があるため、既存のノンエキスパート用トレーニングマニュアルにも目を通した上でUXを設計していく点は参考になりました。

デザインの意思決定のコツを知ること

Cornelius Rachieruによるセッション “The anatomy of a design argument” では、プロジェクトにおけるデザイン紛争をどのように整理することができるのかという内容でした。

まずデザインは政治的な側面があるとした上で、UXデザイナーによるデザインプロセスがDamien Newmanの “The Process of Design Squiggle” のように曲がりくねった不安定な道のりであることや、ダニング=クルーガー効果の例にあるように知識や経験のない者ほど自分の意見を過信してしまうこと等が論争のきっかけの一例であり、UX側とビジネスアナリスト側がお互いのセオリーと調査結果、根拠を理解し合い一緒に整理することが重要だと語られました。

デザイン決定のためにUX ProfessionalsとBusiness Analystsが検討すべきこと

デザインの判断を行う際、デザイン原則以外にユーザー調査(ユーザーインタビューやエスノグラフィー調査等)やプロトタイプのユーザーテスト等を根拠とする考え方は納得するものでしたし、それをビジネスアナリスト側のフォーカスグループ調査やJADセッションと連携して行う点も非常に腑に落ちるものでした。

この両者のプロジェクトへの参加タイミングの期間の差がプロジェクトの失敗率と比例し、2カ月以上の遅延は紛争衝突の確立が50%以上となってしまうため避けるべきと主張しました。

これまでもこれからもHuman-Centeredであること

本イベントのキーノートはJesse James Garrettによる “Designing the Designer” でした。

UXのキャリアはストレートな道ではなくジグザグであるため “Adjacent Possible(近隣領域の可能性)” を意識すること、リサーチを行わずにデザインすることは目隠しをしてジグソーパズルを行うことに等しく、システム、テクノロジー、組織、人々等すべてに興味関心をもちコンテキストやディテールを理解すること、そうして出来上がったものがすべてつながりユーザー体験となることを論じました。

そしてスライドの最後は “What makes us more human-centered is also what makes us more human(私たちをより人間中心にさせるものは私たちをより人間らしくする)” と締めました。

JJGによるキーノート

最後に

パネルディスカッションでは目的を感じられずストレスいっぱいで溜息をつきながら仕事をする人を “sleepwalking” と、それに反して目的をもって光り輝く仕事をする人を “sparkle” としその相違が議論されました。

プロジェクトを進めるにあたって目的を明確化しその目的をプロジェクトメンバーに伝え共有するツールとしてペルソナやカスタマージャーニーマップが有効に活用されることや、人は恐れから今自分が行っている業務領域に留まってしまいがちだが新たな領域(近隣領域)に興味をもちチャレンジすることでイノベーションを起こしていくことが意義のある仕事の達成につながることなど、私もIAの領域を超えて様々なことに興味をもちUXを考えていく必要があると感じました。

次回UXHKは2018年3月9日~10日の開催が決定しています。

これからUXを学びたい方をはじめ、よりグローバルな視点でUXの知見を広げていきたい方にとっても、スパークルな仕事をしていくために今後のUXHKに注目ですね。