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「Web標準デザインテクニック即戦ワークブック」発売に寄せて

2005年7月1日

Web開発チーム フロントエンド・エンジニア
木達 一仁

毎日コミュニケーションズより、「Web標準デザインテクニック即戦ワークブック 〜XHTML+CSSを正しく賢く書くための15問」という書籍が発売されました。本書は海外で好評を博した「Web Standards Solutions」の和訳本です。私は監修・監訳という立場で出版に参加させていただく機会に恵まれました。Web標準を扱った本の出版に携わるのは、昨年10月に発売された「Designing with Web Standards 〜XHTML+CSSを中心とした『Web標準』によるデザインの実践」(Jeffrey Zeldman著「Designing with Web Standards」の和訳本、技術校正の役割で参加)に続き、これが2冊目となります。

「監修・監訳者あとがき」として執筆、掲載していただいた内容とやや重複してしまいますが、本コラムでは本書出版に至るまでのいきさつ、原著から感じた長所、さらにはWeb標準の一層の普及に向けた今後の展望について、個人的な見解などお話させていただきたいと思います。

日本語訳出版までのいきさつ

そもそも私が原著「Web Standards Solutions」と出会ったのは、およそ1年前にさかのぼります。当時の私は、著者のDan Cederholm氏が営むデザインスタジオと同名のWebサイト、SimpleBitsの存在に気づいてすらいませんでした。しかしきっかけは、定期的に更新をチェックしていたDave Shea氏(css Zen Gardenの運営で有名)のBlog、mezzoblueによってもたらされました。

Dave氏は「Book Review: Web Standards Solutions」という記事において、原著のレビューを書いています。そのなかで彼は、同書が「Designing with Web Standards」を補完するものと絶賛していたのです。そのくだりが妙に気になった私は、すぐさまオンライン書店のサイトにアクセス。サンプルのページを閲覧したところ、非常に読み易い構成と平易な英文に惹かれたため、即購入を決意したのでした。

洋書を買う場合、店先で立ち読みをし、じっくり内容を吟味したうえで購入を検討することが和書よりも難しく、当たり外れの差が大きいものです。しかし原著を読み終えた時には、Web標準の普及啓蒙を世界的に推進する多くの人々が本書を推薦した理由を、自ら実感することになりました。その結果、「Designing with Web Standards」の次には是非この「Web Standards Solutions」を日本に紹介したい、和訳版を出版したいと、強く思い至った次第です。

原著「Web Standards Solutions」に感じた長所

本書は、SimpleBitsにあるBlogのいちカテゴリ「SimpleQuiz」にヒントを得て書かれたものです。SimpleQuizは、その名の通りシンプルなソースを例示し、クイズ形式でもってマークアップに関するさまざまな疑問に答えようという企画。解答の選択肢として複数の手法を提示し、どれが最適な解かを論理的に導くのが特長です。

人気を博したこのSimpleQuizと同じスタンスが、原著において貫かれています。つまり個々の選択肢について、時には丁寧すぎるとすら感じられるほど、長所と短所の双方をじっくり解説しているのです。しかし、それらをしっかり理解することにより、Web標準を使いこなすために必要な視座、あるいは考え方を会得することができると思います。

都合16に細分された各章のうち、主に前半はXHTMLによるマークアップ、後半はCSSによるスタイリングを扱っています。特に興味のある章だけを読んでも参考になるでしょうが、始めから順に読み進めることで、Webコンテンツの実装工程に発生し得るさまざまな課題に、解決策をより論理的に導き出せるようになれるでしょう。「Designing with Web Standards」をWeb標準の「バイブル」と喩えるなら、本書はより実践的な「教科書」という位置づけになると思います。

思考停止に陥らないために

もはや「Web標準」という言葉は珍しいものではなくなり、最近ではWeb関連の雑誌で比較的よく取り上げられています。(X)HTMLやCSSに関する書籍は、Blogの流行を背景として、以前と比べとても潤沢になりました。しかし中には、個々の仕様やリッチな見栄えのためのTipsの紹介に止まっているものも多く、「How」よりも「Why」の理解に重点を置いたものは、あまり目にしないように感じます。

Web標準に準拠するといっても、文書構造の妥当性を二の次にして見栄えをCSSで実装すれば良いわけではありませんし、盲目的に仕様に準拠しようと文法的妥当性ばかり追求するのも好ましくありません(妥当=validであるに越したことはありませんが)。そういった発想は、単なる思考停止でしかなくなってしまう恐れがあります。

(X)HTMLとCSSに限らず、Web標準と呼ばれる多くがそうですが、それだけでは単なるツールに過ぎません。サイト固有の目的を果たし、同時にユーザーのニーズを満たすための最適解とは何か、いかにツールを使いこなしてその最適解を実現するか、考え続ける姿勢こそWebサイト構築において最も重要であると考えます。

ベストプラクティスとして定着した数々の手法を取り込みつつも、たとえば「この情報をマークアップするのにもっと適切な要素はないものか?」といった風に、より理想的な選択肢を模索することは、非常に価値のあることと思います。同時に、Web標準が今後一層普及していく過程では、その姿勢の啓蒙が欠かせないように感じますし、また本書がその一助となることを期待しています。

業務としてWebデザインや開発に取り組まれている皆様はもとより、個人でWebサイトを運営している方々や、Web標準の利活用に興味のあるすべての人々に、本書をお薦めしたいと思います。よろしければ是非いちど、お手に取ってご覧ください。