WCAG 2.2の最初の公開作業草案が発行されました

アクセシビリティ・エンジニア 中村(直)

WCAG 2.1の後続となる、Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.2のFirst Public Working Draft(最初の公開作業草案)が2020年2月27日付けで発行されました。

この作業草案でのWCAG 2.1からの追加の達成基準は、New Features in WCAG 2.2にまとめられています。リンク先にあるとおり、現段階では2.4.11 Focus Visible (Enhanced)のみが加わっています。これは、あらかじめWCAG 2.2の策定作業を行っているAccessibility Guidelines Working Groupである程度議論した上で達成基準の文言をEditor's Draftに加えるという方針で策定が進められているために、結果として現時点で加えられているものが1つのみになっている、という状況になります。

では、新たに加わった達成基準はどのようなものでしょうか。WCAGに通じている方なら見覚えがあるかもしれませんが、WCAG 2.1にある(もちろんWCAG 2.0にもある)、達成基準 2.4.7 フォーカスの可視化(原仕様書名:Focus Visible)の強化版と銘打たれたものとなっています。そして、リンク先のWCAG 2.2の草案をご覧になった方は既にお気づきでしょうが、この達成基準2.4.11 Focus Visible (Enhanced)はレベルAAという扱いになっています。それに伴い、WCAG 2.2のこの草案の2.4.7 Focus VisibleはレベルAに変更がされています。

達成基準2.4.11の現在の文言は次のようになっています。

When a User Interface Component displays a visible keyboard focus, all of the following are true:

  • Minimum area: The focus indication area is greater than or equal to the longest side of the bounding rectangle of the focused control, times 2 CSS pixels.
  • Focus contrast: Color changes used to indicate focus have at least a 3:1 contrast ratio with the colors changed from the unfocused control.
  • Contrast or thickness: The focus indication area has a 3:1 contrast ratio against all adjacent colors for the minimum area or greater, or has a thickness of at least 2 CSS pixels.

NOTE A focus indicator that is larger than the minimum area may have parts that do not meet the 3:1 contrast ratio, as long as an area equal to the minimum does meet the contrast ratio.

この達成基準の日本語訳については、Website Usability InfoさんがWCAG 2.2 では「フォーカスの可視化」のビジュアル要件が規定されるかもという記事で試訳を公開されているのであわせて参照ください。

まだWCAG 2.2の作成プロセスの初期段階でもあるので、内容の詳細には立ち入りませんが、ロービジョンなどの障害のあるユーザーでも、フォーカスが当たっていることを認識できるようにするのがこの達成基準の意図であるとUnderStanding WCAG 2.2とされる文書ではうたっています(WCAG 2.2からリンクが張られている文書ですが、URLから見てもUnderStanding WCAG 2.1のように見えます)。

この新しい達成基準の適合レベルが最終的にどのような位置づけになるにせよ、現状ではブラウザーのデフォルトCSSでもって、この提案された達成基準を満たすことができないと思われますので、この達成基準を満たすためにはCSSに手を加える必要があるのがネックと言ったところでしょうか。特別な対応をせずともこの達成基準が満たせる状態になっている世界だと嬉しいかもしれない、というのが現時点での筆者の所感です。