WebAIMが11回目のスクリーンリーダー調査の結果を公開
アクセシビリティ・エンジニア 大塚米国の非営利団体WebAIMが、スクリーンリーダー利用者を対象とした調査の11回目の結果を公開しました(WebAIM: Screen Reader User Survey #11 Results)。調査は2026年7月から8月にかけて行われ、有効回答数は1,780件でした。今回は、前回(10回目)の調査からの変化を中心に、個人的に印象に残った点を取り上げます。
主に利用するスクリーンリーダーはJAWSが55.0%と、前回の40.5%から再び増加しました。一方、NVDAは37.7%から32.9%に減少しています。地域による差も大きく、北米ではJAWSが72.5%を占める一方、アジアではNVDAが77.4%と主流です。日本国内ではNVDAやPC-Talkerの利用率が高いとされることが多いため、北米でのJAWSの利用率の高さには驚きました。北米でJAWSの利用が多い背景には、スクリーンリーダーの購入費用を公的に補助する制度の存在があると考えられます。今回の増加について、WebAIMは北米の回答者が増えたことを挙げつつ、それだけでは説明できないとしています。前回の調査以降、JAWSには画像の説明などのAI関連機能が追加されており、これが影響している可能性もありますが、推測の域を出ません。
スクリーンリーダーと組み合わせて利用するブラウザの傾向には大きな変化がありません。Chromeが52.3%で前回と変わらず首位で、Edgeは19.3%から23.6%に増加しています。以前当Blogで9回目の調査を取り上げた際にもEdgeの利用率の増加に触れましたが、長期的に見ても、ChromeとEdgeの利用が増える傾向は続いています。
今回新たに追加された設問として、AIの利用に関するものがあります。画像の説明を生成する用途にAIを利用している回答者は60.1%にのぼり、あらかじめ挙げられた用途のいずれにもAIを利用していない回答者は8.2%にとどまりました。
オンラインでの操作の手順を案内してもらう用途が40.6%と、思いのほか多かった点も興味深いです。私自身、まったく読み上げられないアプリケーションの操作をAIに任せることはありますが、Webサイトの操作をAIに任せると、かえって時間がかかる場合もある印象を持っていました。AIに指示を入力し、その応答を待つという手順が必要になり、特にWebサイトの操作では、その種のやり取りがほぼ確実に複数回発生するためです。手順を尋ねる程度の使い方であれば、やり取りは少なく済むため、そうした場面での利用が多いのかもしれません。
またスキップリンクについての設問で、よく利用すると回答した人は37.7%と、同じ設問があった2021年の31.2%から増加しています。以前当Blogで紹介したJBICT.Netの調査結果でも、スキップリンクを利用する人は一定数いました。スキップリンクは、予想以上に活用されているのかもしれません。その理由の1つとして、スマートフォンでの利用が考えられます。
PCではキー操作ひとつで見出しに移動できますが、スマートフォンではローターコントロールなどで、見出しを移動単位に設定してからスワイプする必要があります。一方、ページ先頭付近のスキップリンクであれば、数回のスワイプで到達でき、そこからメインコンテンツへ移動できます。調査では端末を区別していないため推測にはなりますが、スマートフォンでは、スキップリンクが見出しよりも手軽な移動手段として使われている可能性があるのではと考えています。
スクリーンリーダーの利用状況をグローバルに把握できる貴重な調査として、今後もWebAIMの調査に注目していきたいと思います。調査結果の詳細については、英語ではありますが、WebAIM: Screen Reader User Survey #11 Resultsをぜひご覧ください。