UXトレンドセミナー2025(2025年11月27日開催)
2025年11月27日、「UXトレンドセミナー2025」をオンラインで開催しました。
実際に講師が国内外のUX関連カンファレンスに参加し、そこで得た最新動向をもとに、今注目すべきUXのトレンドを紹介するセミナーを実施。実際の事例と研究内容を交えながら、自社でのUX改善に活かせるポイントを解説しました。

竹内と隅田の講演の様子
はじめに、UXmasterclass2025 と UXPA2025、CHI2025で共有された最新UXトレンドを紹介しました。まず、AIの活用がUX業務においても広がりを見せていること、その具体的な活用事例や今後の可能性について触れました。また、XR・AR・VRなどインタラクション技術の進化や、アクセシビリティを重視した調査・デザイン事例を取り上げ、多様なユーザーが参加しやすい体験づくりの重要性を説明しました。それから、持続可能なプロダクト構築の視点も共有され、サステナビリティなどUXが関わる領域が広がっていることを感じたと話しました。
次に、AI×UX のトレンドとして「AI for UX(UXのためのAI)」と「UX for AI(AIのためのUX)」の二つの視点を紹介しました。「AI for UX」では、UXリサーチャーがユーザー分析の過程で行うインタビュー内容の整理といった、手間のかかる工程をAIが補助する事例を取り上げました。特に、AIがペルソナになりきって対話する「疑似ペルソナ」は、調査結果をデザインへつなげやすくする方法として注目されています。一方「UX for AI」では、ユーザーの閲覧履歴や検索履歴をもとに、おすすめの投稿や動画を自動的に表示する仕組みであるSNSのレコメンド機能が紹介されました。しかし、AIの過度なレコメンドがユーザー体験を損なうといった課題が指摘されました。AIを利用した体験を適切に設計するには、ユーザーの意図を読み取り、検証を重ねるといった人間側の判断が不可欠です。そして、AIと人の役割を適切に分担することが、重要だとまとめました。
最後に、多言語リサーチにおける生成AI活用の可能性と課題を紹介しました。インタビュー記録をAIで翻訳・要約する手法が広がる一方、複雑なヒンディー語などは翻訳が破綻する例が多くあります。AIは欧米中心のデータで学習していることが原因であり、事前に現地調査を行うことで、最適なツールや必要精度を見極める重要性を強調しました。また、デジタル化が進む自動車操作の研究では、タッチパネルより物理ボタンのほうが操作の成功率が高い結果となり、文化背景が信頼や操作性に影響することが示されています。結論として、人間の文脈を理解した上で技術を配置する姿勢が欠かせない、とまとめました。
UXリサーチャー 竹内からのコメント
このたびUXトレンドセミナーにご参加いただきありがとうございました。時間の関係上、質疑応答の場が設けられず申し訳ございませんでした。3つの国際カンファレンスの発表から全体的なトレンド、特にAIにまつわる発表を中心にご紹介させていただきました。最近はAIに関する研究発表が多く、今後もAIの発展と並行しUXにどのような影響をもたらすか私達も注視、研究して参りたいと思っています。また、アンケートでは、AI以外のトピックにもご興味があるというコメントがございました。今後も海外トレンドについて定期的に発信させていただければと思います。改めてUXトレンドセミナーにご参加いただき誠にありがとうございました。
UXリサーチャー 隅田からのコメント
このたびはご参加いただき誠にありがとうございました。今回は、2025年に実施したカンファレンスの内容をもとに、特に多く題材として見られたAI関連の発表をピックアップしてご紹介しました。UX領域におけるAI活用はまだまだ模索中の段階ですが、確実に浸透しつつあり、今後我々専門家のあるべき姿や提供できるソリューションも変わっていくのかもしれません。当社としても、今後積極的に実務の中での利用模索だけでなく、研究・発表活動なども通して、業務効率化はもちろん、AIには担えない領域で提供できる価値の模索を進めていきたいと思っています。
ご質問への回答
アンケートにお寄せいただいたコメント(一部)
- 大変分かりやすく具体的にまとめていただいており有益でした。紹介していただいた中身も興味深いものばかりでした。
- 海外のサミットの注目すべきポイントを絞って共有してもらえ、トレンドの把握が効率よくできて助かりました。
- わかりやすく内容を伝えてくださり、ありがとうございました。AIに全てを任せるのではなく、人が人のために使う以上は、人が感情や心理などを理解して、あくまで一つのツールとして上手く使っていく必要があると感じました。