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WebブラウザとWeb標準準拠

2005年4月28日

Web開発チーム
木達 一仁

Internet Explorer 7

Microsoft社製のWebブラウザであるInternet Explorer(以下「IE」)について、その次期バージョンにまつわる話題が、盛り上がりを見せつつあります。発端となっているのは、IEの開発者達が記事を投稿しているBlog、その名もIEBlog。今年の2月、Dean Hachamovitch氏が「IE7」という記事で、現在広く普及しているバージョン6の後継として、IE7を提供する予定があることを明言しました。

上述の記事においては、バージョンアップの内容は主にセキュリティ面の強化であるかのように書かれていました。しかしその約1ヶ月後、「IE and Standards」においてChris Wilson氏は、過去にもWeb標準(特にCSSとHTML)に対するIEのサポートを改善してきた経緯を紹介したうえで、IE7においてもその流れをくみ、これに取り組む旨を公表。そして先週、Chiris氏は「IE7 beta 1 - A few details…」のなかで、より具体的に透過PNG形式の画像ファイルへの対応や、CSSの解釈におけるいくつかのバグ修正を行ったことを明らかにしました。

IE7の最初のベータ版は、今夏公開される見込みだそうです。目下、Windows XP SP2環境のみに対象を特化してリリースが予定されている点は残念ですが、しかしWeb標準に対し前向きに取り組んでいるその姿勢は現時点でも高く評価できると思いますし、また歓迎したいと思います。

Web標準完全準拠への期待

すべてのブラウザがWeb標準に完全に準拠し、仕様を忠実に解釈して動作するようになれば、Webコンテンツの実装に要する労力は大幅に軽減できます。たとえば実装担当者にとって、ブラウザのバグや仕様の解釈の違いに起因する表示上の相違は頭の痛い問題ですが、その解消が期待できるからです。もちろんそれに伴い、制作にかかるコストも低減できるでしょうから、制作業務を発注される側にとってもメリットがあります。

Mozilla FirefoxOperaSafariといった多くのブラウザは、比較的頻繁にバージョンアップを重ねながら、Web標準への準拠を積極的に推進してきました。Mozilla Firefoxは、高いセキュリティやカスタマイズ性、あるいは動作の軽快さといった点から最近特に人気が急上昇しているブラウザです。つい先日バージョン8をリリースしたOperaは、PCのみならず携帯電話に搭載されるなど、多角的にシェアを獲得しつつあります。Mac OSのデフォルトブラウザはかつてはIEでしたが、既にMac版IEの開発は中止されており、2003年8月以降はApple社のSafariに取って代わられています。

しかしながら、高いユーザーシェアを誇るWindows版IEはというと、4年も昔の2001年8月にIE6がリリースされて以来、これといって目立った進歩やバージョンアップはありませんでした。Microsoft社が新バージョンのIEを(当初は同時リリースを予定していた次期OSのLonghornよりも先行して)提供しようと決断した背景には、IE以外のブラウザ人気に押され、そのシェアが低下し始めたという事実があるかもしれません。

IEのシェアを回復するための手段として、その昔Microsoft社がNetscape社とブラウザシェアの争奪戦を繰り広げた時と同様、なんらかの独自拡張を採用することも不可能ではないと思います。しかし、Web標準の重要性が、Web制作者のみならず広く認知されつつある今となっては、もはやそのような手法が有効ではないと、Microsoft社も認識しているのかもしれません。

真相がどうであれ、IE7のWeb標準準拠に向けた一連の動きが極めて重要な、注目に値するものであることは間違いありません。この動きに刺激を受け、Web標準に対して他のブラウザベンダも一層尽力されることを期待したいと思います。

いつの日か、すべてのブラウザによるWeb標準完全準拠が現実のものとなれば、Web標準のサポートはもはやブラウザにとって差別化のポイントなどではなく、ブラウザがブラウザとして機能するうえで必須の前提条件となることでしょう。

Acid2 Test

IE7の報を受け、かつてIE対Netscapeのブラウザ戦争を終息させるのに大きな役割を果たしたWeb Standards Projectでは、Acid2 Testと呼ばれるテストページを公開しました。これは、ブラウザのWeb標準への準拠の度合いをテストするものです。もしIE7がHTMLやCSS、PNGといったWeb標準仕様を適切に解釈すれば、Hello World!という文言と共に黄色いスマイリーが表示されるはず、というわけです。

是非あなたも、今お使いのブラウザでAcid2 Testを受験(Take The Acid2 Test)してみてください。予想図(the reference rendering)のように表示されず、顔が崩れて表示されたりしたのなら、つまりお使いのブラウザは完全にはWeb標準に準拠していない部分がある、ということです。

テストの結果はいかかでしたか?おそらく、完全なスマイリーを見ることはできなかったのではないかと思います。というのも、実はMozilla FirefoxやOpera、Safariの各最新バージョンですら、いまだこのテストをクリアできていないからです。ちなみに、Safariの開発者であるDave Hyatt氏は自身のBlog、Surfin' SafariにおいてAcid2 Testクリアに向けた挑戦の経緯を公開しています。

果たして、どのブラウザが最初にAcid2 Testをクリアするでしょうか?