Accessibility Compat Dataというアイデア
エグゼクティブ・フェロー 木達主要なWebブラウザ間における相互運用性は近年、Interopと呼ばれる取り組みを通じて高められてきました。今年、2025年についても複数の注力エリアが選定され、取り組まれているのはミツエーテックラジオでお伝えしてきたとおりです:
昨年来、Interopの注力エリアを含め、どのブラウザがどのWeb標準にどれだけ準拠しているかは、Web Platform Statusというサイトで俯瞰しやすくなりました。同サイトが参照しているのがBrowser Compat Data(BCD)で、さまざまなWeb技術の互換性に関するデータのことです。
今年5月、BCDのアクセシビリティ版とでも呼ぶべきAccessibility Compat Data(ACD)を作ろうという提案、プロジェクトの立ち上げが、Lola Odelola氏によってなされました。
どのような提案/プロジェクトか、GitHubのページから一部を抜粋・意訳してご紹介します:
This project, Accessibility Compat Data (currently in the investigation phase), aims to create a dataset similar to BCD which includes AT-browser compatibility data for web features. The dataset will be machine-readable and show how web features are presented in various AT-browser combinations, developer resources like MDN and Baseline will be able to read and present the data to users which will hopefully lead to more informed web development and accessible web experiences.
このプロジェクト「Accessibility Compat Data」(現在調査段階)は、Web機能に対する支援技術とブラウザの互換性に関するものを含む、BCDと同様のデータセットを作成することを目的としています。作成したデータセットはマシンリーダブル(機械可読)であり、支援技術とブラウザのさまざまな組み合わせにおいて、Web機能がどのように表示されるかをあらわします。MDNやBaselineのような開発者向けのリソースとして、読み込んだデータから得た情報に基づきWeb開発をすることで、アクセシブルなWeb体験をもたらすことが期待されます。
たいへん素晴らしいアイデアだと私は思いました。発表後、しばらく動向を見守ってきたのですが、これまでのところ目立った動きは見られず、引き続き調査段階にあるものと思われます。また、このACDプロジェクトの一助とすべく、Lola Odelola氏は寄付を募っています(lola's lab - Open Collective)。引き続き、ACDの今後に注目したいと思います。