海外Webトレンド「BC Thinking」日本語版

英国企業サイトのコンサル会社Bowen Craggs & Co.の許諾を得て、同社Webサイトの「Our Thinking」から抜粋し、グローバルWebサイト事例に関する記事を翻訳してお届けします。

ミツエーリンクスではBowen Craggs社と提携し「グローバルWebサイトベストプラクティス調査」サービスもご提供しています。

ビジュアル・ストーリーテリング :企業コミュニケーションを信憑性のあるものにするためのカギ

魅力的なオリジナル写真で、企業コミュニケーションを信憑性のあるものにするためのカギ

(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2023年5月23日に公開された記事「Visual storytelling」の日本語訳です)


アメリカ合衆国テキサス州オースティンで開催された、テクノロジー・ビジネス・音楽・映画の祭典「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)2023」では、デジタルコミュニケーターを悩ませている多くの疑問が、テーマとして取り上げられました。例えば、「企業は社会問題について、声を上げるべきか? 静観するべきか?」「政治色が強まる状況で、ESG情報を真摯に伝える方法は?」「生成系AIの広範な影響は?」などです。

私たちが参加した、ある講演がこれらの疑問の根底にあるテーマに触れていました。その講演は、ストックフォトプロバイダーPICHAの創設者Josiane Faubert氏と、New York TimesやThe Guardianなどに作品が掲載されているフォトジャーナリストのRita Harper氏による講演、「ビジュアル・ストーリーテリング:コミュニティを高める方法」でした。

PICHAホームページのスクリーンショット

PICHAは、ブランドや企業がより豊かなストーリーを伝えられるようにキュレーションした、アフロセントリックな写真素材を提供するストックフォトライブラリー

その講演のテーマは「信憑性」。そして「なぜ画像を使ってリアルなストーリーを伝えることが重要なのか」でした。

ここでは、企業のコミュニケーション担当者が、ビジュアル・ストーリーテリングの重要性を理解するために、カギとなるポイントを紹介します。

ストーリーを語るときは、一般的ではなく具体的に

企業のWebサイトでは、一般的な画像や、使い古されたストックフォトは使用しないことをお勧めします。これにはいくつかの理由があります。

まず、企業サイトの訪問者は、リアルではないものを見抜くセンサーが非常に敏感です。サステナビリティや採用情報など、特に信頼性が重要なカテゴリーでは、ありきたりな画像を使用することで、企業が発信する重要なメッセージにも、連鎖的に影響が及ぶ可能性があります。

次に、一般的な画像を使用すると、ほかの企業サイトと見分けがつかなくなります。

そして最後に、ストックフォトを使用すると、実際の従業員や仕事現場を紹介する絶好の機会、つまり、自社の本当の姿をステークホルダーにより深く知ってもらうチャンスを逃すことになります。

信憑性のある画像を使うことには、さらに多くのメリットがあります。

Josiane氏とRita氏は講演の中で、「人々の多様な経験を世界中で共有するために、ビジュアルメディアは不可欠であり、画像がストーリーを語り、物語を形作るのです」と述べました。

力強い画像は、個人のアイデンティティや文化、食べ物、衣服、場所などの具体的なディテールを通して、ストーリーを語ります。企業サイトなどで掲載している画像が、本当に人々の心を打つかどうか。それには、このようなディテールがカギとなります。

多様なストーリーを伝えよう

SXSWでJosiane氏とRita氏は、「2020年以降、より多様な写真素材を依頼する企業やブランドが、急激に増加していることに気づいた」と語りました。この傾向は、Black Lives Matter運動に起因すると考えられます。

そして、大企業によるこの試みが、失敗するケースが多いことにも、彼らは気づきました。その理由は、企業が具体的で真実味あふれるストーリーを語るのではなく、狭い視点から「各ステークホルダーが聞きたいだろうと思われるストーリー」を伝えていたからです。

Josiane氏とRita氏によりますと、企業が被写体に敬意を払い、洞察力をもって接する適切なパートナーを持っていないこと。あるいは、どのストーリーを伝えるべきかを決定する際に、委託に適した多様な編集チームを持っていないことが、問題のひとつになっているようです。

画像を依頼するパートナーの多様性が本物であれば、企業のダイバーシティ、イコーリティ(平等性)、インクルージョンという公約への推進をサポートできます。

Rita氏は次のように語りました。「ビジュアル・ストーリーテリングにおける多様性は、マイノリティ・グループを前面に押し出す強力な手段です。そして、そのようなグループに属する人々が、まるで写真家が彼らを見るように、よりリアルに自分たちを見られるようにする強力な手段でもあります」。

Rita氏の作品例はこちら

近作を特集したRita Harper氏のWebサイトのスクリーンショット

信憑性がカギ

企業Webサイトにおけるすべての主張は、可能な限り証拠で裏付けられるべきだと考えています。例えば、ESGに関する記述は、業績データ・ストーリー・ケーススタディなどと相互参照する必要があります。さらに、企業で働くことがどのようなことかを説明するコンテンツは、さまざまな従業員の声でサポートする必要があります。これらと同様に、Webサイト上の画像も、メッセージをサポートし、さらに信憑性を深めるものであるべきです。

具体的にはどうすればよいのでしょうか? まず、画像には、その人物の背景にあるストーリーを説明するキャプションを付けるか、周囲にあるテキストで画像をサポートする必要があります。

これを実践しているベストプラクティスは、イギリスの保険大手Avivaです。AvivaのWebサイトは、強力な人材プロフィールと実際の写真を通じて、社員を紹介しています。

重要なポイントは、画像が演出されたものではなく、自然体のものだということです。

AvivaのWebサイトにある「Our People」という記事のスクリーンショット。同社のサステナビリティ・グループ責任者のZelda Bentham氏が登場する

ストックフォトを避け、できるだけオリジナルの写真を使用することをお勧めします。しかし、企業Webサイトでは、ストックフォトが費用対効果の高い選択肢であり、避けられないケースがあることも理解しています。

企業がどうしてもストックフォトを使いたい場合は、実在の人物のストーリーに基づいて、キュレーションされた多様な画像を提供している、PICHAのようなフォトライブラリーを選ぶことをお勧めします。

また、会議室で握手する人々や、ホワイトボードを指さしながらほほ笑む従業員グループなど、ありきたりな画像を選ぶことも避けましょう。

企業サイト全体にオリジナル写真を使用するのが予算的に難しい場合は、アクセス数の多いページや人気のあるページ、影響力のあるページを優先してください。

企業のメッセージをサポートし、信頼関係を構築するだけではなく、付加価値を与え、有益なキャプションを付けた画像は、SEO対策・アクセシビリティ・二酸化炭素排出効率の観点からも優れています。

企業コミュニケーション担当者のための教訓

  • 企業サイトの写真を選ぶ際は、その背景にあるストーリーと、そのストーリーを企業サイトで伝える理由に焦点を当てましょう
  • 企業サイトの画像を依頼したり選んだりする際は、興味深いストーリーを確実に伝えるために、多様なアドバイザーと協力し、さまざまな意見を求めましょう
  • ストックフォトはできるだけ避けましょう。もし、どうしてもストックフォトを使用する場合は、包括的なフォトライブラリーの写真を選び、視覚的にありきたりなコンテンツを避けましょう

SXSW 2023 - 企業のデジタルコミュニケーターのための教訓

生成系AIツールの試用やESGメッセージの適合性評価など、大規模なテクノロジーイベントから得た重要な教訓を、当社CEOであるScott Paytonが紹介します。

(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2023年5月5日に公開された記事「SXSW 2023 - lessons for corporate digital communicators」の日本語訳です)

今年のSXSWでは、再生AIをめぐる期待と恐怖が会場の隅々にまで溢れました。

2023年3月、アメリカ合衆国テキサス州オースティンで開催された、テクノロジー・ビジネス・音楽・映画の祭典「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)2023」に参加しました。

さまざまなパネルディスカッション、プレゼンテーション、その他のセッションに参加しました。そこで取り上げられていた講演テーマの多くが、企業のデジタルコミュニケーターが今まさに直面している問題に関連していて、うれしく思いました。

ここでは、SXSW 2003のポイントを、4つに絞って紹介します:

企業のデジタルコミュニケーションに携わっているなら、今すぐ生成AIを試すべき

SXSW 2023では、生成AIの可能性に対する興奮と恐怖が、いたるところで感じられました。

今後、生成AIの長期的な影響がどうなるかはともかく、デジタルコミュニケーターはこのテクノロジーに慣れておくことが重要です。

今は、利用できるツールを使って、いろいろな機能を試してみる時期だといえます。

生成系AIツールは、社外の人々が企業に関するあらゆる情報を得る方法を変えます。それだけではなく、企業のコミュニケーションチームが資料を作成し、その影響を分析する方法をも劇的に変える可能性があるのです。

生成AIを体験するなら、Notion AIに登録してみましょう。

まず、インタビューや電話会議の書き起こしなど、長くて扱いにくい、編集されていないテキストの集まりをコピー&ペーストします。

次に、Notion AIにテキストの要約を指示します。テキストの末尾をクリックして、スペースキーを押し、ドロップダウンメニューから「要約(Summarize)」を選びます。

それだけで、テキストの要約が表示されます。この要約は完璧ではありませんが、編集者が出版できる品質にまで磨き上げていくための出発点としては、驚くほど有益です。この方法なら、担当チームの貴重な時間を節約できます。

重要なことは、デジタルコミュニケーション担当者は、人間の意思決定を置き換えるためにAIの活用方法を懸命に探すのではなく、紹介したNotion AIのように、自分たちの仕事をサポートするためにAIの活用方法を探すべきだということです。

ステークホルダーは、メッセージを以前よりも疑うようになった

多様性への誓約、気候変動に関する約束、政治的課題に対する立場など、企業はその主張を裏付ける具体的な証拠を示すことが求められています。

これは、ますます懐疑的になっている求職者・投資家・顧客・その他ステークホルダーの信頼を獲得し、維持するために不可欠です。

主張を裏付ける方法はさまざまあります。例えば、業績や社会的貢献活動の詳細なデータ、飾らない従業員の声、デジタルチャネル全体の画像が演出ではなく本物だと感じられるようにすることなどです。

ESGに関するメッセージは、重要ではあるが、複雑でもある

アメリカでは、社会における企業の役割や、投資家が社会・環境問題をどの程度考慮するべきかについて、政治的な考えと文化的な考えの二極化が進んでいます。そのせいで、企業の広報チームは頭を悩ませているようです。

アメリカの大手企業のデジタルコミュニケーション責任者は、SXSWのパネルディスカッションの中で「今、企業は発言を恐れています。正しいことをするよりも、正しいことをしていると思われることを恐れているのです」と述べました。

それはつまり、正しいことをしていても、「実際の企業は倫理や価値観を軽視していて、金もうけのためだけに、正しいことをしているように見せている」と、SNSなどで批判されることを恐れているのです。

ESGのメッセージに説得力を持たせるためには、前項の繰り返しになりますが、社会的・環境的な約束や政治的な立場と、事業の中核的な目標や、従業員・顧客・(架空のものではなく)具体的な地域社会のニーズとを、密接に結び付ける必要があります。そうすることで、政治的・文化的の両側からの批判を中和できます。

同業他社の集団から抜きん出ることは、これまで以上に重要かつ困難です

TikTokからTwitterまで、デジタルチャネルはかつてないほど膨大なコンテンツで溢れかえり、人工的に生成されたコンテンツも増える一方です。

同時に、企業はこれらのSNSで自社の「存在意義」をアピールし、環境や社会に対する貢献は競合他社よりも価値がある、と投資家や顧客、求職者やその他の人々へ、盛んに訴えています。

こうした状況は、企業のデジタルコミュニケーション担当者が、自社のメッセージを目立たせ、対象となる人々に響かせることを難しくしています。

これを解決するには、自社のWebサイトやSNSアカウントで、可能な限り独自性を打ち出すことです。ステークホルダーの声に耳を傾け、彼らがこれまでに見たことのないような斬新な方法で、彼らが望むコンテンツを提供することです。

これは今のところ、AIよりも人間のほうが上手にできることです。

金融系企業のWebサイトの改善方法

特徴的なデザイン、わかりやすいラベリングとスムーズな導線、透明性などを採用した、ベストプラクティスを紹介します

(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2023年4月6日に公開された記事「Overcoming digital communication mistakes in the financial services industry」の日本語訳です)

Zurichの企業サイトの「メニュー」コンテンツ

金融系企業の公式Webサイトの多くは、訪問者にとって同じようなデザインになっている危険性があります。

不明瞭で時代遅れの配色を選んだり、トップページで同じバナーを使ったり、金融業界に寄せられる批判に対処できていなかったり、といったことが要因です。

ここでは、金融系企業のWebサイトにおける4つの問題と、それらを克服するためのベストプラクティスを、併せてご紹介します。

課題1:似たような配色が多く、思うように個性が打ち出せていない

多くの銀行や保険会社は、洗練されたビジュアルであろうという思いから、業界内で似たような配色を選択しがちです。これこそデジタルコミュニケーションが単調で反復的なものに見えてしまう理由です。

もはや各企業のデジタル資産が、見分けられないところまで来ています。この問題を解決する方法は、より鮮やかな配色を選ぶことです。貴社のWebサイトを際立たせ、覚えてもらうことができます。

もし貴社のブランドカラーなどの都合で、配色を変更できない事情があったとしても、社内のブランドガイドライン担当者と協力して、活気のあるレイアウトや、できる限り異なる色を選ぶようにしましょう。

ベストプラクティス:NatWest Group - 遊び心のある色を組み合わせて、同社のイメージに活気を与えています

NatWestの企業サイト

大胆な色使いが特徴のNatWest Groupのホームページ

イギリスの金融持株会社NatWest Groupが、最近デザインを一新したWebサイトは、パープル、イエロー、ピンクという配色で、新鮮さと楽しい雰囲気をもたらしています。

この選択は、NatWestのブランドカラーであるパープルを強調しつつ、現代的かつ明るい色で補うものです。コンテンツは、年次報告書やCEOメッセージなど、多くの金融系企業と共通するものですが、NatWestのそれはより鮮やかで、親しみやすい印象を与えています。

また、現在はリテールサイトとの一貫性や、ブランドの統一感もあります。

課題2:トップページのコンテンツがほぼ同じで、特長を強調できていない

トップページに年次報告書やCEOの最新メッセージへのリンクを置くことは、重要でやむを得ない場合もあります。しかし、ファーストビューのバナー全体を占める必要があるのかどうかは、再考する時期が来ています。

金融系企業の多くは、トップページに「本決算資料」や「年次報告書」などのバナーを置き、同じようなコンテンツを宣伝していることが少なくありません。そのため、企業独自の興味深いコンテンツは、ページの下方に押しやられています。これは、トップページの貴重なファーストビューを活かして、訪問者に貴社の強みを伝える機会を逃しているといえます。

ベストプラクティス:Goldman Sachs - トップページでポッドキャストをアピールしています

Goldman Sachsの企業サイト

Goldman Sachsのトップページは、同行のポッドキャスト・コンテンツを宣伝している

アメリカの金融グループGoldman Sachsは、トップページのファーストビューを活用して、「Goldman Sachs Exchanges」というポッドキャストを訪問者に紹介しています。PDFの報告書よりも、有益で独自性があるマルチメディアを優先することで、訪問者に対して鮮烈な印象を与え、恐らく今まで見たことがない、ポッドキャストに注目させています。

ベストプラクティス: Santander - トップページ画像の革新的な利用で、同社のイメージを向上させています

Santanderの企業サイト

Santanderの印象的な画像と見出しの使い方

スペインの銀行大手Santanderが、革新的な画像と見出しを使って打ち出しているサステナビリティのメッセージは、瞬間的なインパクトを与えています。これは、多くの金融系企業がWebサイトで使用しているバナーと、一線を画しています。

トップページには、興味がある閲覧者が見つけられる大きさの、「2022年度年次報告書」へのリンクが貼られています。適切な位置・サイズでリンクを配置していて、ページを圧迫していません。他の銀行のトップページと同じように見えるリスクを回避しています。

課題3: 高度な製品サービスを求める法人顧客向けの、導線がわかりにくい

再保険や複雑な投資商品など、より高度なサービスを求める法人顧客ですが、銀行や保険会社のWebサイトでは軽視されることもあるようです。その傾向は、ナビゲーションが不明瞭だったり、サービスの概要がなかったり、といった事象に現れています。

多くの企業は「Who We Are(私たちは誰か)」カテゴリーに断片的な情報を掲載していて、それが訪問者をマイクロサイトやWebフォームへと誘導することもあります。ただ、このやり方は訪問者にとって、わかりにくく不親切な場合があります。

そのせいで訪問者をいら立たせことはリスクであり、売り上げを失ったり、最も有益な顧客を混乱させたりする危険性もあります。

つまり、潜在顧客となり得るすべての訪問者に向けて、関心がありそうな製品サービスへの適切な道しるべを置くことが重要です。

ベストプラクティス:Zurich - 複雑な保険商品を、整然と表示しています

Zurichの企業サイトのメニュー

Zurichの構成がよく、直感的なメニュー

スイスの保険大手ZurichのWebサイトにある「Menu」ボタンをクリックすると、カテゴリーとサブカテゴリーのリストが、わかりやすく表示されます。「Products and Services (製品とサービス)」の見出しの下には、「Protect your business (ビジネスを守る)」「Protect your employees (従業員を守る)」といった企業に特化したサブカテゴリーなど、さまざまな種類の保険商品が並んでいます。これらのリンクをクリックすると、利用可能なソリューションが表示されます。

このように、商品やサービスを理にかなった形で表示することにより、ユーザーは必要な情報へスムーズにアクセスできます。なお、メニューの上部に、お問い合わせページへのリンクもわかりやすく表示しています。

課題4:よくある批判に、正面から向き合わない

当社が作成したランキングで上位となっている金融系企業でさえ、デジタルコミュニケーションで、化石燃料関連事業への投資やマネーロンダリングに関する議論などの問題と向き合うことに消極的です。

ネットゼロ計画に対する取り組みを計画し、サステナブルな投資へのコミットメントをアピールするものの、いざ論争になると沈黙してしまうのも、典型的なアプローチだといえます。 あるいは、法律主義的な方針のPDFや「statements (声明)」のリストに沿う形で、論争に対処するでしょう。

リスク管理を専門とする業界が、リスクを避けるのは当然かもしれませんが、ステークホルダーや規制当局は、金融系企業が一歩進んだ対応をしてくれることを望んでいます。

ベストプラクティス: 金融系企業以外のWebサイトを参考にします

Glencoreの企業サイト

Glencoreの企業サイトのESG A-Zメニュー

Bowen Craggs Indexに含まれる金融系企業にとって、論争への対応について世界的に効果的なベストプラクティスが不十分です。

金融系企業は、自分たちが投資先として選ぶであろう、関心が高い社会問題に既に取り組んでいる業界の、企業Webサイトを参考にする必要があります。

例えば、スイスの資源大手Glencoreの「A-Z」コンテンツや、当社Indexの上位企業の事例を参照してください。

金融系企業は、鉱業や石油掘削など、社会的な関心が高い業界に直接関与しているわけではありませんが、ステークホルダーや一般市民は、これらの事業に携わる企業と、事業に融資する企業とのあいだに、大きな違いはないと考えています。

まとめ

ここまで紹介してきた問題は、金融系企業のデジタルコミュニケーションによく見られるものです。しかし、(特に過去や現在の論争について)透明性を確保し、すべての訪問者にとってわかりやすいユーザー導線を設計し、自社を際立たせる魅力的なビジュアルの使用に注力することで、問題を解決できます。

Tom Greenwood氏へのインタビュー

「Sustainable Web Design」の著者であるTom Greenwood氏に、Webサイトの炭素排出量を抑える施策の最新トレンドや、Webプレゼンス向上の始め方などについて、Bowen Craggsに語っていただきました。

(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2023年2月28日に公開された記事「In Conversation With: Tom Greenwood」の日本語訳です)

Indeed Innovationの企業サイト

Indeed Innovationの企業サイトのトップページ

Webサイトの二酸化炭素排出量の多さが注目される中、きっと貴社のWeb担当チームも、自社サイトから排出される二酸化炭素の削減方法を、検討しているのではないでしょうか。

Bowen Craggsは、サステナブルビジネスとデザインの専門家であるTom Greenwood氏に、最新トレンドや正しく取り組んでいる企業、そして、企業Webサイトをより環境に優しいものにするため、まずやるべきことついて話を聞きました。

今後1年間で注目すべき、Web技術による炭素排出量を抑える施策のトレンドは何でしょうか?

Tom Greenwood氏(以下:TG): これからは低エネルギーな、より暗い配色やダークモードを意識したデザインが、トレンドになると思います。もう1つの新たな傾向は、Webサイト上で使用エネルギー量と炭素排出量のデータを、リアルタイムで報告する企業が増加していることです。国から供給される再生可能エネルギーが少ない時間帯には、排出量削減のため、Webサイトのデザインやコンテンツの変更も可能です。

現在、そうした施策を順調に進めている企業や法人と、その理由を教えてください。

TG: 例えば、オランダのIT関連企業Aliter Networksや、環境中心のデザイン・コンサルティング会社Indeed Innovationは、低エネルギーな暗い配色を実装するため、Web上のブランド・アイデンティティを変更しました。これはWebデザインだけではなく、オンライン活動全般の基盤となるブランドデザインに、サステナビリティの考え方を統合した好例だと思います。

現時点での最先端といえるのは、電力需要と再生エネルギーの供給に適応するデザインでしょう。この先駆的な例は、サステナブルで公正なインターネットをテーマにしたオンラインマガジン「branch」です。このサイトのヘッダーには、エネルギー供給とデザインの状況を表示する「Grid Intensity View」があります。

企業のデジタル・コミュニケーション担当者が、自社のWebサイトの炭素効率を高めるために、最初にすべきことは何でしょうか?

TG: Web技術が炭素排出量に影響を与えている状況を、まだ多くの人が認識していません。最初の一歩としては、この問題と潜在的な解決策について、まずはよく知ることをおすすめします。

WebsiteCarbon.com/のようなツールや、私の著書「Sustainable Web Design」を参考にするとよいでしょう。

そして、基本的な認識を持った上で、まずは改善点を1つ選ぶことがおすすめです。すべてを一度に取り組もうとするのではなく、1つのことに集中するのが、ベストなスタートだと思います。

多くのケースで最も簡単かつ効果的な方法は、Webサイト上の画像を見て、どの画像なら削除できるか、どの画像をより小さなファイルとして読み込めるように最適化できるか、を検討することです。そうすることで、Webサイトの読み込み時間が改善され、デザイナー、開発者、マーケティング担当者は、サステナブルなWebサイトの開発プロセスに注力できます。

Bowen Craggsの多くのクライアントにとって、企業Webサイトの炭素効率を考えることは、新しい取り組みとなるはずです。そこで「Carbon Budget」とは何か、問題の定義づけにどう役立つのか、先輩や同僚にうまく伝えるにはどうしたらいいのか、について説明をお願いします。

TG: Webサイトによる気温上昇を何度抑えたいという目標を決めると、温室効果ガスの累積排出量の上限も自然と決まります。そこから今後排出可能な量を算出する方法が「Carbon Budget」です。

Websitecarbon.comやEcograderのようなツールを使えば、Webサイト担当チームは事前に、自社サイトの既存ページや競合他社のページをベンチマークできます。その結果を踏まえて、自分たちの改善目標を設定できます。この目標が、自分たちのWebサイトで許容されるCO2e(二酸化炭素に換算した数値)の最大量、あるいは「予算」となります。

例えば、自社の現在のWebサイトが1ページビューあたり2グラムのCO2を排出し、競合他社のWebサイトが1ページビューあたり1~1.5グラムのCO2を排出していた場合、Web担当者はベスト・プラクティスを示すために、1ページあたり1グラム、またはそれ以下の「予算」を設定したいと考えるかもしれません。このような「予算」は、デザイナーや開発者を、自分たちの決定による影響を分析することに集中させることができます。

また、「Carbon Budget」に代わるものとして、各ページで読み込まれるデータ量の上限を設定する、「Page Weight Budget」という方法があります。

これは純粋な環境指標ではありませんが、「Carbon Budget」と同じような効果が期待できます。さらに、デザイン要素やコードのサイズをキロバイト単位で容易に計算できるようになり、デザイナーや開発者が作業しやすくなります。

※サステイナブル・Webデザインに関する当社の取り組みについては、ミツエーテックラジオの#11「サステナブルWebデザイン」をご覧ください。

Bowen Craggsによる企業デジタルコミュニケーションのトレンド2023年版

デジタル部門のマネジャーも、企業のデジタルコミュニケーションの世界で先端を行くことに興味がある人も、これらは考慮すべきトレンドです

(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2023年2月13日に公開された記事「Bowen Craggs' Corporate Digital Communications Trends for 2023」の日本語訳です)

Targetのサイト

企業のデジタルコミュニケーションは、常に進化し続け、新しいトレンドや技術に適応しています。

特に今年、企業はより魅力的でアクセスしやすいコンテンツの表示方法や、ESG(環境、社会、ガバナンス)とデータの透明性がいかに重要か強調することに取り組んでいます。

この記事では、企業のデジタルコミュニケーションにおける今後の重要なトレンドを探り、デジタルコミュニケーションを改善するための革新的な戦略について、見識を提供します。

1.今年は、PDFに閉じ込められた素晴らしいコンテンツを解放する年にしよう

企業が作成する統合レポート・年次報告書やサステナビリティ報告書などには、非常に魅力的なストーリーやインタビュー、導入事例が含まれていますが、PDF形式で作成されることが少なくありません。

そして、残念ながらそうしたコンテンツは、必ず企業サイトに掲載されるわけではないのです。

レポートの要点をHTML形式で新たに処理し直すことは重要です。長いPDFのレポートを読まないような、求職者、個人投資家、金融アナリストやメディア関係者など、より幅広い訪問者たちは、この処理を高く評価するでしょう。

では、PDFレポートのコンテンツをHTML形式で表示するには、どのような方法がベストでしょうか?

また、企業サイトのどこに置くべきでしょうか?

このような問いに対して、Bowen Craggs Index内の3社、 イギリスの製薬会社GSK、イギリスのエネルギー大手bp、スイスのNestléは、クリエイティブに答えています。

2.従業員のストーリーを通じて、企業メッセージを発信しよう

昨年、自社のデジタルチャネルで従業員のエピソードを紹介することで、レベルアップした企業がいくつか見られました。

今年はそのトレンドが、さらに広まると予想しています。

この背景には、コロナ禍後の勤務形態の変化、重要性を増す企業の責任あるメッセージ、深刻化する採用市場があると考えられます。

従業員エピソードの活用は、次のようなコミュニケーションの問題を改善します。

  • 大手企業に人間らしい一面を加えることで、信頼とつながりを築きます。
  • 最先端の仕事を支える優秀な人材を紹介することで、求職者や従業員を引きつけるだけではなく、独自のセールスポイントとしてイノベーションを強調できます
  • リモートワークなどで分散した職場環境において、従業員に「見られている」「評価されている」と感じてもらうことは、ますます重要になります。
  • Bowen Craggs Indexの中で、これを巧みに実施しているのは、bpとイギリス保険大手Avivaの2社です。

    3. 意義ある計測をしよう

    企業のデジタル担当チームは、管理するデジタルチャネルのプレゼンス向上をさらに検討し、データを社内で共有する必要があります。

    今後、チームにとって大きな課題となるのは、次の2つ。膨大な量のデータからどのように情報を選別して報告するのかを決めることと、社内で追跡と共有が可能な意義があるKPIを設定することです。

    2023年7月にはGoogle Universal Analyticsが廃止され、Google Analytics 4に置き換わります。企業のデジタル担当チームでは、すでにWebサイトの効果計測に取り組んでいることと思いますが、このGoogle Analytics 4への対応は、特にGDPR(EU一般データ保護規則)準拠に関する懸念を考えると、さらなる課題となるでしょう。

    Bowen Craggsでは、他のアクセス解析サービスに移行する顧客を認識しており、さらに多くの顧客がそれに続くと予想しています。

    Bowen Craggsはこの件により、アナリティクスをどのように利用し、どのようにプライバシーを尊重すれば、ユーザーと企業の双方に利益をもたらすことができるのか、より大きな議論につながることを期待しています。

    4. IAを厳しく見直そう

    ここ数年間は、視覚的な基準や派手な新技術が大きく飛躍しました。そして、2022年は目立たないながらも革命的な変化がありました。

    それは、Bowen Craggs Indexの上位企業の数社が、自社の情報アーキテクチャ(IA)を厳しく見直し、構造とわかりやすさに光明を見いだしたのです。

    例えば、Nestlé とGSKの両社は、これまで膨大だった「Sustainability」や「Responsibility」のカテゴリーを含め、企業Webサイトのカテゴリー全体を抜本的に再構築しました。重要な環境問題や社会問題に対して、企業がどのような発言をしているのかを簡単に調べたり、希望する詳細レベルまで掘り下げたりできるように、訪問者のニーズを第一に考えた変革を実施したのです。

    最近は、さまざまなステークホルダー、特に若いステークホルダーは、パーソナライズされたと感じられるデジタル体験を求めています。たとえ、実際はパーソナライズされていなかったとしても。それに応えるためには、明確で整理されたIAが欠かせません。

    IAの複雑さを正しく理解することは、ファインダビリティ、SEO、デジタルサステナビリティ、そして企業の透明性や誠実さに対する訪問者の認識などに、大きな影響を与えます。

    今こそ企業はNestléやGSKのように、IAを改善・強化する好機です。

    5. より詳細なESGデータを掲載しよう

    もし2021年を、社会的・環境的な公約を発表する企業であふれかえった年とするならば、2022年は、主要な企業が公約をどのように実践しているかを、自社Webサイトで詳細な証拠を紹介した年でした。

    2023年は、あらゆる閲覧者層が、より詳しいESGデータを企業に求めるようになるでしょう。そのため、企業のデジタル担当者にはぜひ、新年に作成するToDoリストにESGデータの拡充を加えていただきたいところです。

    この分野の「ベストプラクティス」を見たいのであれば、アメリカの小売業者であるTargetのコーポレートサイトをご覧ください。

    最近「Sustainability & ESG」カテゴリーを再編成して、ESG目標だけではなく、それを達成するために築いた強固な基盤についても明確に説明しています。

    また、Targetの「Diversity, Equity & Inclusion」というコンテンツや、関連データの見せ方は非常に優れています。

    さらに、ESGの実績を示すデータは、PDF形式に加えてExcel形式でもダウンロード可能です。

    まとめ

    2023年、企業のデジタルコミュニケーションは、エキサイティングな展開を迎えようとしています。

    ステークホルダーとの信頼関係を構築する従業員ストーリー、有意義なデータ計測、明確な情報アーキテクチャのいずれにおいても、他社に先駆けて維持することが重要です。

    また、視聴者はESGに関する公約を、企業がより深く証明することを求めており、それがデジタル担当者の最優先事項となっています。

    この領域の継続的な進化に伴い、より親しみやすく、よりエビデンスに基づいたコミュニケーションへの流れが強まり、企業Webサイトは、企業がステークホルダーとつながるための、さらに重要な手段になることが予想されます。

    今こそ企業Facebookのプレゼンスを見直す時です

    InstagramやTikTokといったSNSの人気が高まり、Twitterの先行きが不確かな今、企業チャネルとしてのFacebookを再評価する良い時期です。
    まだ役立つのか? 誰にリーチするのか? 何を投稿すべきか?

    (この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2023年2月7日に公開された記事「It's time to re-think your Facebook presence」の日本語訳です)

    先述のような疑問に答えるため、Bowen Craggs Indexのリーダー企業や、アメリカの経済誌Forbesが発表する独自ランキング「The Global 2000」の上位100企業、関連する外部調査を基に、Facebookの利用状況を調べました。

    そして、Facebookのプレゼンスに関して、企業が考慮すべき3つの重要な要素がわかりました。それは、ユーザー統計データ、エンゲージメント指標、そしてコンテンツ戦略です。

    1. Facebookのユーザー統計と増加率から見えること

    近年、Facebookは高齢者層向けという認識が浸透し、企業チャネルとしての影響力が低いと見なされています。

    しかし、企業のFacebook利用には、見逃されがちですが重要な利点があります。それは、高齢者層は若年層ほど多様なSNSを利用していないことです。今後Facebookのユーザーはますます高齢者層に限定され、日常生活でさまざまなSNSを閲覧するであろう若者とは異なる高齢者層には別のSNSを使ってもリーチできません。

    通常、Facebookのユーザー統計は、アクティブユーザー数を重視します。これは潜在的な閲覧者を考える静的な方法です。現在、Facebookではミレニアル世代(26歳~41歳)のユーザーが他のどの年齢層よりも多いのですが、その数はそれほど急に増えてはいません。実際、2018年から2019年にかけて、65歳以上のユーザーは26%から40%へと、14%も増加しましたが、ミレニアル世代は2%の増加にとどまりました。

    企業としては、若年層を惹きつけるプラットフォームを優先したくなるかもしれません。しかし、Facebookは高齢者層にリーチできる唯一のSNSである可能性が高く、実際にこの年齢層のユーザーが増加していることを、忘れてはいけません。

    2. エンゲージメントの数値が低くても落胆しないでください ― ページの視聴回数は必ずしも「いいね!」の数で決まるわけではありません

    ブランドのSNSにおけるエンゲージメントを評価するとき、「いいね!」やフォロワーの数が主要な指標とされることが多いです。しかし、実際にコンテンツがどれだけ読まれたかが、これらの指標に正しく反映されているとは限りません。

    閲覧者は企業の投稿を見てはいるものの、プラットフォームによってアルゴリズムが異なったり、ユーザー層によってコンテンツとの接し方が異なったりと、さまざまな理由から投稿に反応していない可能性があるからです。

    それよりも、Facebookの有効な指標は、Facebookアカウントのページビュー数です。プラットフォーム上で検索でき、閲覧者の年齢でフィルタリングできます。

    Bowen Craggs Indexのリーダー企業各社が運営するFacebookとInstagramを比較すると、フォロワー数と「いいね!」の関係にズレがありました。Facebookアカウントにはより多くのフォロワーがいる一方で、Instagramの投稿には、より多くの「いいね!」がついています。

    例えば、イギリスの食品・日用品大手Unileverは、運営するFacebookInstagramのアカウントで、ほぼ同じ日に、同じ内容とバイオグラフィーで投稿しています。最近の投稿では、フォロワー約400万人のFacebookよりも、フォロワー数18万8000人のInstagramのほうが、多くの「いいね!」を獲得しました。

    これは、閲覧者が積極的にコンテンツに反応しなくても、Facebookはコンテンツを広めるのに適切なSNSだということを示しています。これを理解しておけば、企業はチャネルに適したコンテンツ作成に注力しやすくなります。

    Unileverの公式FacebookとInstagramのアカウント

    3. コンテンツを賢明に多様化しよう

    世界的なメガバンクのHSBCやRBC、鉱山・金属会社であるRio Tintoなど、Bowen Craggs Indexの上位30社や、Forbes「The Global 2000」の上位100社に入る企業の多くは、Instagram、Facebook、Twitter、LinkedInなどの投稿を複製またはアカウントの特性に適応させることで、ソーシャルメディアプラットフォーム全体で一貫したプレゼンスを維持しています。

    ここでいう複製というのは、全く同じコンテンツとキャプションを使用した完全な複製か、各プラットフォームの規範と閲覧者の期待に合わせてフォーマット、キャプション、画像、トーン&マナーを適応させた複製のいずれかです。

    ドイツの大手製薬会社Bayerは、複製したコンテンツとプラットフォームに合わせて適応させたコンテンツの両方を使用しています。しかし、サステナビリティのような重要で広範なテーマについての投稿は、完全に内容をカスタマイズしています。それは、Bayerが女性の健康に関して、Instagramに投稿した動画からもわかります。

    この動画は、本格的なビデオ通話によるインタビュー形式で収録されています。この形式の動画は、より若く、おそらくタブーを破ることに寛容な閲覧者に適しています。同じ動画をFacebookに投稿しても、閲覧者が期待する内容や形式ではないため、異なる反応が返ってきたかもしれません。

    また、Bayerは同社CEOがリサイクル施設の落成式に出席している写真をTwitterに投稿しました。この写真は、Instagramでは視覚的に十分なインパクトがなく、ストーリー性に焦点を当てたFacebookアカウントでは、企業PRらしさが強すぎるかもしれません。

    そして、子どもたちがサステナビリティについて語る動画は、BayerのFacebookアカウントでのみ公開しています。この動画はデスクトップでの視聴に最適化されていて、動画の長さを考えるとInstagramではあまり効果がないでしょう。この子どもたちがサステナビリティについて語る動画は、お子さんやお孫さんがいる閲覧者に対して、よりアピールできるコンテンツです。

    Bayerは、各プラットフォームの閲覧者と、そこでの期待値に合わせて、特別にコンテンツをキュレートしています。もし、3つのプラットフォームすべてでBayerのアカウントをフォローした場合、さまざまな情報やストーリーを見ることができるでしょう。そしてもし、1つのプラットフォームだけでフォローした場合、その人に合わせたコンテンツを入手できます。

    BayerのFacebookでは、子どもたちを取り上げて親世代の閲覧者にアピールしたり、家族を持つ従業員を紹介したり、歴史的な出来事をテーマにしたストーリーを作ったりしています。

    Bayerの公式FacebookとInstagramとTwitterアカウント向けのキュレートされたコンテンツの例

    まとめ - Facebookの適切な役割を見つけよう

    今こそ、Facebookにおける貴社のプレゼンスを再考する良い時期です。このプラットフォームは、ソーシャルメディアで高齢者層にリーチする唯一のチャンスかもしれません。

    また、「いいね!」の数は少ないかもしれませんが、それはFacebookの投稿が閲覧者にインパクトを与えていないわけではないことが、Bowen Craggsが多くの企業を調査した結果からわかっています。そして、Facebookをチャネルとして過大評価も過小評価もせず、閲覧者が誰で何を望んでいるのか、プラットフォームで何を見たいのかに焦点を当てることが重要です。

    製薬会社のWebサイトを改善する方法

    ありきたりな表現を使わずに、自社らしさをアピールするためのベストプラクティス

    (この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2023年1月20日に公開された記事「Overcoming digital mistakes in the pharmaceutical industry」の日本語訳です)

    製薬会社のWebサイトを訪れると、イノベーションへの誓い、より健康的な社会や持続可能な世界への貢献という企業メッセージ、患者の笑顔の画像などを目にすることがあります。しかし、製薬会社がより詳細な情報を提供しなければ、これらのメッセージや画像が陳腐化する恐れがあります。

    その結果、製薬会社のWebサイトは訪問者にとってありきたりなものとなり、企業の強みを際立たせる機会を失ってしまうことにもなりかねません。今回は、製薬会社のWebサイトによくある大きな課題4つと、それらを克服するためのベストプラクティスをご紹介します。

    課題1:主張するイノベーションに関して、継続した情報追加がないこと

    「イノベーション」は、製薬会社がアピールするメッセージの1つですが、多くの企業はその根拠を示していないケースが多くあります。「当社の画期的なイノベーション」などの大胆な表現で、訪問者の関心を集めているにもかかわらず、それを実証できておらず、このままでは求職者や投資家など、企業が獲得しようとしている重要な訪問者から良い評価を得にくくなってしまいます。

    ベストプラクティス: Roche - エビデンスに基づいた主張が印象的な「Innovation (イノベーション)」カテゴリー

    Rocheの企業サイト

    Rocheの企業サイトの「Innovation」カテゴリー

    スイスを拠点とする製薬大手のRocheは、ただイノベーションを主張するだけではなく、その革新性を行動で示しています。そこには、CEOによる率直かつ印象的なQ&A形式の動画があり、会社の研究開発のアプローチに関する質問に簡潔に答えています。

    Team & structure」「Innovation process」というページでは、インフォグラフィックやレイアウトを効果的に使い、イノベーションという主張を事実で裏付けています。

    さらに、Rocheの「Group Innovation Engines」「Innovation process」では、新製品を生み出すまでの過程を紹介し、Rocheについてさらに深く知ることができます。

    課題2 : 信憑性を代弁するため、笑顔の患者の画像を使うこと

    製薬会社はWebサイトで、患者が笑っている画像を掲載しているケースが多くあります。患者の幸せそうな様子は、治療の成功をイメージさせる効果的なメッセージのように見えますが、必ずしもそうとは限りません。

    すべての製薬会社のWebサイトで同じような画像を目にすると、訪問者が不審に感じてしまう可能性があります。このような画像を使用している企業は、少し挑戦的ですが、よりリアルで魅力的な体験を伝えることの価値を見落としています。

    ベストプラクティス : Novo Nordisk - リアルな患者の写真を掲載

    Novo Nordiskのコーポレートサイト

    Novo Nordiskのコーポレートサイトに掲載されている患者の写真

    デンマークの製薬会社Novo Nordiskkは、トップページから下層ページまで、斬新な表現を取り入れています。笑顔の患者の写真も使用していますが、バランスの取れた編集により、くどい印象はありません。

    例えば、「Disease areas (疾患分野)」カテゴリーの成長障害1型糖尿病のページでは、実際に疾患と闘う患者の写真や体験談を紹介しています。また、アルツハイマー病のページのように、「紹介しているカップルはモデルであり、実際の患者ではありません」と注釈を掲載している場合もあります。

    さらに、Novo Nordiskは、豊富な統計情報、世界中のR&D施設の紹介、各種データなどを用いて、患者のサポートに注力する姿勢をアピールしています。

    課題3 :サステナビリティ目標の見分けがつかないこと

    製薬会社のWebサイトでは、サステナビリティの目標として「地球にやさしい」や「人々に健康を」などのメッセージを掲げることが定番になっています。企業のデジタル担当者が、このようなスローガンを調整するのは難しいかもしれません。しかし、もし自社が競合他社と同じようなメッセージを採用していると気付いたら、どのように自社のデジタルチャネルでスローガンを実現していくのか、検討することが重要です。

    事実に基づいたコミュニケーション手法を活用することで、使い古されたサステナビリティ・メッセージでも、印象的なものに変えることができます。

    ベストプラクティス:Pfizer - 対応を具体的に示す

    Pfizerのサイト

    Pfizerの「Environmental Sustainability」カテゴリー

    Pfizerのサイト.png

    Pfizerが公開している詳細な業績指標

    アメリカ製薬大手のPfizerは、Webサイト内の「Environmental Sustainability (環境サステナビリティ)」というサブカテゴリーで、決まり文句にとらわれず、事実と統計に基づいて自社の方針を説明することに重点を置いています。まず、ページタイトルの下で概要として、気候変動の緩和、資源の節約、廃棄物の削減など、明確な目標を掲げています。続けて、実績ベースの行動計画を掲載しています。

    また、「Sustainable Medicines (持続可能な医薬品)」という見出しを付けた段落で、医薬品の環境負荷を低減する方法を追求するという、Pfizerの姿勢を強調しています。このエリアでは、「Waste (廃棄物)」や「Making a Greener Workplace (環境にやさしい職場づくり)」などのテーマが一覧できます。そして、+印をクリックすることで、Pfizerのコミットメントの概要と詳細情報へのリンクを展開・表示します。

    最後に、「Performance Metrics (パフォーマンス指標)」という見出しの下に、CSRに関する重要業績評価指標を掲載したWebページへのリンクがあります。このページでは、目標がリスト化されていて、予測される目標に対する進捗を明らかにするデータを、表形式で提供しています。

    課題4 : 医療従事者、介護者、患者のための案内が欠けていること

    患者や介護者、医療従事者は、製薬会社のWebサイトで目当ての製品・サービス情報を見つけるのに苦労することが多いようです。これは、ヘルスケアや医療サービスに関するマーケティング規制が世界各地で異なるためです。

    もし、製薬会社がリスクを回避するために厳格な対策を講じて、判で押したようなアプローチを選んだ場合、情報が乏しくなる可能性があります。患者や介護者、医療従事者といった閲覧者には、可能な限り、製品やサービスの関連情報や、地域に根ざした情報などへ、スムーズに導く必要があります。場合によっては、ユーザーに最適なサービスを提供するために、国や地域の規制当局と協力して、どのような情報であれば許容されるかを確認する必要があるかもしれません。

    ベストプラクティス : GSK - 地域情報への明確な道筋を示す

    GSKのサイト

    gsk.comのランディングページ

    GSKのサイト

    GSKの「 Products A-Z」サブセクション

    イギリスの製薬大手GSKは企業サイト上に、医療関係者専用サイト「GSKPro」への明確な経路を提供しています。この医療関係者向けサイトでは、GeoIP機能を使って訪問者の位置情報を特定し、GSKの医薬品、ワクチン、副作用・副反応の報告、教育リソースなど、地域ごとの規制を踏まえた情報を提供しています。「GSKPro」へのリンクはヘッダーで表示していますし、「Products A-Z」というサブカテゴリーのトップページにもリンクを設置しています。

    また、患者向けには、企業サイトからワールドワイドディレクトリへの道筋を用意していて、そこから国や地域別の規制の範囲内で、現地の情報やWebサイトにアクセスできます。

    まとめ

    最後に結論として、製薬会社のWebサイトにはいくつかの問題が見られますが、デジタルコミュニケーションのチームが、すべての訪問者に明確な道しるべを示し、演出された画像よりも実際の患者の写真を優先させ、事実に基づいた企業メッセージを発信することで、Webサイトの問題は解決できるでしょう。

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