政府ガイドラインに学ぶ「less is more」
テクノロジーアンバサダー榛葉最近は「持たない」「使わない」ことで、効率化や利便性を追求する「〇〇レス」という言葉が増えています。たとえば、キャッシュレスがそうでしょう。スーパーやコンビニでもキャッシュレス専用レジが増えました。背景には、人手不足の進行があります。現金決済にともなって生じるさまざまな労力を削減し、省力化・省人化が目指されています。
「サーバーレス」でスマートなクラウド利用
企業のWebサイト運用の文脈では、「サーバーレス(Serverless)」が注目です。もちろん、物理的なサーバーが存在しなくなるわけではありません。利用者がサーバー環境の構築や運用保守といった個別のIT管理を強く意識せずに、必要なコンピューティング資源を使えるクラウドサービスの考え方です。
約2年ぶりに改正されたデジタル庁の最新ガイドライン『政府情報システムにおけるクラウドサービスの適切な利用に係る基本方針』では、情報システムの調達において、サーバーレスなどマネージドサービスを活用した「サーバーを構築しないアーキテクチャの採用」が推奨されています。
サーバーを構築しないこと自体が利用システムのセキュリティ対策であり 大きなリスク軽減となる。 (『政府情報システムにおけるクラウドサービスの適切な利用に係る基本方針』p.22)
サーバーを構築しないシステムとすることのメリットは、セキュリティ向上とセキュリティ対策コストの削減です。
サーバーを自ら構築・運用すると、侵入監視、防御、脆弱性対応、設定管理などを利用者の責任で行う必要があります。これに対してマネージドサービスでは、その多くをサービス側の仕組みに委ねることができます。利用者はサービス活用に集中しながら、高水準のセキュリティ対策がより低コストで実現可能になります。
ガイドラインでは「クラウドサービスの採用をデフォルトとしつつ、単にクラウドを利用するのではなく、クラウドをスマートに利用するための考え方」を解説しています。政府向け文書ですが、社会全体のデジタル化を推進する観点から作成されており、企業サイトのWeb基盤刷新においても参考になる内容です。
ヘッドレスCMSの相棒「サーバーレスホスティング」
サーバーレス構成と相性がいいのが、ヘッドレスCMSです。ヘッドレスCMSは、コンテンツ管理とAPI経由でのコンテンツ提供を担当しますが、Webサイトの公開・配信には別の仕組みが必要になります。そこで、ヘッドレスCMSと組み合わせて利用されるのが「サーバーレスホスティング」です。
サーバーレスホスティングは、静的なWebサイトやモダンなWebアプリケーションを、サーバーを意識せずに公開・運用できる配信基盤です。現在は、AWS、Google Cloud、Azureなど、世界の主要なクラウドサービスプロバイダーが類似サービスを展開する注目分野となっています。
今回は、その代表的な選択肢の1つとして、Cloudflare Workersを紹介します。
Cloudflare Workersは、大規模なグローバルネットワークを持つCloudflareのサーバーレスコンピューティング基盤です。フォレスターリサーチの「The Forrester Wave: Edge Development Platforms, Q1 2026」ではリーダーに位置づけられています。エッジネットワーク上でコードを実行する仕組みは、高速で安全なWeb配信を実現する基盤として注目されています。
またCloudflareは、2026年1月に政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)への登録を公表しました。ISMAPは、政府が求めるセキュリティ基準を満たすクラウドサービスを評価・公開する制度です。一般企業にとっても、導入時のセキュリティ確認や監査対応を考えるうえで、参考にしやすい材料の1つといえるでしょう。
less is more(少即是多)──少ないことは、豊かなこと。この言葉に、サーバーレスの本質が集約されているように思います。企業サイトでは、表示速度、可用性、セキュリティ、運用負荷のバランスが重要です。そのバランスを考える時、ヘッドレスCMSとサーバーレスホスティングの組み合わせは、次のWeb基盤の有力な選択肢となります。
セミナーのご案内
6月11日(木)に、「Q&Aでわかる「ヘッドレスCMS」実践入門」を開催します。
本セミナーでは、日本製ヘッドレスCMS「microCMS」を題材に、導入・運用のつまずきやすいポイントをQ&A形式で整理。サーバーレスホスティングなど、ヘッドレスCMSには欠かせない相棒たちの仕組みも含めて解説します。
企業サイトのCMS選定・リプレイス検討で、気になる疑問の解消に、ぜひご活用ください。
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