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UPA2005カンファレンスに参加して
〜ユーザビリティを考える:使いにくさを感じさせないサイト設計〜

2005年7月15日

HCDコンサルティングチーム
岡田 恵子

モントリオールに見つけたユーザビリティ

英語圏の国でありながら、フランス語を公用語とする街、モントリオール。そんな国際色豊かな街で第14回UPAカンファレンスは開催されました。UPA(Usability Professionals' Association)は、各国のユーザビリティの専門家が集まる国際団体で、弊社は今年度メンバーおよびスポンサーとして参加、最初のステップとして今回カンファレンスに参加させていただきました。

今回のカンファレンスは、"Bridging Cultures"と題され、「ユーザビリティの専門家は異文化間をつなぐ架け橋となるに値する」という考えが根底にありました。このモントリオールの街にも、人に対する興味深い配慮が見られました。たとえば歩行者用の信号機。通常の赤と青(北米では緑と認識されますが)の表示以外に、青から赤に変わるまでの時間を秒単位で音と数字によって注意を促すという配慮があり、歩行者が横断可能な時間はあと何秒間、という目安が一目瞭然であるということは、新鮮な発見でした。信号機の利用者である歩行者に対する予測機能を高めるだけでなく、安全確保にも一躍買っているのでしょうか。

「使いにくい」を「使いやすい」へ変えるユーザビリティ

ユーザビリティという言葉も最近ではだいぶ普及してきており、まったく目新しい用語でもなくなってきたように思いますが、商品のユーザビリティであってもWebのユーザビリティであっても、重要なのはユーザーを理解しようとする姿勢であり、利用者の視点で作り、利用者の視点で検証するということが不可欠になります。

日頃はWebを中心としたユーザビリティを扱っているため、カンファレンスで主役だった商品やソフトウェアのユーザビリティ事情を見聞きすることは興味深いものでした。しかし、ユーザビリティの対象となる製品が携帯電話であってもWebサイトであっても、ユーザビリティの根本的な概念はその分野や国を問わずやはり共通のものであるようです。ユーザーにとって使いにくいという問題を認識し、使いやすさという概念に変えていくこと、それがユーザビリティを専門に扱う私たちの役割です。そして「使いやすさ」という概念を導くためには、まず「使いにくさ」を認識する必要があります。

使いにくさを感じさせない配慮

Webサイトにおける最近の傾向として、ユーザビリティという言葉の認知度の高まりとともに、極端に使い勝手の悪いサイトは減少傾向にあるように思います。これまではサイトの利用者であるユーザーの行動原理が無視されることが多かったことを考えると、ユーザビリティを意識し始めている企業サイトが増えてきたということは、とてもよい傾向であると思います。その一方で、「使いやすい」と感じられるサイトがまだまだ少ないというのも現状です。

ユーザビリティは簡単に言えば、「使いにくい」を「使いやすい」にするものであると言いましたが、ユーザーというのはおもしろいもので、使いにくい場合にはユーザーは使いにくさを不満として感じますが、使いやすい場合というのはあえて「使いやすい」と意識していないものです。たとえば、製品やソフトウェアを設計する際、本当に使い勝手のいい製品というのは、マニュアルなど必要ないとまで言われています。製品は初めて使うユーザーに対しても問題なく直感的に理解できるように設計されているべきであるというのがその理由です。残念なことに実際にはなかなかそのような製品にはお目にかかれず、分厚いマニュアルは読まないことが多い私などは、ユーザビリティに配慮する人間が少しでも増えてほしいと願うばかりなのですが。

Webサイトを作る際には、「○○社サイトのユーザーマニュアル」のようなものは存在しません。使いやすさへの配慮の第一歩として、まずはユーザーに「使いにくさ」を感じさせない配慮を考えることから始めてみるといいかもしれません。