スクリーンリーダーで学ぶWebアクセシビリティ(2026年6月25日開催)
2026年6月25日、当社アクセシビリティ事業部 事業部長の澤田とアクセシビリティ・エンジニアの大塚が登壇し、『スクリーンリーダーで学ぶWebアクセシビリティ』をオンラインで開催しました。本セミナーでは、視覚障害者が利用するスクリーンリーダーの基本的な仕組みや利用方法について解説するとともに、実際のデモンストレーションを通じて、Webアクセシビリティの重要性について説明しました。

スマートフォンでのスクリーンリーダー操作実演の様子
はじめに、視覚障害者がPCやスマートフォンを利用する際に欠かせない支援技術であるスクリーンリーダーについて、その基本的な機能や種類、利用環境や製品による特徴の違いを解説しました。
つづいて、スクリーンリーダーを使ったデモンストレーションを行い、キーボードのみでPCを操作する方法を紹介しました。また、OSの検索機能を活用してアプリケーションを効率的に起動する方法や、見出し要素を手がかりにページ全体の構造を把握し、目的の情報へ効率よく移動する様子を実演しました。
つぎに、代替テキストやフォームのラベル設定の重要性について取り上げました。画像の内容を適切に伝えるには代替テキストが必要であり、代替テキストが設定されていない画像やラベルのないフォームは利用者の負担になります。伝えるべき内容を簡潔に記述し、入力項目とラベルを正しく関連付けることが求められると説明しました。
最後に、スマートフォンでのスクリーンリーダー操作を実演し、スワイプやダブルタップ、見出し単位での移動などを取り上げました。Webアクセシビリティは、必要な情報へ主体的にアクセスするための基盤です。AIによる画像説明機能が広がる中、制作者が意図を反映した適切な代替テキストを提供する重要性についても触れました。
事業部長 澤田からのコメント
セミナーへ参加いただきましてありがとうございました。デモンストレーションをご覧になってスクリーンリーダーに興味が湧いて、ご自身で使ってみた方などいらっしゃるでしょうか?もしいらっしゃったら、お薦めの使い方があります。
それは「目を閉じること」です。
目から情報を得ながら聞く内容と、目から情報を得られない状況で聞く内容とでは、まるで理解度が違うということに気付かれるのではないでしょうか。デモンストレーションをはじめとして、体験することがいかに重要であるかが伝わると思いますし、アクセシビリティに対する理解もより一層深まるものと思います。無料のスクリーンリーダーもご紹介しましたので、ぜひお試しください。
今後も、少しでも分かりやすく、興味を持っていただけるような取り組みをしていきたいと思います。この度はありがとうございました。
アクセシビリティ・エンジニア 大塚からのコメント
この度は、セミナーへご参加いただきありがとうございました。当日の質疑応答では、多くの質問をいただき、大変うれしく思っております。
今年は、例年実施させていただいているデモンストレーションに加え、視覚障害者のAI活用とWebアクセシビリティについても触れさせていただきました。例えば、AIを使えば画像の説明を得られるようになりましたが、それに頼らずとも、制作者が伝えたい内容が、まず代替テキストとして正しく伝わることが大前提だと考えています。AIによって得られる情報が日に日に増えていますが、そうした中でも、Webアクセシビリティに関する取り組みの重要さに変わりはないと感じています。
本セミナーが、アクセシビリティの向上を考える一つの契機となっておりましたら幸いです。
ご質問への回答
代替テキストを作成する際、スクリーンリーダー利用者に伝わりにくい表現や、避けた方がよい表現はありますか。
代替テキストについては、画像の種類や掲載される文脈がさまざまであるため、一律に避けるべき表現があるとは考えていません。
ただし、スクリーンリーダーは画像を読み上げる際に、画像であることを利用者へ伝えます。そのため、「○○の画像」といった表現は、場合によっては情報が重複して伝わることがあります。また、画像の前後に掲載された説明文と代替テキストの内容が重複している場合も、同じ内容を繰り返し聞くことになるため、可能であれば避けていただくことをおすすめします。
代替テキストの記述にあたっては、読み上げを意識して漢字をひらがなへ置き換える必要はないと考えています。意味が正確に伝わる表現を選ぶことが重要です。また、文字数に明確な制限はありませんが、音声で情報を把握する利用者もいるため、伝えるべき内容を整理したうえで、できるだけ簡潔に記述することが望ましいと思います。
代替テキストでは、かぎ括弧やスラッシュ、中黒などの記号の使用を避けた方がよいのでしょうか。
「・」による項目の区切りや、「 / 」による表記など、一般的な用途で使用される記号であれば、特に使用を避けていただく必要はないと考えています。スクリーンリーダーの種類や設定によって読み上げ方に違いはありますが、多くの利用者は記号の使われ方を理解したうえで情報を把握しています。
また、スクリーンリーダーには記号をどの程度読み上げるかを利用者自身で設定できる機能があります。そのため、制作者側が記号を過度に排除する必要はないと思います。
一方で、装飾目的で記号を多用すると、記号自体が繰り返し読み上げられ、内容を把握しづらくなる場合があります。重要なのは記号の有無ではなく、情報が自然かつ正確に伝わる表現になっているかどうかだと考えています。
Windows環境では、標準搭載のナレーターとNVDAのどちらを利用するのが望ましいのでしょうか。
アクセシビリティの確認を行うのであれば、まずはNVDAの利用をおすすめします。NVDAは更新頻度が高く、新しいWeb技術やブラウザーへの対応が比較的早いため、例えばARIA属性による状態変化なども確認しやすいと考えています。
Windowsに標準搭載されているナレーターも、読み上げ内容を確認する用途であれば十分に活用できます。ただし、実際のスクリーンリーダー利用者の利用状況を踏まえて検証を行うのであれば、利用者の多いNVDAを利用することが望ましいと考えています。
なお、スクリーンリーダーごとに読み上げ方や対応状況には違いがあるため、可能であれば複数のスクリーンリーダーで確認することが理想です。その場合も、まずはNVDAでの確認から始めることをおすすめします。
代替テキストが複雑になる画像は避けた方がよいのでしょうか。また、画像だけで情報を伝えるのではなく、本文で補足することは有効でしょうか。
代替テキストが長くなることを理由に、複雑な図版の利用を避ける必要はないと考えています。重要なのは、画像で伝えたい内容を代替テキストで適切に伝えたうえで、必要に応じて本文や表などで補足情報を提供することだと思います。
例えば、グラフの場合は傾向や概要を代替テキストで示し、詳細な数値は表形式で掲載するといった方法が考えられます。このように情報を分けて提供することで、スクリーンリーダー利用者にも内容が伝わりやすくなります。
また、この考え方はスクリーンリーダー利用者に限ったものではありません。伝えたい内容を整理し、画像とテキストを適切に組み合わせることは、視覚的に閲覧している利用者にとっても、理解のしやすさにつながると考えています。
リンクボタンに記載するテキストとして、○○を見るのように文章にした方がよいという話を耳にしたことがあり、そのように実装していますが、実際にはどうなのでしょうか。グロナビなどでは単語での表記が普通ですが、先ほどの実演の際にも、グロナビやリンクがある箇所では、まず「リンク」と読み上げていたようでしたので、あえて○○を見るという表記にする必要性がどの程度あるのか、お聞きしてみたいと思いました。
基本的には、スクリーンリーダーでの読み上げのためにあえて表記を変更する必要はないと考えています。一般的なリンクテキストの考え方と同じように、リンク先の内容が推測できるリンクテキストになっていることを意識していただければ、スクリーンリーダーの利用者にも伝わりやすいリンクになると考えています。
ご指摘のとおり、実演の際にもスクリーンリーダーはリンク箇所でまず「リンク」と読み上げていました。これは、スクリーンリーダーがリンクを読み上げる際に、それがリンクであることを利用者に伝えているためです。したがって、リンクテキスト自体に「○○のリンク」といった表現を含めると、代替テキストの質問とも共通しますが、情報が重複して伝わってしまう可能性があります。
「○○を見る」のように文章にするか、グローバルナビゲーションのように単語で表記するかについては、どちらが正しいというものではなく、そのリンクテキスト単体でリンク先が推測できるかを目安に考えていただくのがよいと思います。スクリーンリーダーでは、ページ内のリンクのみを順に確認することができます。こうした機能を利用する場合、リンクは前後の文脈から切り離されて読み上げられます。そのため、たとえば「会社概要」「採用情報」のように単語でもリンク先が明確であれば、無理に「○○を見る」と文章にする必要はありません。一方で、「こちら」「詳細」のように単体では内容が判断しにくいテキストの場合は、対象や動作を補って推測しやすくすることも一つの方法です。
アンケートにお寄せいただいたコメント(一部)
- Altに関して制作担当が頭を悩ませるケースが多いため、実際のスクリーンリーダーユーザーのAltに関する見解が聞けたこと、また、AIの活用についても最新の情報として、具体的な話を聞くことができ、学びの多い時間でした。
- 実際にスクリーンリーダーを使用している様子を拝見できて大変勉強になりました。