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「UXグロースハック」サービスリリースに寄せて

2017年9月28日

ユーザエクスペリエンス本部 UXリサーチャー
潮田 浩

先週9月22日に「UXグロースハック」サービスをリリースいたしました。当社では2015年より「運用ファースト」というスローガンを掲げ、顧客企業の皆さまのWebサイトにおける運用を第一に考えることに注力してまいりましたが、本サービスは、運用において重要となる「継続的な改善活動」にフォーカスを当て、具体的な手法レベルにまで落とし込んだものとなります。

サービス概要

「UXグロースハック」サービスは、Webサイトにおける「理想的なユーザー体験シナリオ」と、そのシナリオにおけるUIの有効性を定量的または定性的に検証しうる「効果検証指標」をセットで構築することにより、UXデザインのアプローチを取り入れながらWebサイトを継続的に改善していくための仕組みづくりを支援いたします。また、プラットフォーム構築後のUI改善アクションにおいては、Web制作会社ならではの具体的な改善施策とUIデザイン案をご提案いたします。

リリースの背景

当社ではこれまで、ユーザーにとって使いやすい・優れた体験となるWebサイトを指向する「UXデザイン」の考え方を取り入れながら、情報設計やインターフェイスデザインを行ってまいりました。UXデザインでは「ユーザーの実態・心理をきちんと理解し、そのユーザーにどのような体験(UX)を与えるかを考えてデザインを行う」ことを目指します。当社ではこの理念を実現するために、ユーザー調査専用のユーザーテストスタジオの設置、Webサイト閲覧行動を眼球運動レベルで測定するアイトラッキングシステムの導入、インターフェイス設計段階での高速プロトタイピングなど、先進的かつ着実な取り組みを行ってまいりました。その結果、国内・海外の多くの顧客企業の皆さまより高い評価をいただき、今日まで発展を遂げてまいりました。

そのような取り組みのなかで、顧客企業におけるビジネス目標の達成を把握しながらWebサイトの最適化を行っていくこと、すなわち「Webサイトの継続的な改善活動」という視点においては、以下の2点が問題としてあがってきました。

1. デザイン/改善施策による「効果」を定量的に把握しにくい

UXデザインでは、ユーザーの心理や体験を捉えならがら「なぜそのデザインにするべきなのか?」をサイトのコンセプト・構造・ページのレベルで考えていきますが、この「なぜ=why」を捉えていくためには、主にユーザー調査やユーザビリティテストなどの定性的なアプローチが取られてきました。その一方で、そのデザイン・改善施策がビジネス目標の達成に本当に寄与しているのかどうかの定量的な検証については、主にアクセス解析におけるコンバージョン数や売上額のような「最終的な成果指標」の把握のみに限られてきました。そのため、仮に成果指標として良い結果が出た場合でも、ユーザーのなぜ(why)に基づいたデザイン・改善策(how)によってその成果(what)がもたらされたのかがわからず、次の改善アクションがストップしてしまうという問題がありました。また「定性的にwhyを導くアプローチのみで、一貫性のある改善活動ができているのか?」という疑念が残ってしまい、改善活動のなかにおける定性的なアプローチが徐々に軽視されてしまうことがありました。

2. 取得可能な定量的データからは「ユーザーの心理」や「改善施策」を導出しにくい

一方、アクセス解析に代表される定量的なデータは、ユーザー行動の事実(what)としての統計的な信頼性をもっていますが、そのデータのみから「なぜ(why)その行動に至っているのか?」を推測することは非常に難しいという弱点があるため、たとえば「バナーAからのコンバージョンが多いので、バナーAをもっと目立たせよう」というような、why(ユーザーの心理・体験)を考慮しない場当たり的な改善案に終始してしまうことが多く、結果として効果的なデザイン・改善案(how)を導く術が頭打ちになってしまうことがありました。

Webサイトの改善活動を継続的かつ一貫性をもって取り組んでいくためには、

  1. what 何が起こっているか?ユーザーはどのような行動をとっているか?
  2. why なぜそのような行動をとっているか?ユーザーは何を考えているのか?
  3. how どのような解決策を取ればよいか?

の3要素に対して「what→why→how」という繋がりもちながら考えていくことが必要となります。しかしながら上述の通り、UXデザインではhow→whatの繋がりが弱く、アクセス解析ではwhat→whyの繋がりが弱いため、それぞれの単体の取り組みのみでは、継続的な改善活動がとん挫してしまうという問題がありました。

それらの問題を解決するために、多くの試行錯誤を重ねた結果、「継続的=定量的にモニタリングできる指標」「改善=UXデザインのアプローチ」という考え方で捉えていくことが重要であると考え、本サービスの特長となる「体験シナリオ」と「効果検証指標」をセットで構築するという考え方に至りました。具体的には、優れたユーザー体験(why)を提供するための地図となる「理想的な体験シナリオ」を作成しつつ、そこから導き出されるデザイン・改善案(how)によって、意図した行動や成果(what)が実現されているかを検証するために、サイト・ページ単位での行動傾向と最終成果指標を含んだ「効果検証指標」を策定し、分析・改善・効果検証を行っていくものとなります。今回リリースした「UXグロースハック」サービスの「グロースハック」とは、ユーザーの実態(what)を解析(why)しながら、サービス・デザインの改善(how)を繰り返して、ビジネス課題を解決していくことを意味しています。これはまさにwhat→why→howを繰り返す継続的改善活動を意味している言葉ですが、本サービスではそこに優れたUXをもたらすWebサイトのデザインを追及していくという考え方も取り入れたものとなります。

Web技術の進歩は日々めまぐるしく、ユーザーの行動や心理を定量的に把握するためのリサーチ・解析技術も同様に進歩していくことが予想されます。リサーチ・解析技術の進歩によって、より多くのユーザー情報を得ることができるようになれば、what→why→howの繋がりはさらに掴みやすくなるでしょう。また、継続的かつ着実に改善活動を行っていくことにより、顧客企業の皆さま固有のナレッジが蓄積されれば、より精度の高い体験シナリオと効果検証指標の策定が可能になります。そのような意味で、本サービスは現在が完成形ではなく、顧客企業の皆さまと二人三脚で着実かつ継続的な取り組みを行っていきながら、ともに成長していけるサービスになれればと考えております。