イベントレポート:「デジタルマーケターズサミット 2026 Winter」に登壇しました
エグゼクティブエディター 上原2026年2月4日、Web担当者Forum(株式会社インプレス)主催の「デジタルマーケターズサミット 2026 Winter」が、東京港区の赤坂インターシティコンファレンスで開催されました。当社からはX-tech推進本部 副本部長の加藤健志が、「AI疲れから抜け出す! 組織で進める"本当に使えるAI活用"」というテーマで講演しました。
デジタルマーケターズサミット 2026 Winterとは?
このイベントは、株式会社インプレス様が毎年2回主催している無料セミナーで、デジタルマーケターが本質的なデジタル戦略についての理解を深められるように、有益な情報を発信しています。今回も、業界の第一線で活躍する有識者が、実践的な知見や事例を共有しました。
あいまいな「AIをやろう」は、混乱を生むことに
当社・加藤が講演したテーマは、前述の通り「AI疲れから抜け出す!組織で進める"本当に使えるAI活用"」です。
生成AIの活用が本格化する中、多くの企業が「わが社でもAIをやろう!」と利用の推進を始めています。しかし、一口にAIといっても、「LLMを構築する」「生成AIを組み込んだサービスを開発する」「日常業務で生成AIを利用する」など、その内容によって関わる部門や求められるスキルは異なります。「AIをやろう」をあいまいなまま放置すると、手段が目的化してしまい、認識の違いが生まれると加藤は警告します。
また、多くの従業員が個人の判断でAIを業務に活用することも広まりましたが、このままでは「個別最適」で終わってしまい、組織的な成果には結びつかない恐れがあります。組織として体系的にAI導入を計画し、AI活用を前提とした業務プロセスの変更などにも取り組む必要があると、加藤は提唱しました。
さらに、スピード重視でAIを導入し、データ・セキュリティ・インフラなどの基盤整備を後回しにしてしまうと、不自由なシステムができあがってしまいます。こうした「AIインフラの負債」は、運用時や拡張時の足かせとなり、将来のイノベーションを阻害することになります。
そして、企業がAI活用を進める中では、以下のような「AI疲れ」が起きがちです。
- 終わらない「すり合わせ」:人によってAIへの期待や解釈が異なるため発生する
- 見えにくい「成長」:効率化の実感はあっても把握が難しい
- 更新され続ける「正解」:日々新しい情報が生み出され、キャッチアップが終わらない
- ストップ&ゴーの疲労:AIインフラの負債により、進んでは止まるの繰り返し

加藤の講演の様子
6つの領域をアップデートし、AI活用を「組織の文化」に
それでは、AI活用を「組織の文化」として根付かせるためには、どうすれば良いのでしょうか。加藤は、AI活用を前提として、組織全体で取り組むべき6つの領域をピックアップし、それぞれ具体的な推進策を提案しました。
1. 組織設計:現場と上層部をつなぐ組織「AI CoE」の設置
個別最適から全社的なAI活用へと進むためには、全社の意思決定・標準化・支援を束ねるハブ組織「AI CoE(Center of Excellence)」の設置が重要です。トップダウンとボトムアップの間を取り持つ組織が、作業や投資の重複を防ぎ、リスク管理に役立ちます。
2. 業務プロセス:AI活用を前提として「BPR」を実施
従来の業務プロセスにAIによる工程を加えるだけでは、かえって手間が増える場合があります。ここはプロセス全体を、AI活用を前提とした形で再構築する「BPR(Business Process Re-engineering)」の視点が必要です。
3. 業務システム:「5V」を判断基準にして、データを棚卸し
AI活用に欠かせないデータが、多くの企業では散在していたり、品質にばらつきがあったりします。これを解消するには、5つのV《Volume(量)、Variety(種類)、Velocity(速度)、Veracity(正確性)、Value(価値)》を基準として、データを棚卸ししましょう。
4. ガバナンス:3つのレイヤーに分解し、それぞれ誰が何をするか整理
ガバナンスは、本質的に抽象度が高くなりやすい傾向があります。そのため、粒度を《大(理念・原則)、中(ガイドライン)、小(実践・手順)》の3つのレイヤーに分解し、各レイヤーで誰が何を決めるべきか整理しましょう。
5. デザインシステム:自社のブランドをAIに理解させて、ズレを軽減
生成AIが作るデザインやコンテンツでは、どうしてもブランドとのズレが発生してしまうため、企業のデザインシステムをAIに理解させる必要があります。「Adobe GenStudio」のように、自社ガイドラインに沿った画像生成が可能な製品も、有効な手段の1つです。
6. 組織文化:推進側と現場が協調的な姿勢で、変革を進めることが重要
各国と比較して日本の職場では、AIツールの利用率は低く、仕事を失う不安は高い傾向にあります。ただ、推進側が各部門の責任者と対話し、協調的な姿勢で「チェンジマネジメント」を実践できれば、日本でもAI活用が波に乗る可能性は十分にあります。
最後に加藤は、AIは進化のスピードが速く、これで完了という状態は存在しません。重要なのは、小さく始めて、改善を繰り返し、状況に合わせてアップデートし続けることだ、と強調しました。はじめから完璧を求めれば「AI疲れ」が起きてしまいます。自社の現状を把握し、やるべき施策に集中することが、組織のAI推進を成功に導きますと述べ、講演を締めくくりました。

加藤の講演の様子
なお、Web担当者Forum様の公式サイトでも、本講演についての記事が掲載されています。興味がおありの方は、こちらも併せてご覧ください。
「AI疲れ」起こしていませんか? AI導入をスムーズに進める6つの重要ポイント
「デジタルマーケターズサミット2026 Winter」は、オンライン開催のイベントだったため、講演はWeb担当者Forumのスタッフと撮影クルーのみなさまとともに、会場の一室で静かに行われました。「AI疲れから抜け出す」というテーマに共感いただいたのか、加藤の講演には非常に多くの参加者にアクセスいただきました。参加者のみなさまの表情や反応は拝見できませんでしたが、いただいたアンケートを読むに、おおむねご満足いただけたのではないかと思います。