2021年1月22日 Flashの終焉に思う

取締役(CTO)
木達 一仁

昨年末をもってAdobeはFlash Playerのサポートを終了、また今年1月12日からはFlashコンテンツの実行がブロックされるようになりました(Adobe Flash Playerサポート終了情報ページ参照)。Flashコンテンツ全盛の時代を知る一人としては寂しさ半分、諸行無常感が半分といったところです。

若い方にはもはや想像すら難しいかもしれませんが、ちょっと凝ったアニメーションなり仕掛けをWebサイトで実現しようと思ったら、Flashの採用をおいてほかに考えられない時代があったのです。さまざまなクリエイターが、面白おかしいFlashコンテンツを掲示板や個人サイトで発表し楽しませてくれたのも、そんな時代でした。

Web標準の実装状況がブラウザごとで大きく違った当時、Flashプラグインがその種の差異を吸収し、コンテンツの相互運用性を担保する側面もあったように思います。プラグインの導入という前提さえあれば、プラットフォームやブラウザの別を問わず同じ表示や動作を期待できたのは、Flashが一世を風靡した理由のひとつではないでしょうか。

そんなFlashのサポート終了は、3年以上昔の2017年7月に予告されていたことですから(Flash & the Future of Interactive Content参照)、今さら代替コンテンツへの切り替えを急ぎ検討しなければならない状況というのは、企業サイトであれば皆無でしょう。いや、そうであって欲しいと願います。万が一お困りでしたら、Flashコンテンツ変換をぜひご用命ください。

なぜFlashは衰退し、そして終焉を迎えたのか? iPhoneやiPadといったiOSの動作環境がFlashをサポートしなかったことや、その理由に関し故Steve Jobs氏が公開書簡「Thoughts on Flash」を通じて行った批判が影響したことは、明白でしょう。しかし、Appleの対応が唯一の要因というわけではなく、それも含めてさまざまな変化、トレンドがFlashを終焉に導いたように私には思えます。

経緯はさておき、Web担当者の方々の受け取り方を想像するに、今後これと同じようなケース……つまり、ある技術が終焉を迎えることで既存コンテンツを改修しなければならなくなる事態は起こり得るのか、が気がかりでしょうか。可能性はゼロではないけれども、プロプライエタリな技術に依存することなく、Web標準に準拠する限りリスクは最小化できる、というのが私なりの答えです。

もちろん特定のライブラリやフレームワーク、CMS製品といった粒度のお話であれば、答えは変わります。人気の度合いやベンダーの経営状態などにより利用できなくなる、ないし利用はできるけれども一切のメンテナンスが提供されなくなるといった状況は、これまで多く発生してきましたし、これからも同様でしょう。

しかし、世界初のWebページが現在もなお閲覧可能であることからお分かりのように、Webは高い後方互換性を維持しながら進化・発展してきました。今日あるWeb標準をスクラップにし、まったく異なる技術群で作り直すようなことは、普及状況からすれば想像しにくいと思います。

JavaScriptやCSSはおろか画像すら利用できなかった、世界初のWebページが作られた頃のWebに戻りたいとは思いません。けれど結局のところ、Web標準をよりプリミティブに用いる実装を頼れば、一層コンテンツを永続的に利用可能に、アクセシブルにしやすくなる……Flashの終焉に際し、そう思った次第です。

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