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マルチデバイス対応における「三本の矢」

2014年3月17日

取締役
木達 一仁

「三矢の教え」と呼ばれるエピソードがあります。戦国時代の武将・毛利元就の記した『三子教訓状』に由来するもので、元就が三人の息子に対し「一本の矢は簡単に折れるが、三本に束ねれば容易には折れない」と説き、結束を求めたとされるものです。安倍内閣の経済財政政策が「アベノミクス」という言葉で呼称されていますが、そのアベノミクスとセットで「三本の矢」という比喩も割とよく報道されていますから、聞き覚えのある方も少なくないでしょう。

昨今、盛んにその必要性が喧伝されているWebサイトのマルチデバイス対応においても、実は「三本の矢」とでも称すべき要件があると考えています。具体的にはアクセシビリティ、マルチスクリーン・デザイン、高速な表示パフォーマンスの3つで、そのいずれを欠いてもマルチデバイス対応としては不完全にならざるを得ません。それぞれの意義や必要性について簡単にご紹介しますと、次のようになります。

アクセシビリティ
いかなるデバイスからでも、コンテンツにある情報や機能を利用できるようデザインすることは、とりもなおさずアクセシビリティを確保することと同義です。残念なことに、いまだアクセシビリティを障害者や高齢者への対応として限定的に捉えている方がいらっしゃるようですが、マルチデバイス対応、もっと言ってしまえば今後のあらゆるWebデザインにおける基礎・基盤として必要不可欠な要件がアクセシビリティになります。
マルチスクリーン・デザイン
近年、急速に普及しているスマートフォンやタブレット型デバイスなどのいわゆる「スマートデバイス」において、表示スクリーンの大きさや精細度は著しく多様化しています。これに以前からあるPCのスクリーンや大画面テレビなども加えますと、今や物理的に小さなものから大きなものまで、実に多種多様なスクリーン(=マルチスクリーン)での表示を前提としたデザインが必要な状況となっています。
高速な表示パフォーマンス
スマートデバイスは、そのサイズゆえ外出先や移動中などのモバイルシーンにおいて使われる頻度が高い傾向にあります。モバイルシーンでは、インターネットへの接続が必ずしも高速かつ安定しているとは限らず、低速や不安定な通信環境下であってもコンテンツをストレス無く表示させるデザイン実装が必要です。もちろんこれはモバイルシーンに限ったお話ではなく、1秒でも早く表示を完了させることができれば、ユーザーの印象を向上させることに繋がります。

なお、これらの詳細につきましては、先だって参加者の募集を開始しました「マルチデバイス時代のWebサイトリニューアル 解説セミナー」の場で、詳しくお話させていただく予定です。

ミツエーリンクスでは、これまでアクセシビリティとマルチスクリーン・デザインの2つの分野に対し、注力してきました。前者については2006年より専門の部署を立ち上げ、技術面での蓄積をはかり、2010年からはウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン(WCAG)2.0への標準対応を実現。後者については、レスポンシブWebデザインのメリットに早い時期から注目、これをサービス化したほか、昨年秋よりマルチスクリーン・デザインの標準提供を開始しています。

残った高速な表示パフォーマンスについても、会社として何も取り組んでこなかったというわけではありません。なかには、個々のページが表示されるまでにダウンロードする必要のあるファイルの総容量の上限がお客様の側で規定されている場合もあり、そうした案件であってもこれまで問題なく対応させていただいてきました。しかし、全社的な統一指標としての表示パフォーマンスや、その確認手段については未定義であったため、来る2014年度にはいよいよ、この分野に本腰を入れて取り組む必要があると考えています。

私事で恐縮ですが、先月、入社してちょうど10年が経過しました。「十年一昔」という言葉がありますように、この間、WebならびにWebデザインの世界は目まぐるしく変化してきました。振り返ってみますと、個々の変化の少し先を常に模索しながら、一貫してWebコンテンツが普遍的に備えるべき「品質」を追求してきたように思います。それがかつてのWeb標準準拠であり、またアクセシビリティであり、最近で言えばレスポンシブWebデザインに代表されるマルチスクリーン・デザインであります。現時点から10年先を見通すことは困難であっても、短期的にはマルチデバイス対応における「三本の矢」を皆様のWebサイトでしっかり実装できるよう、引き続き邁進していきたいと思います。