世界水準の企業WebサイトとAI検索の現在地 ~今、日本企業が知っておくべきコーポレートデジタルコミュニケーションの変化~
海外担当マネージャー 兼 コンサルタントヒラノ ブラウン クリスチャン企業Webサイトを取り巻く変化
企業Webサイトは、新たな時代を迎えています。
これまで企業Webサイトは、さまざまなステークホルダーが企業情報を得るための中心的な情報基盤としての役割を担ってきました。投資家は財務情報を探し、顧客は製品やサービスについて知り、求職者は採用情報を確認し、メディア関係者は企業ニュースにアクセスする。企業Webサイトは、そのような情報を集約して提供する場でした。
しかし、その前提が大きく変わり始めています。生成AIやAI検索の普及により、ユーザーは企業Webサイトを訪れることなく、AIの回答や検索結果を通じて企業を知る機会が増えています。これからは、人だけでなくAIが企業情報を適切に理解し、解釈できる状態を整えることも重要です。
一方で、企業Webサイトには多様なステークホルダーに応える役割がこれまで以上に求められています。企業Webサイトを単独の情報発信チャネルとして捉えることは難しくなっています。企業広報、IRサイト、サステナビリティサイト、採用サイト、SNS、各国・地域サイト、そしてAI検索をつなぐ、企業デジタルコミュニケーションの基盤として捉え直す必要があります。
グローバルに事業を展開する日本企業にとって、この変化は大きな課題である一方、自社の価値を世界へ伝える方法を見直す機会でもあります。
AI検索が企業情報の伝わり方を変える
なかでも大きな変化をもたらしているのが、生成AIとAI検索の普及です。
ユーザーがAIに企業や製品、事業、サステナビリティへの取り組みなどを質問した場合、必ずしも企業Webサイトを訪問するとは限りません。AIがさまざまな情報を参照し、要約した回答だけで企業への理解や印象が形成される可能性があります。
こうした環境では、企業が発信する情報の整合性や信頼性がこれまで以上に重要です。企業Webサイトや関連するチャネルに掲載される自社の情報が、
- 明確に構造化されている
- 事実や根拠に基づいている
- サイトやチャネルをまたいで一貫している
- 情報の発信主体や更新時点が分かる
- 人にもAIにも理解しやすく表現されている
ことは、AIによる理解を助けるだけでなく、企業全体のメッセージの一貫性や信頼性の向上にもつながります。
AI検索への対応は、特定のページだけを対象とする施策ではありません。Webサイト全体、さらには企業のデジタルコミュニケーション全体を通じて、明確で一貫性のある信頼できる情報発信を実現できるかが重要です。
IRとサステナビリティが重要な理由
AI検索は、企業デジタルコミュニケーションを取り巻く変化の一側面にすぎません。IRとサステナビリティに関する情報発信も、企業が自社の価値や将来性を伝えるうえで、ますます重要になっています。
上場企業にとっては、決算や財務実績を掲載するだけではなく、事業戦略、リスク、機会、競争優位性、長期的な価値創出について、分かりやすく説明することが求められます。しかし投資家が必要とする情報を個別に掲載していても、それぞれの情報の関係が分かりにくければ、企業が目指す方向性や成長のストーリーは十分に伝わりません。
そのため、情報の網羅性だけでなく、
- 企業戦略と財務情報のつながり
- 企業戦略とサステナビリティ方針のつながり
- リスクと成長機会の関係
- 目標に対する具体的な進捗
- 各コンテンツ間の一貫性
などを、Webサイト全体としてどのように伝えるかが重要です。
サステナビリティについても同様です。多くの企業がさまざまな活動を進めていますが、その内容を掲載するだけでは、活動の重要性や企業価値との関係がステークホルダーへ十分に伝わらない可能性があります。どの情報を優先して伝えるのか。目標と進捗をどのように示すのか。複雑なテーマを過度に単純化することなく、理解しやすく伝えるにはどうすればよいのか。こうした問いに向き合うことが、企業の信頼性を支えるデジタルコミュニケーションにつながります。
世界のベストプラクティスを、自社の意思決定に活かす
企業のデジタルコミュニケーションにおいて、継続的に高い評価を受けている企業があります。注意したいのは、先進企業のWebサイトのデザインや機能を、そのまま模倣するべきではないということです。
企業によって、事業内容、企業文化、対象とするステークホルダー、グローバル展開の状況、Webサイトの運営体制は異なります。そのため、他社の施策を表面的に取り入れても、自社にとって有効に機能するとは限りません。重要なのは、先進企業に共通する考え方や成功の原則を理解し、自社の状況に照らして考えることです。
例えば、次のような視点です。
- 各社は誰に、どのような企業価値を伝えようとしているのか
- 多様な企業情報をどのような方針で整理しているのか
- グローバルサイトと各国・地域サイトの役割をどう定めているのか
- IRやサステナビリティの情報を事業戦略とどう結び付けているのか
- 組織を横断して情報の一貫性や信頼性をどのように維持しているのか
- ユーザーだけでなく検索エンジンやAIにも理解されやすい情報発信をどのように実現しているのか
こうした視点を自社に当てはめることで、自社の強みや課題、優先すべき改善領域、将来のリニューアルに向けた準備などを整理することができます。
なお、このような検討を進める際には、社内の意見だけでなく、第三者による客観的な評価やグローバルベンチマークが有効です。
社内でサイト改善の必要性を説明する際に、「ここを改善した方がよいと思う」という担当者の意見だけでは、部門間の合意形成や投資判断につながりにくい場合があります。世界の主要企業との比較に基づいて、自社の取り組みは世界の先進企業と比べてどの位置にあり、今後どこへ注力すべきかを示すことができれば、担当者個人の見解ではなく、客観的な根拠に基づく議論へと変えていくことができます。
世界の知見を、日本企業の次のアクションへ
Bowen Craggsは、世界の主要企業のデジタルコミュニケーションを継続的に調査・評価しています。同社のグローバルな視点から得られるのは、世界の先進企業が「何をしているか」という事例だけではありません。各社の取り組みがどのような考え方に基づき、なぜ有効に機能しているのかを知る手掛かりです。
2026年11月、ミツエーリンクスはBowen CraggsのCEOおよびコンサルタントの来日に合わせて、「コーポレートデジタルコミュニケーション・サミット2026」を開催します。本サミットでは、Bowen CraggsのCEOであるScott Paytonと、シニアコンサルタントのCaterina Sorentiを英国から迎え、世界の企業デジタルコミュニケーションの最新動向やベストプラクティスを紹介します。
プログラムでは、世界の企業デジタルコミュニケーションの動向に加え、日本企業が優先的に検討すべきテーマとして、次の3つを取り上げる予定です。
- AI検索
- IRコミュニケーション
- サステナビリティコミュニケーション
さらに、AI検索時代に企業Webサイトがどのように変化していくのかについて、実践的な議論を行います。
単なるセミナーではなく、直接対話できるサミット
本サミットの特徴は、世界の最新事例について一方向の講演を聞くだけではないことです。
参加者は、グローバル企業のデジタルコミュニケーションを調査・評価してきた専門家と直接対話し、自社の課題に照らし合わせて考えることができます。 希望する参加者を対象に、Scott PaytonとCaterina Sorentiによる5分間の個別フィードバックセッション(個別相談会)も予定しています。
このセッションでは、参加者が指定したWebページを題材としてフィードバックを受けることができます。世界の動向を知るだけでなく、「それが自社にとって何を意味するのか」を考え、具体的なアクションにつなげるための機会です。
- ※ 個別相談会での簡易診断レポートフィードバックをご希望の企業様は、2026年10月31日までにお申し込みください
- ※ サミットへの参加は2026年11月10日までお申し込みができます
AI検索は、企業情報の発見方法を変えつつあります。また、IRやサステナビリティに対する期待も変化しています。グローバル市場で事業を展開する日本企業にとって、世界のベストプラクティスを知ることは、自社の企業価値を世界へ適切に伝え、変化する情報環境にどう対応していくのかを考える機会でもあります。
「コーポレートデジタルコミュニケーション・サミット2026」で、企業Webサイト、IR、サステナビリティ、AI検索を形づくる世界のベストプラクティスに触れ、それが自社にとってどのような意味を持つのか、一緒に考えてみませんか。
Newsletter
メールニュースでは、本サイトの更新情報や業界動向などをお伝えしています。ぜひご購読ください。