TalkBack 16.0で新たに追加された表内の移動機能
アクセシビリティ・エンジニア 大塚TalkBackはAndroidに標準で搭載されているスクリーンリーダーです。画面の内容を音声で読み上げることで、主に視覚障害者がスマートフォンを操作できるようにする機能です。iOSに標準で搭載されているVoiceOverと同様に、タッチジェスチャーを使って画面内の要素を探索し、操作することができます。
先月リリースされたTalkBack 16.0には、Webページ内の表を確認するための新たな機能が追加されました(TalkBack 16.0 の新機能 - Android のユーザー補助機能 ヘルプ)。
この機能は読み上げコントロール(VoiceOverで言うところのローターコントロール)の1つとして提供されています。表内の移動はデフォルトで有効になっており、Webページなどで表内にフォーカスを移動した状態で、1本指で縦方向にスワイプすると行方向に、横方向にスワイプすると列方向に移動できます。別の読み上げコントロールに切り替えることで、文字や行、見出しなどといった通常の移動方法も利用できます。
表内をニ次元的に移動する方法としては、NVDAをはじめとするPC向けのスクリーンリーダーでは、以前から専用のコマンドが用意されていました(NVDAでは Ctrl + Alt + 上下左右の矢印キーで移動できます)。一方、VoiceOverやTalkBackといったスマートフォン向けのスクリーンリーダーにはこのような機能がなく、表内を移動するには項目をひとつずつ、スワイプ操作で確認する必要がありました。
特に、カレンダーや座席表など、項目数の多い表をタッチ操作で確認する場合、目的の情報にたどり着くのに時間がかかってしまうため、こうした機能が利用できるのは非常にありがたいです。
ここ最近、TalkBackは操作性を向上させるような改善が積極的に行われている印象です。今後も新機能に注目していきたいと思います。