2008年9月12日 Webサイトのポテンシャルと企業サイト

第二WI部 ディレクター
田口 公章
(ITコーディネータ資格保有者)

標準化の重要性

私たちの日々の仕事において、スケジュールの効率的な管理は重要です。私は今、職場のグループウェアと職場のPC、それに自宅のMacと携帯電話にそれぞれカレンダーを持っており、それらを常に同期させておく必要があります。過去には、これらカレンダーの同期で不便な思いをしていました。それぞれのアプリケーションの持つデータ形式に互換性がなかったり、CSV形式ならよい場合でも微妙に項目数や順序が違うことからデータが連携させにくく、結局は手動で別々に管理していたのです。今はiCalendarに対応しているアプリケーションで連携をとり、携帯電話はMacとSyncさせる、という形にしています。ただ、グループウェアに登録されるデータの読み書きと携帯電話のスケジューラはiCalendarに対応していないため、差分を手動で吸収したりいったん別のアプリケーション経由で同期させるなど、すべて自動でリアルタイムに同期させるところまでは実現できていません。すべてのアプリケーションがiCalendarに対応していれば、こんな不便な思いをしなくてすむのに・・・。こんなとき、標準化の重要性や標準化されていないことのデメリットを強く感じます。

Webサイトのポテンシャルと企業サイト

Webのフロントエンド技術には(X)HTML、CSSなどの標準仕様が存在します。過去にはレイアウトにテーブルを用いたり、視覚表現にスタイルシートを用いないなど適切でない使われ方がされていましたが、今はようやく標準技術が正しく利用され、Webサイトがその本来の力を発揮する下地が整ってきたと感じています。私はWebサイト本来の力とはハイパーリンク、つまりデータ同士のつながりだと思います。Webサイトの設計を行う際、まずサイト内の情報構造を検討し、ページ間のつながりやユーザー導線について考えますが、同時に外部へのリンクと外部からの被リンクについても十分に検討しておく必要があります。ここでいうリンクと被リンクという考え方は、いわゆるSEOとは少し違うと認識しています。特定の検索エンジンに対して何かしようとしているわけではなく、もっと広くWebという空間の中でどのようにバランスをとるか、という行為だと考えています。Webサイトを設計する際、「自社サイト」だけにとらわれずWeb空間に存在するデータ同士の「つながり」をデザインする、そうした視点が、ユーザーニーズを満たすコミュニケーションを可能にし、印象のよい体験を提供することにつながると思います。ユーザーは検索や比較のために「Web」を利用するのであって、「特定のWebサイト」だけを利用するのではありません。

ユーザーは明確なニーズを持ち、あなたのWebサイトにはそのニーズを満たせる能力があったとします。しかし、運良くその明確なニーズを持ったユーザーがあなたのサイトを訪れたとしても、そのユーザーが「ここには不十分なデータ、ありきたりなデータしかない」と思い、しかもそれがその人にとって探しにくかったり使いにくいとあっては、あまりよい印象は持たれないでしょう。しかしそこにクチコミやシミュレーション機能、マイページ機能、おすすめ機能、簡単に購入できる機能、比較検討するために役立つコンテンツなど、ユーザーにとって便利で役に立つ「何か」があればよい印象を持ってくれるでしょうし、その場で資料請求や購買といった行動を起こしてくれるかもしれません。さらに、一度よい体験をしたユーザーはあなたのWebサイトをまた訪問してくれるかもしれませんし、別のユーザーにあなたのWebサイトを紹介してくれるかもしれません。Web全体を視野に入れた適切な設計はユーザーに気に入られますし、それはそのままビジネスにつながります。

Webサイト設計に必要な視点

B to Cの通販サイトだけではなく「会社案内」「製品・サービス紹介」を主たる目的とした企業Webサイトであっても、自社サイトも含めたコミュニケーション全体、ユーザー心理や行動も含めて設計することの重要性は同様だと思います。Web空間の中で自社サイトはどのような位置にいるのか? ユーザーはどこからやってくるのか? ユーザーはなぜ、何を期待して自社サイトを訪れるのか? 少なくとも、一方通行でただ発信者の言いたいことだけが羅列されているようなサイトや、問い合わせ・申し込みのしにくいサイトでは、あまり役に立たないのではないでしょうか。たとえ「会社案内」といったスペック情報的な事実に即したコンテンツであったとしてもそこには独自のメッセージが必要ですし、製品やサービスをプロモーションするなら、ユーザーとコミュニケーションできることが必要になります。その大前提として、Webのポテンシャルを最大限に発揮するためには、標準の技術仕様にしたがっていることは当然です。その上で、Webサイトを企業活動のどこに位置づけどう使うのかという明確な意思と、自社サイトの内部だけではなくWeb全体を俯瞰した設計視点があるかどうか。ここが、ありきたりなWebサイトと印象に残る、「使える」Webサイトとの違いになってくることでしょう。

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