海外Webトレンド「BC Thinking」日本語版

英国企業サイトのコンサル会社Bowen Craggs & Co.の許諾を得て、同社Webサイトの「Our Thinking」から抜粋し、グローバルWebサイト事例に関する記事を翻訳してお届けします。

ミツエーリンクスではBowen Craggs社と提携し「グローバルWebサイトベストプラクティス調査」サービスもご提供しています。

Volkswagen AG : 最初から求職者と強い関係を築く

大手自動車メーカーVolkswagenは、採用サイトで採用チームの顔・声・個性を前面に押し出しています

(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2022年4月19日に公開された記事「Volkswagen AG : Building strong relationships with jobseekers from the outset」の日本語訳です。)

Screen capture of Volkswagen AG's meet our recruiters page

The Feature(特筆すべきこと)

Meet our recruiters」というページでは、高品質の画像や動画、魅力的なプロフィールとともに、採用チームの担当者を1人ずつ紹介しています。

プロフィールには、各担当者の趣味や関心事、キャリアパスや実績、そして自身の応募経験に基づくアドバイスなども記載しています。

ページ下部の「Network with me」では、ビジネス向けSNSの「LinkedIn」や「Xing」を通じて採用担当者とつながったり、採用イベントに参加したりすることを、求職者に呼びかけています。

また、海外からの応募者のために、採用担当者の顔写真の右上には、使用言語を示す国旗を表示しています。

The Takeaway(ここから得られる知識)

Volkswagenは、ありふれた手法である従業員紹介に、採用チームの顔や声、個性を加えることで、将来の応募者に向けた強い意欲的なメッセージを確立しています。

応募プロセスにいる人物の実像を公開し、各採用担当者と直接コンタクトを取れるようにすることで、求職者は、求人情報を見ているだけの一般的な「就職希望者」から、自信に満ちた「潜在的社員」に変わったのです。

また、採用プロセスの過程と実際に働くときとのギャップが少なくなります。求職者は歓迎されていると感じ、心を動かされることでしょう。

競争の激しい採用市場において、Volkswagenは「採用担当者も同じ人間である」 という明確なメッセージを求職者に送ることで、他社との差別化を図っています。

https://www.volkswagen-karriere.de/en/meet-our-recruiters.html

SpaceX : 簡潔なコピーで、専門的な内容をわかりやすく伝える

アメリカの航空宇宙メーカーSpaceXは、専門用語を使わない文章で、誰もが親しみやすいWebサイトを実現しています。

(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2022年3月23日に公開された記事「SpaceX : Concise copy clarifies complexity」の日本語訳です)

Screen capture from SpaceX's website

The Feature(特筆すべきこと)

SpaceXは、Webサイトの各主要カテゴリーのトップページに、ぴったりなキャッチコピーを掲げています。

このコピーは、SpaceXが製造した各宇宙機のミッションや主な特長を、わかりやすく説明しています。

2つの例をご紹介します。

「Falcon 9 : First orbital class rocket capable of reflight」
Falcon 9 :軌道(地球を周回できる)クラスとしては最初の、再使用可能なロケット

「Dragon : Sending humans and cargo into space」
Dragon : 人間と荷物を宇宙へ運ぶ

また、各ページにある説明文は、専門用語を使わずに、簡潔にまとめています。

The Takeaway(ここから得られる知識)

多くの企業サイトは、曖昧な表現・頭字語・専門用語・企業内の決まり文句などを頻繁に使用し、ユーザーを悩ませています。

これでは、個性的でインパクトのあるメッセージもユーザーに届きません。そして、ステークホルダーは欲しい情報に素早くアクセスできません。

SpaceXはこの傾向に逆らい、熟練したコピーライターを起用して、キーとなるメッセージをわかりやすく表現しています。

あらゆる業界のWeb担当者に加え、サービスの提供対象である顧客にとっても、このアプローチは有益といえるでしょう。

https://www.spacex.com

bp : 激動の時代に明快なコミュニケーションを実施するための計画

イギリスのエネルギー大手bpが、ロシア資産の売却についてWebサイトで実施した発表には、事前に適切な計画があったことがうかがえます。

(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2022年3月8日に公開された記事「bp : A plan for clear communication in turbulent times」の日本語訳です)

Screen capture of BP's news release

The Feature(特筆すべきこと)

bpは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、ロシアの石油会社Rosneftの保有株式を売却、その他のロシア権益も放棄し、ロシアでの事業から撤退する意向を表明しました。

bp.comのトップページでは、本件に関するプレスリリースをファーストビュー内で表示しています。そして、プレスリリースの冒頭で、ロシアからの事業撤退について、さまざまな角度から要約した文章を、箇条書きで掲載しています。

また、「News and insights」カテゴリーのトップページでは、CEOのBernard Looneyから従業員に向けた内部メッセージを掲載しています。

The Takeaway(ここから得られる知識)

このサイトが提供している資料の幅広さと表現は、困難な時期に明快さを与えています。週末だったにもかかわらず、事業撤退を発表するやいなや、bp.comではプレスリリースをトップページに、社内向けメッセージを「News and insights」カテゴリーのトップに、それぞれ掲載しました。

このレスポンスの速さから、bpの担当チームには、このような発表にどう対処するかという事前の計画があり、それを迅速に実行する技術的手段やプロセスを持っていることがうかがえます。今回のことでbpは、自社の透明性と、特に危機的な状況における、企業Webサイトのトップページの重要性を示しました。初めてサイトを訪れた人の多くは、Webサイトのトップページに直行します。

プレスリリースの冒頭にある箇条書きは、ジャーナリストやその他の来訪者が、会社の動きを素早く把握するのに役立ちます。複数の情報源からニュースが飛び交うような、動きの激しい環境にいる視聴者にとって、これは重要なことです。

適切な計画、プラットフォーム、プロセスを備えていれば、危機の際でもデジタル・チャンネルで迅速かつ総合的な発表が実行できることを、bpの対応は示しています。

www.bp.com/

Volkswagen : 二酸化炭素を抑えたデジタルコミュニケーション

自動車大手Volkswagenは、サステナブルな閲覧体験の有意義な先行例を示した。

(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2022年2月21日に公開された記事「Volkswagen : Carbon-saving digital communications」の日本語訳です)

Screen capture of Volkswagen Canada sustainable site

The Feature(特筆すべきこと)

ドイツの大手自動車メーカーVolkswagenのカナダ支社は、電気自動車の普及を促進するため、炭素効率の良いWebサイト(vw.ca/carbonneutralnet/en/)を開設しました。

このWebサイトは、わずか6ページという構成です。そこには、e-モビリティや未来の電気自動車に関するイノベーションについて紹介する記事、FAQカテゴリーなどもあります。

基本的な製品情報も掲載していますが、試乗の予約や車種の比較のためには、「サステナブルな閲覧体験」から離れ、「メインサイトでの通常体験に戻る」必要があります。

サステナブルなWebサイトは、洗練されたグレースケールを基調に青をアクセントとした配色で、上のスクリーンショットでもわかるように、ページ全体が画像を含めてモノクロの文字だけで構成しています。

画像細部の表現力は従来の写真とほぼ同等ですが、文字だけを使って表現しているため、ファイルサイズが大幅に少なくなっています。

このサイトの目的は「デジタル世界におけるサステナビリティをカナダの人々に教えること」です。冒頭の紹介文で、このサイトを白黒の文字だけで構成することで、インターネット上でのデータ転送に必要なエネルギーを少なくでき「二酸化炭素排出量の削減に効果的」であることを説明しています。

また、Volkswagenカナダのメインサイトへのリンクも、多数用意しています。

The Takeaway(ここから得られる知識)

Volkswagenは早くから、企業のデジタルコミュニケーションに伴う二酸化炭素排出量について、Webサイトで紹介してきました。

「月間10万PVのWebサイトが1年間に発生させる二酸化炭素量は2,110kgで、これはバーベキュー用プロパンガスの87個分に相当する」という事実を冒頭で紹介し、ユーザーの関心を引き付けています。

実際、企業のWebサイトはカーボンニュートラルとは程遠い状態です。

国際的な科学ジャーナルであるNature誌によると、世界中にあるデータセンターの年間電気使用量合計は、イギリス1カ国の電気使用量を上回っており、インターネットを国に例えると、世界で6番目になるそうです。

「デジタル・カーボンフットプリント削減」は、「サステナブルWebデザイン」や「カーボンニュートラルWebサイト」と並んで耳にすることが多くなった言葉ですが、現状ではまだ認知度が低く、企業のWeb担当者による対策はほとんど行われていません。

Volkswagenの取り組みは、教育を主目的としていますが、電気自動車の販売促進も兼ねています。

https://www.vw.ca/carbonneutralnet/en/

Anglo American : 社員の声を職務紹介ページに加える

国際的な鉱業・資源会社Anglo Americanは、動画による職務紹介で、Webサイトの職務紹介ページに新たな一面を加えました。

(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2022年1月11日に公開された記事「Anglo American : Adding a personal voice to job descriptions」の日本語訳です)

Screen capture of a job introduction video on Anglo American`s website

The Feature(特筆すべきこと)

ロンドンの鉱業会社Anglo Americanは、採用カテゴリーにある一部の職務紹介ページに、人事担当者による短い紹介動画を掲載しています。

ページ下部の「動画を見る」という見出しの下に、その動画はあります。そして、求職者にこの求人の経緯を説明し、さらに詳細内容を読むよう促しています。

The Takeaway(ここから得られる知識)

職務紹介ページは、社員の顔や声を加えることで、求職者に情報を提供し、関心を持たせるための強力なツールになります。

求人広告に、社員による短い動画を掲載するWebサイトは他にもあります。以前にも、求人広告用の短い動画をInstagramに投稿している、総合人材サービス会社の例を紹介しました。

しかし、大手企業がこのトレンドを取り入れ、コーポレートサイトに要約した動画を取り入れたケースは、今回が初めてです。これは、従来の職務紹介ページに新たな一面をもたらしています。

すべての求人ページに当てはまるとは限りませんが、この方法を適切に使えば、求職者は潜在的な同僚、職場の文化や環境について有益な洞察を得ることができます。

動画をページの冒頭に表示して、よりわかりやすい説明文へとつながるようにすれば、動画のインパクトはさらに大きくなるでしょう。

https://www.angloamerican.com/careers/job-opportunities

Sky : 経営陣のBlog・講演・動画をまとめてライブラリー化する

ヨーロッパの大手有料放送事業者であるSkyは、さまざまなテーマについて、多様な形式で語っている経営陣のメッセージを、Webサイトの「Our Leadership」ページ内でまとめています。そして、その多くは、CSRやESGに焦点を当てています。

(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our thinking」において2021年11月30日に公開された記事「Sky: A leadership library with blogs, speeches and videos all in one place」の日本語訳です)

Screen shot of Sky's website

The Feature(特筆すべきこと)

イギリスのメディアおよび情報通信系企業であり、Comcastのグループ企業であるSkyは、一風変わった経営陣の情報ページを公開しています。

多くの企業は、経営陣の情報として経歴や画像を公開しています。一方でSkyは、そうした標準的なコンテンツに加えて、「Hear From Our Leadership」という革新的なコーナーを設けています。

このコーナーでは、複数の経営陣によるBlog記事、メディアへの出演、動画、講演や、その書き起こし原稿などを、2019年度のものからまとめています。そして、その講演やBlogの多くで取り上げられているテーマが、CSRやESGです。

例えば、子ども向けコンテンツの担当役員は、「Sky Kids」というチャンネルに字幕を付けた理由について、推進している識字率向上キャンペーン「Read While You Watch」の一環である、とBlogで紹介しています。

また、Skyがパンデミックに伴う孤独と戦うことの重要性について述べた、最高執行責任者 (COO)による記事もあります。

さらに、グループ最高マーケティング責任者(CMO)が、SkyのCO2排出量削減に向けた活動について「語るのではなく、見せる」Blogもあります。

The Takeaway(ここから得られる知識)

Comcastの子会社であり、ヨーロッパ6カ国で事業を展開しているSkyには、数多くの経営陣が在籍しています。そして、その全員が重要な問題について講演やインタビュー、Blogで発言しています。

これらすべてを1つのライブラリーにまとめることで、経営陣が取り組む問題の幅広さを示すことができます。そして、求職者・投資家・メディアの専門家などの主要なステークホルダーから、見落とされないようにしています。

また、顧客や一般の人々は、気候変動や地域社会への貢献などの重要な問題について、経営陣から話を聞きたいと考えています。

コンサルティング会社Edelmanの調査によると、2021年度は調査対象者の86%が、企業CEOは社会的課題を率先して解決するべきだと考えており、CEOによる社会的課題についての公的な発言を期待していることがわかりました。

Skyは、主要なステークホルダーから信頼を得るための重要な手段として、何年も前から経営陣がこのような活動に取り組んできた実績があります。

https://www.skygroup.sky/our-leadership

Randstad : 会話形式の求人広告動画をInstagramに投稿

総合人材サービス大手Randstadが投稿する、カメラに向かって直接話す形式の動画は、書面による職務記述書に代わる魅力的な手段です。

(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our thinking」において2021年11月18日に公開された記事「Randstad : Conversational job ads on Instagram」の日本語訳です)

Screen capture from Randstad's Instagram account

The Feature(特筆すべきこと)

オランダの人材サービス企業Randstadのイギリス部門は、Instagramで一部の求人情報を求職者に直接宣伝しています。

採用コンサルタントが求人情報を紹介する短い動画を投稿し、キャプションに記載したメールアドレスへ応募を呼びかけています。

例えば、8月にRandstadの採用担当者が投稿した短い動画では、主な求人情報の職務と必要なスキルを紹介し、興味がある方はご連絡くださいと呼びかけていました。

The Takeaway(ここから得られる知識)

近年Instagramは、会社とその文化を求職者へ宣伝するための重要なプラットフォームとして台頭してきました。

Randstadの採用活動におけるInstagramの活用は、これまで見てきた企業の中で最も直接的なアプローチです。

求職者の中には、こうした会話形式の短い動画に新鮮さを感じて、応募する人もいるでしょう。

また、このアプローチは、Randstadが新しい手段に挑戦することを恐れず、業界内でも革新的な存在であることも示しています。

その他の企業も、ターゲットを絞った採用キャンペーンや、従来のテキストベースの職務記述書を補完する目的で、このアプローチを活用できるでしょう。

https://www.instagram.com/p/CSWTI5rCJD7/

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