サイト内AI検索を、より賢くする6つの方法
企業WebサイトにおけるAI検索ツールは、構想段階から実用段階へと移行しつつあります。一部の企業はいち早く、従来のキーワード検索に代えて、より高速で賢く、パーソナライズされた、ChatGPTのような検索体験を提供できるものへと切り替えています。
(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2025年9月25日に公開された記事「Six ways to build smarter on-site AI search」の日本語訳です)

Silicon Labsのサイト内検索機能 「AskAI」
先日開催したBowen Craggs Clubのイベントで、ドイツの総合電機大手Siemensのデジタルエクスペリエンス担当シニアプロダクトマネージャーであるMelanie Mrochen氏と、アメリカの低消費電力ワイヤレス接続のリーダー企業Silicon LabsのIoTプロダクトマネージャーであるLauren Handel氏に話を聞きました。テーマは、両社が自社サイトにおいて、サイト内検索をAIでどのように変革しているのか、何がうまくいき何がうまくいかなかったのか、AIツールに対するユーザーの信頼をどのように構築しているのか、という3つです。
以下では、このディスカッションから得られた6つの学びを紹介します。
ユーザーを最優先に考える
SiemensのMelanie Mrochen氏は、次のように述べています。「多くのお客様にとって、当社のWebサイトで必要な情報をすばやく見つけることは、今なお困難です。従来のキーワード検索だけでは、もはや十分ではありませんでした」。
両社が強調したのは、単に流行しているからではなく、ユーザーが実際に抱える問題を解決するためにこそ、AIを導入するべきだという点です。より速く効率的な検索体験を提供することは重要な第一歩ですが、それだけでは不十分です。ステークホルダーのニーズに合わせて設計し、彼らにとって最も関連性が高い情報を表示できるようにすることが求められます。
初期からステークホルダーを巻き込む
「部門内など閉じた環境でAIは構築できません」とMelanie氏は説明しました。
Siemensでは、法務・IT・データプライバシー・コンプライアンスといった部門の担当者をプロジェクトの初期段階から巻き込みました。これにより、リスクを早期に発見し、対応できるようになると同時に、社内関係者の理解と協力を得ることにもつながりました。
ガードレールを必ず用意する
Silicon Labsは、AIアシスタントを簡単に構築できる「Kapa.ai」と提携しました。その理由について、Lauren氏は次のように話しました。「Kapa.aiは推測で回答しません。わからない場合はわからないとユーザーに伝えます。それが私たちにとって大きな意味を持ちました」。
Siemensは、Groundfogとの協業により、AWSインフラ上で複数のエージェントを組み合わせるアプローチを採用しました。そこでは、拒否リストや参照できるコンテンツを厳格に制限する仕組みを組み込んでいます。両社に共通していたのは、誤解を招く回答を避けるために、透明性と制御に重点を置いていた点です。

Siemensの製品・サービスに特化したAIサイト内検索のスクリーンショット
コンテンツの質がAI検索の精度を左右する
AI検索の精度は、その基盤となるコンテンツの質によって決まります。「ユーザーが古い広報系の記事にたどり着いていることが判明しました」とMelanie氏は振り返ります。そして、それを受けてSiemensは古いコンテンツを検索対象から除外しました。
複雑な表や画像は、AIが扱いやすい形式に整えておくことが求められます。最も関連性が高く、最新のコンテンツを優先することで、システムが内容を適切に読み取れるようになります。
品質を高いレベルで維持するために人が監督する
Silicon Labsは、ユーザーから「役に立たなかった」と評価された回答をエンジニアがレビューし、モデルに再学習させています。Lauren氏は、「AIツールを導入する際には、常に人による監督が必要です」と述べています。
Siemensは、多言語による自動テストを実施して、エラーを検出しています。これにより、AIツールを検証可能で信頼できる状態に保っています。
利用を広げるには存在感を高める必要がある
Silicon Labsでは、サイト内検索機能 「AskAI」をリリースしたとき、単に「AskAI」ボタンを追加するだけでは不十分でした。
「私たちは機能についてきちんと周知し、わかりやすく見せる必要がありました」とLauren氏は語ります。実際に使ってみたユーザーからは、「AskAIは今までどこにあったのですか? とても気に入りました」といった、好意的なフィードバックが数多く寄せられました。
サイト内検索を変革するには、時間と投資が必要です。しかし、関係する幅広いチームが方向性を共有し、前向きに関与していれば、その実現に一歩近づくことができます。
現在提供されているAIサイト内検索の事例をご覧になりたい場合は、以下のサイトをご参照ください。
- Siemens
- Silicon Labs
- Aramco(サウジアラビアの石油・エネルギー大手)
- Eni(イタリアのエネルギー大手)
- Nvidia(アメリカの半導体大手)