スクリーンリーダーでの記号の読み上げ
アクセシビリティ・エンジニア 大塚日々業務を行う中で、お客様から、スクリーンリーダーで特定の記号が読み上げられないため、記号の代わりとなる表現を検討する必要があるのではないか、といったご質問をいただくことがあります。
しかし、記号が一般的な用法で利用されていれば、それ自体が問題になることはほとんどありません。また、記号が読み上げられないケースの多くはスクリーンリーダーの設定によるものであり、設定変更によって解消できる場合があります。
そこで今回は、主要なスクリーンリーダーで記号の読み上げ設定を変更する方法や、スクリーンリーダーごとの読み上げ方の違いについてご紹介します。
NVDAでは、音声設定の「句読点/記号レベル」から変更でき、以下の4段階から選択できます。各記号には「最低読み上げレベル」が設定されており、上位のレベルほど読み上げられる記号が増えていきます。なお、下位レベルで読み上げられる記号は、上位レベルでも引き続き読み上げられます。
- 読まない:句読点や記号を全く読み上げません
- 一部読み上げ:利用頻度が高い一部の記号を読み上げます(例:#、%、&、@、: など)
- ほとんど読み上げ:上記に加えて、括弧やカンマ、引用符などを読み上げます(例: (、)、「」、, など)
- すべて読み上げ:上記に加えて、数学記号など特殊な記号も含め、ほぼすべての記号を読み上げます(例: √、∞、≠ など)
デフォルトでは「一部読み上げ」となっており、たとえば括弧やカンマ、引用符などは読み上げられませんが、これらは「ほとんど読み上げ」以上にすることで読み上げられるようになります。
PC-Talkerでは、「なめらか読み」の設定から、句点・括弧・記号について、それぞれ読み上げの有無を設定できます。
デフォルトでは、句点・括弧・記号のいずれも読み上げる設定となっています。そのため、設定を変更しない限り、一般的な記号が読み飛ばされることはほとんどありません。
VoiceOverでは、設定 > アクセシビリティ > VoiceOver > 詳細度 > 句読点と記号 から設定を変更できます。「現在有効な句読点グループ」を選択し、「すべて」「一部」「なし」の3段階で切り替えられるほか、独自のカスタムグループを作成することもできます。
デフォルトでは「一部」となっており、この状態ではコロンや括弧などの記号は読み上げられません。「すべて」に変更すると、これらの記号も読み上げられるようになります。
TalkBackでは、設定 > ユーザー補助 > TalkBack > 設定 > 読み上げの詳細設定 > 句読点と記号を読み上げる から設定を変更でき、「すべて」「ほとんど」「一部」の3段階で切り替えられます。「一部」は「&」などごく一部の記号のみ、「ほとんど」は括弧・コロン・アスタリスクなどよく使われる記号、「すべて」は一般的でない記号も含めたすべての記号を読み上げます。
デフォルトでは「一部」となっており、この状態では括弧やコロンなどは読み上げられませんが、「ほとんど」以上にすることで読み上げられるようになります。
このように、記号の読み上げの多くはスクリーンリーダーの設定で調整できます。今回取り上げた中では、PC-Talkerを除き、デフォルトでは一部の記号を読み上げない設定になっています。正確な理由は定かではありませんが、スクリーンリーダー利用者の立場から見ると、重要な本文の読み上げに集中しやすくするための設定に感じられます。いずれにしても、記号が読み上げられない可能性だけを理由に、記号の使用を過度に避ける必要はないと考えています。