AI時代のCMS考
テクノロジーアンバサダー榛葉「私たちは、技術の短期的な影響を過大評価し、長期的な影響を過小評価する」──アマラの法則
米国の未来学者ロイ・アマラ(Roy Amara)氏が唱えたといわれる経験則が、生成AIをめぐる議論でたびたび引用されています。とかく私たちは目先の変化に一喜一憂しがちですが、「変わること」と「変わらない本質」の見極めが今ほど重要なときはないかもしれません。
ChatGPTの登場から約3年、企業のWebサイトを取り巻く環境も、確実に変わりはじめています。Google検索にはAIによる概要(AI Overviews)やAIモードが組み込まれ、「検索してサイトを訪れる」前に「まずAIに聞く」体験が広がっています。
ブランド発見の経路が変わるなか、サイト訪問数などのトラフィック量だけでは、企業サイトの価値を測りにくくなっています。こうした変化のなかで、コーポレートサイトを開設し、CMS(コンテンツ管理システム)に投資する価値とは何でしょうか。
CMS本来の価値とは
従来、CMSは「Webページを効率的に編集・公開するための道具」と捉えられてきました。しかし、本来のCMSの価値はオーサリングツールだけではなく、意味的に整理され、構造化されたコンテンツを継続的に管理できる点にあります。構造化するからこそ、コンテンツの一貫性や再利用性が担保され、結果としてWebページの編集や更新も容易になります。
AI検索では、AIモデルが企業サイトから情報を取得する際、Webページを構成するレイアウトや装飾の重要度は下がります。場合によってはノイズになることもあるでしょう。HTML自体も機械可読ですが、ページには多様な要素が混在するため、意味を明示して提供できる「構造化データ」は、より意図した情報を抽出しやすいと言えます。
マシンリーダブルな構造化データの整備はSEO対策として以前から推奨されてきました。Googleも、AI機能に特別な最適化は不要としつつ、基本的なSEOの土台(クロール可能で、理解しやすく、整理された情報)が重要だとしています(AI 機能とウェブサイト)。
CMSを“信頼できる唯一の情報源”とする
AIモデルは、企業サイト、プレスリリース、IR情報、採用ページなどの公開情報を横断的に参照し、企業のブランド像を再構成します。もし一次情報に誤りがあったり、矛盾や曖昧さがあれば、AIが解釈して再構成した企業像もまた不完全なものになり得ます。
そこで重要になるのが、「SSoT(Single Source of Truth:信頼できる唯一の情報源)」という考え方です。
SSoTはもともと、データのサイロ化(孤立化)を防ぐために、売上はERP、顧客情報はCRMといった、各ドメインにおけるマスターを定義する文脈で語られてきました。この考えをWeb領域に適用して、CMSをSSoTとして機能させるならば、企業の情報発信におけるマスターデータを整えることにほかなりません。
具体的には、企業理念や事業情報、製品仕様、FAQ、IR情報といった公式情報を、矛盾なく最新化し、一貫したメッセージで発信し続けられる状態を整えることです。AIにも人にも同じ「正解」を提示し続けるための基盤として、CMSを捉え直したいと思います。
世界は思ったよりゆっくりと、しかし確実に大きく変わります。企業サイトをAIにも人にも「信頼できる唯一の情報源」として機能させるために、まずは準備を始めてみてはいかがでしょうか。
CMSセミナーのご案内
AI時代のWeb発信力を支える具体的な手法として、今、「ヘッドレスCMS」が注目されています。構造化されたコンテンツをAPI経由で活用できる仕組みは、AI連携の鍵となります。
3月5日(木)に、「AI時代の発信力:microCMS紹介セミナー」を開催します。
株式会社microCMS様をゲストに迎え、日本製クラウド型ヘッドレスCMS「microCMS」の特長や基本機能に加え、AI連携を見据えた最新動向まで、デモと事例を交えてご紹介します。
AI時代のWeb発信力を整える準備として、次なる施策を考えるヒントに、ぜひご活用ください。
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