Cursor3のworktreeコマンドとbest-of-nコマンドを使ってi18nの実装案の比較をしてみた
X-tech推進本部 倉原2026年4月2日、AIエージェントエディタのCursorの新バージョン、Cursor3がリリースされました。
今回のアップデートの追加内容の1つとして、/worktreeコマンドと/best-of-nコマンドの追加が挙げられます。
/worktree コマンド
Gitのworktreeを使ってブランチごとに別フォルダの作業ツリーを用意し、エージェントにそこで変更を行わせるスラッシュコマンドです。メインの作業ツリーと分離できるので、並行検証や衝突の少ない試行がしやすくなります。
/best-of-n コマンド
同じタスクを複数のエージェントに並列で実行させ、それぞれの結果や差分を並べて比較してから採用するためのワークフローです。
実装の複数案を一度に見比べたい時に向きます。
この2つのコマンドについて、それぞれどのような使い方ができるのかを、i18nの実装案を比較するという観点で検証しました。
※ ここでいう「並列」はワークフロー上の並列であり、実際の実行タイミングや速度は、モデルや実行環境の状況に依存します。
検討したい技術の概要
今回の検証内容は以下の2点です。
- 1,000ページ以上の多言語ページを静的サイト構築で進める場合に、どのようなi18nの方法があるかを調べる
- HTMLを言語ごとに作らずに、JSONもしくはYAMLを使って各翻訳を管理する
/worktreeコマンドを使った実装案の比較検討
フレームワークやビルド周りから実装の土台を決めたかったのですが、その場合、技術スタックやディレクトリ構成がまったく異なるものになります。
そこで、互いに独立した実装案としてそれぞれがどのような形になるのかを一覧で比較したいと考え、/worktreeで作業ツリーを分け、案ごとにエージェントに実装してもらう形にしました。
検証したパターンは次のとおりです。
- 既存の環境をそのまま上書いて使うパターン
- 11tyとEJSを使うパターン
- Astroを使うパターン
いずれも「その案に乗った時の構成・技術スタック・運用イメージ」を押さえることが目的で、細部の設計より先に、大枠の違いを並べて見ることが前提でした。
結果は、下記キャプチャのようになりました。

3案分のワークツリーが実装され、お互いに完全に独立した実装案を並べて比較できる状態になっているのがわかります。
/best-of-nコマンドを使った実装案の比較検討
worktreeコマンドを使った検討のなかで、11tyとEJSを使うパターンが最も有用だと判断しましたので、次はこのパターンをさらに深堀りします。
ここで/best-of-nコマンドを使います。
公式ドキュメントによると、/best-of-nコマンドは以下のケースで使用することが望ましいです。
- 同じプロンプトで異なるモデルを比較する
- 難しい変更に対して複数のアプローチを試す
- 何かを適用する前に、最も良い結果を選ぶ
ビルド方法や技術スタック周りはすでに決まっており、その条件下で最善案を選びたかったので、/best-of-nコマンドを使います。
/best-of-nコマンドを使ってプロンプトを投げると、AIは下記のように並列で実装を行います。

実装案だけではなく、実装案の比較内容とおすすめも次の通り出してくれました。
| 観点 | 案1 | 案2 | 案3 | 案4 |
|---|---|---|---|---|
| 「ejsあたりのyaml本数」 | 1本に近い | ページあたり1本 | レイアウト分は別yamlの可能性 | テンプレ横は0(データは3言語3ファイル) |
| DRY(ナビ等の重複) | ヘッダーは1ファイルで共有しやすい | ページごとに複製しやすい | レイアウト用yamlで整理可能 | 中央集約で最もDRYにしやすい |
| 「テンプレの隣に翻訳」要件 | 合致しやすい | ページ単位なら合致 | レイアウトとページで分散 | 合致しにくい(_data集約) |
| 複雑さ | mergeロジックのみ中程度 | ページYAMLが肥大化しやすい | レイアウト+dataの両方 | キー設計の規約が要る |
提案されたおすすめ:
- テンプレート横に翻訳を置きたいなら案1(拡張とファイル数のバランスがよい)。
- ファイル本数を極力減らすなら案2(ページ3本のYAMLだけ)だが、共通文言の重複に注意。
- コンポーネント構造を整理したいなら案3。
- 翻訳を完全にデータ層へなら案4(従来の「1 ejs 1 翻訳ファイル」からは離れる)。
まとめ
今回の検証では
/worktree= 互いに技術スタックの異なる独立した実装案を比較するために使う。/best-of-n= 実装案の土台がある程度決まっており、その中で複数案を並べて比較するために使う。
としました。
新たに追加されたコマンドを使うことで、こうした複数案を並べて検討・判断するための検証を、メインの作業ツリーをあまり汚さずに進められるようになった、という手応えがありました。