EN 301 549 v4.1.1の正式公開:変更点とその影響、今から取り組むべきこと
アクセシビリティ・エンジニア 中村(直)この記事は、当社がアクセシビリティ分野で提携しているDeque社の記事、EN 301 549 v4.1.1 is final! What changed, what it means, and what you should do.を要約したものです。
欧州のアクセシビリティ規格であるEN 301 549 v4.1.1が9月2日付けで正式に公開されました。規格の内容はETSIのサイトで閲覧可能(PDF)です。これは、欧州のアクセシビリティ基準における大きな節目になりますが、3つのタイムラインの第一段階に過ぎません。
第二段階は、EN 301 549 v4.1.1がEU官報(Official Journal of the European Union, OJEU)で掲載されることです。EU官報に掲載されるまでは、EU指令の要求事項を満たしているとみなされる、適合の推定(presumption of conformity)は得られません。EU官報には11月末頃に掲載される見込みです。
第三段階は、EN 301 549 v4.1.1がEU加盟国の国内法で参照されることです。加盟国はいつ遵守を期待するかを定義します。
EN 301 549 v4.1.1への準備は今すぐ始めるべきです。主な理由は次の3つです。
- まもなくEUの正式な規格になる
- 国によってはバージョン番号なしでEN 301 549を参照しており、v4.1.1が即座に基準となる
- 特にリアルタイム通信(後述)の変更内容が大きく、対応には時間がかかる
EN 301 549 v4.1.1における最大の変更点は、WCAG 2.2レベルAAの採用です。次の6つの達成基準(リンク先はウェブアクセシビリティ基盤委員会が提供する日本語訳)が追加されました。
- 2.4.11 隠されないフォーカス (最低限)(レベルAA)
- 2.5.7 ドラッグ動作(レベルAA)
- 2.5.8 ターゲットのサイズ (最低限)(レベルAA)
- 3.2.6 一貫したヘルプ(レベルA)
- 3.3.7 冗長な入力項目(レベルA)
- 3.3.8 アクセシブルな認証 (最低限)(レベルAA)
「WCAG 2.2レベルAAに適合すること」と「EN 301 549 v4.1.1に適合すること」は同じではありません。EN 301 549にはWCAG以外の要求事項も含まれており、特に通信機能に関する要件が強化されています。
Clause 6(リアルタイム通信)の大幅な改定がされています。主な変更点としては、次の3つです。
- RTT(Real-Time Text)の要件強化
- 音声・テキスト・映像を同時利用できることを要求
- 発信者識別、通知、通話制御の要件更新
コンタクトセンター、ビデオ会議、通話・メッセージング製品などへの影響が大きく、大規模な改修が必要になる可能性があります。
一言でまとめますと、欧州アクセシビリティ指令(EAA)対応の基準としてEN 301 549がv4.1.1に改定され、Web分野ではWCAG 2.2 AAが正式に取り込まれました。欧州市場を対象とする組織は、今すぐ移行計画を立てるべきです。