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Webコンテンツの「当たり前品質」に表示パフォーマンスを追加

2019年7月9日

取締役(CTO)
木達 一仁

「当たり前品質」という言葉があります。これは1980年代、当時の東京理科大学の狩野紀昭教授(現在は同学名誉教授)が提唱した顧客満足モデル、いわゆる狩野モデルにおいて使われた言葉。Wikipediaの狩野モデルのページでは、充足されていても当たり前と受け取られるが、不充足であれば不満を引き起こす品質要素と定義されています。

ことWebコンテンツに対象を限定して考えたとき、その「当たり前品質」とは何でしょうか。当社における技術開発や品質向上の取り組みの歴史は、まさにその問いに対する答えを考え続けた歴史でもあると、私は思います。難しいのは、Web環境の変化とともに変わり続ける「当たり前品質」を、いかにして費用面へのインパクトを抑えて提供し続けるかという点です。

今を遡ること15年前、私が入社した2004年のことですが、これからは標準仕様に準拠したコンテンツが求められる時代ということで、Web標準準拠サービスをリリース。当初は、標準準拠という品質を一種の付加価値として捉え個別にお見積もりをしていたのですが、主要なブラウザが一様にWeb標準を尊重する流れとなった以降は急速にコモディティ化したこともあり、当社にとって「当たり前品質」の一つとなりました。

次いで当社の「当たり前品質」に加えたのが、アクセシビリティ。ユーザーや利用シーンの別を問わない、Webページにある情報や機能の利用しやすさ=アクセシビリティ品質は、Web標準準拠によってこそもたらされる側面があり、言わば両品質は一部重複してもいるのですけど、長年にわたる地道な取り組みの結果、当社の強みの一つとなりました。特別な費用をいただくことなくアクセシビリティを提供する「標準対応」の歴史は、発行したニュースリリースで振り返ることができます。

また2013年、新たに「当たり前品質」として加えたのが、マルチスクリーン・デザイン。大画面化と共に、右肩上がりで広がるいっぽうと考えられていたWebコンテンツの描画エリアは、2008年のiPhone上陸を機に急速に普及したスマートフォンにより一転。物理的に小さなスクリーンでも、大きなスクリーンに表示させた際と同様の見やすさ・使いやすさが求められるようになりました。業界的にはレスポンシブWebデザイン(RWD)というアプローチ、呼称が一般化しましたが、当社はそれを含め、より包括的にマルチスクリーン・デザインをこそ「当たり前品質」に据えました。

そしてタイトルにある通り、今年度、当社が制作するWebコンテンツの「当たり前品質」に付け加えようとしているのが、表示パフォーマンスです。平たく言えばWebコンテンツの表示速度のことですが、その重要性はこれまでも何度かコラムでお伝えしてきましたし、実際表示パフォーマンス改善Webコンテンツ配信 自動最適化という2つのサービスを通じて品質を提供してきました。しかし残念ながら、これまで「当たり前品質」としては取り組めてはいなかった(少なくとも全案件を対象に、納品前の検品において客観的な指標を使った品質チェックは行ってこなかった)のです。

「当たり前品質」に表示パフォーマンスを追加するのは、遅かれ早かれ、時間の問題でありました。その理由は5年前にコラム『マルチデバイス対応における「三本の矢」』に書いた通りで、それがもはやマルチデバイス時代において必須の品質と考えられるからです。目下、今年10月1日以降の「当たり前品質」化を目指し、さまざまな取り組みを社内で加速させている最中ですが、品質チェックの際には、Google Chromeに同梱のLighthouseを用いる予定です。

Lighthouseのスコアを利用することについては一部、批判的な見方があることを承知しています。しかし、比較的低コストでチェック環境を一律で揃えることのできるメリットは非常に大きいですし、何よりも新規構築やサイトリニューアルのプロジェクトなど、実際の配信環境で公開するより前の時点で出来栄えの良し悪しを判断しなければならないことの多い私たちにとって、たとえ完璧ではなくとも非常に簡単に品質を数値化できるメリットもまた、計り知れないものです。

そういうわけで、近く当社のお客様には、特別の料金をいただくことなく、一定の表示パフォーマンスを備えたコンテンツをお納めできるようになります。もちろんそのコンテンツはWeb標準に準拠し、アクセシブルで、さまざまなスクリーンサイズにフィットしたビジュアルデザインをもつコンテンツでもあります。是非これからも、当社の「当たり前品質」にご期待ください。