Smart Communication Design Company
ホーム > ナレッジ > コラム > 2005年 > ディレクターの役割とは(2)

ディレクターの役割とは(2)

2005年11月11日

プランニング&ディレクショングループ ディレクター
田口 公章
(ITコーディネータ資格保有者)

あなたの仕事は、何ですか

前回のコラムで、ディレクターの役目は「戦略的なWeb活用」を具体的な形にすることだと結論しました。今回のコラムでは、具体的な形に落とし込む過程で生じる「人」の問題と心構えについて考えたことを記したいと思います。

先日、当社のイントラネット上で印象的なやりとりがありました。

制作会社と広告代理店の間にありがちなギャップ対して、「制作会社は、もう少し関わっている意識を持つべきだ。広告代理店は、発注先にもっと考えろとリクエストする前に、自分はちゃんと考えているのか振り返るべきだ」と記したものです。

制作会社は、制作物の表現やクリエイティブに対する要望が入ったときに、「『もっと○○が伝わる表現にしたい』というご要望ですが、校正済みの完全原稿をください。もっと具体的なご指示ください。」と言う。一方の広告代理店は「制作会社ってキレイに見せることしか考えてないところが多いなあ。 『原稿ください、具体的な指示をください』と言う前に、もっと頭を使って考えて欲しいよなあ・・・。」と感じる。こんなやりとりに、思い当たるフシはありませんか。

本来、同じ目標を共有してそこを目指すひとつのチームであるべきなのに、現実にはなぜかこのようなギャップが生まれてしまいます。「ここからは自分の仕事だけれど、ここまではそっちがやるべきだ」という境界が出来上がり、しかもこの境界がなかなか一致しない。このような、議事録だけでは埋まりきらない認識のズレ、意識の温度差は日常茶飯事かもしれませんが、お互いにとってあまりよい状況ではありません。なによりこれではプロジェクトが前へ進みません。

お互いに、少しずつはみ出せばいい

それではこのような状況は、いったいどうやって回避すればよいでしょうか。

もちろん打ち合わせごとの議事録と宿題の共有や、「プロジェクトにおける役割、責任および報告関係を明確化し、文書化し、割り当てる」といった、プロジェクト人的資源マネジメントを実施することは当然必要になってきますが、これに加えてもうひとつ重要なことがあります。

それはお互いに、少しずつ「自分の領域」をはみ出す努力をするということです。ビジネス上の取引ですから、見積もりや仕様上の明確な線引きは必要ですし、その範囲内で業務が行われるべきです。しかし、いざプロジェクトを円滑に進めるにあたっては、「ここまでは自分の領域だ」「それはそちらの領域だ」などと頑なにならずに、お互いに少しずつ手を差し伸べ、ギャップを埋めるという動きが必要になってきます。専門分野の違う多人数がひとつのチームとして動くときには、同じ目標や思いを共有できないこと、認識の不一致がネックになります。プロジェクトを進める上では、こうした人と人との間に存在する「ミッシングリンク」を、硬軟織り交ぜてクリアする必要があるのです。

3つのミッシングリンク2003年度 ITCスルー研修資料を基に作成

こうした問題に対するディレクターの役割とはどのようものか。これについては、冒頭の書き込みに対する上司からの返信を引用して、答えに代えさせていただきます。

「『関わっている意識』をスタッフに保ち続けてもらうのは、なかなか難しいよね。その環境を作っていくのがディレクターの仕事なのでしょう。」