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DESIGN IT! 参加報告

2005年3月4日

シックスシグマ推進本部
木達 一仁

2月28日から3月2日までの3日間にわたり、東京・外苑前にて開催された「DESIGN IT! Pre-Conference 2005(以下「DESIGN IT!」と呼称)」に参加しました。本イベントを主催されたソシオメディア株式会社の篠原稔和氏は、このイベントタイトルには複数の意味を込めていると語りました。すなわち「IT」は情報技術のITであると同時に全てのもの・環境でもあり、その「IT」をもっとデザインしようということ、また(技術用語の「IT DESIGN」から)実装の前段階に目を向けようということ。

DESIGN IT!ではデザインマネジメント、コンテンツマネジメント、情報アーキテクチャ、インタラクション、アクセシビリティ、そしてストラテジーの6分野にわたり、国内外からスピーカーが招かれ多数の講演とパネルディスカッションが催されました。タイムテーブルの都合上、その全てに参加することは叶わなかったわけですが、私が特に注目していた情報アーキテクチャ分野の講演を、簡単にではありますがご紹介したいと思います。

まずは2日目のキーノート「ユーザーエクスペリエンスを構成する要素」。スピーカーは、世界的な情報アーキテクトとして知られるAdaptive Path社のJesse James Garrett氏。Webサイトを戦略、要件、構造、骨格、表層の5つに分けて捉え、個々の要素を解説するというものです。私にとって彼の考え方は、Webサイト構築の複雑化、あるいは大規模化に左右されることなく適用が可能であり、ある意味においてWebの本質を描いているように感じられます。折りしも氏の著作「The Elements of User Experience」の日本語訳が発売されたばかりですが、この素晴らしい考え方は今後日本のWeb業界に広く受け入れられるでしょうし、またそうあって欲しいと思いました。

氏のもう一つの講演(初日のキーノート「ウェブ開発チームを成功へと導く9つのカギ」)で紹介されたデザインおよび開発のプロセスとスタッフィングは、上述の考え方と密接につながっています。こちらは、Webサイト構築のプロセスをユーザーリサーチ、サイト戦略、技術的戦略、コンテンツ戦略、抽象的デザイン、技術実装、コンテンツ制作、視覚デザイン、プロジェクトマネジメントの9つの「柱」に分けて捉えたものです。概要はAdaptive Path社のエッセイ「The Nine Pillars of Successful Web Teams」で公開されていますので、興味のある方はご覧ください。

そして次にご紹介するのが、同じ日の午後の講演「ウェブデザインの情報アーキテクチャ」。コンセント社の長谷川敦士氏がスピーカーです。冒頭、ユーザー中心の考え方を踏まえ情報アーキテクチャを定義し、その役割、機能、将来像に至るまでを論じました。時間の制約との兼ね合いから、ケーススタディのお話を詳しく伺えなかったのは残念でしたが、自分の中で「IA(Information Architecture)とは何か」という最も初歩的かつ基本的な部分の再整理ができたように思います。

IAと一言でいっても、そこにはさまざまな意味が内包されています。Webサイト構築のワークフローにあるIAとしては、携わる誰もが(IAとして認識しているかどうかはさておき)当たり前のように行っているIAもあれば、ディレクターやデザイナーが行っているIA、あるいは情報アーキテクトという肩書を持った専属の人間が行うIAもあります。決してそれらの間で明確な区分が可能なわけではなく、構築するサイトのスケールやスタッフの構成などに応じ変化する点が、IAを実践するうえでの難しさの一つではないかと思います。またそうであるがゆえに、今後一層IAの理解と経験を深めなければならない、という思いを新たにしました。

ちなみにJesse氏と長谷川氏、ともにDESIGN IT!終了後にIA Summit 2005に参加するためにカナダに向かうとのこと。IA Summitというイベントの存在自体は以前から知っていたのですが参加経験は無く、来年は自分も参加してみようと思った次第です。

なお、今回のDESIGN IT!は決してこれで完結したわけではなく、(「Pre-Conference」という名前のとおり)今年11月に開催を予定している本カンファレンスのプレイベントという位置づけとのこと。半年以上先のこととはいえ、開催が非常に楽しみです。このような素晴らしいイベントを企画され、数々の貴重な講演を拝聴し、またスピーカーと交流する機会を設けてくださったソシオメディア株式会社の皆様には、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。有り難うございました。

最後に本題からそれますが、お知らせがあります。本日より、Web標準Blogを公開いたします。このブログの趣旨は、Web標準の利用に興味のあるWebサイト管理者、Webデザイナーの方向けに、Web標準を利用するための手法やノウハウ、参考になるリソース等を幅広くご紹介することにあります。

DESIGN IT!最終日のパネルディスカッションにおいて、会場からインタラクション・デザイナーのMarc Rettig氏に対し、初期リサーチと業務の受発注に関する質問がありました。氏が自身の講演の中で、初期リサーチの結果次第で業務を受注するかどうか決めることがある、といった趣旨の発言をしたことについて問うたのでしょう。しかしMarc氏は、顧客に提供しているのはリサーチ結果ではなく、あくまでもビジネス価値であることを回答の中で強調されていました。

Web標準の活用を希望される方々が、期待される数々のメリットの何に最も比重を置くかはケースバイケースですが、上述のQ&A同様、コストに見合ったビジネス価値の創造が最終的なゴールにあることは自明です。Web標準セミナーでお話しさせていただいている内容と重複しますが、Web標準Blogではまず価値の部分にフォーカスを当て、徐々に(XHTMLやCSSなどについての)技術寄りな話題にシフトしていく予定です。また、IAとWeb標準との相関についても触れていきたいと思いますので、ご期待ください。