Webトラフィック爆上がり?アドビが仕掛ける企業CMSの新基準
テクノロジーアンバサダー 榛葉Webサイトの表示速度は、SEO対策やユーザー体験向上の観点から、企業のデジタル戦略において極めて重要な要素となっています。
「さまざまな対策を講じているものの、Google PageSpeed InsightsやLighthouseで高スコアを獲得するのは難しい」と感じているWeb担当者の方も少なくないのではないでしょうか。
こうした課題に対する新たなアプローチとして注目の技術が登場しています。それが、アドビ社が提供するCMS、Adobe Experience Manager Sitesの新機能「Edge Delivery Services」です。
実際に触れて感じた、次のスタンダード
先日、アドビ社のハンズオンラボ(Hands-on Lab)でEdge Delivery Servicesを体験する機会がありました。そのとき感じたのは、「これは単なる追加的な新機能ではなく、CMSそのものを再定義するものだ」ということです。
今回は、CMSはこういうものという私の常識をくつがえした「Edge Delivery Servicesのここがすごい」を、3つご紹介します。
1. PageSpeedスコア100点、SEO効果でトラフィック8倍
こちらは、Edge Delivery Servicesで作られたWebサイトを、Google PageSpeed Insightsで計測した結果です。以下のキャプチャが示す通り、パフォーマンス指標で100点を記録しています。

このページは、特別に軽量化されたデモページではなく、実際の製品紹介やドキュメントを含む実運用サイトです。トップページは視覚的にもリッチな構成であり、DOMノード数や画像点数も、一般的な企業サイトと同程度で、特別な最適化が施されたものではありません。
Edge Delivery Servicesでは、不要なJavaScriptの読み込み回避、CDNを活用した配信最適化、レンダリングの効率化など、パフォーマンス向上のためのベストプラクティスがあらかじめ組み込まれているため、特別なチューニングを行わなくても、高スコアを実現しやすい設計となっているといいます。アドビ社の事例では、パフォーマンスのスコア15点だったページが、導入後100点になった実例も紹介されました。
また、ある企業の導入事例では、Edge Delivery Services を適用する前と後でPageSpeedスコアが大幅に改善され、SEO効果として「ブランド名+キーワード」でしか上位表示されなかった検索結果が、「キーワード単体」でも上位に表示されるようになり、結果としてトラフィックが約8倍に増加したと報告されています。
アドビ社では、「どうしたらPageSpeed Insightsスコアを上げることができるのか?」について、Google社と直接コミュニケーションしたともいいます。Webパフォーマンスの最適化を徹底的に研究し、そのノウハウを詰め込んだのがEdge Delivery Servicesというわけです。
2. 普段使いの文書作成ツールでWeb更新
CMSを導入していたとしても、Webコンテンツの起案や制作・承認は、Microsoft Wordなどのドキュメントツールで行うことが多いのではないでしょうか。そして、実際のWebページを作成する段になって、はじめてCMSにログインして編集操作し、Webサイトを更新・管理するスタイルです。
このスタイルは企業サイトではよくあるCMSの使い方と思いますが、CMSの操作方法を学習しなければならず、学習コストが高くなりがちです。しかし、Edge Delivery Servicesでは、Microsoft WordやExcel、Google DocsやSheetsといった、普段の業務で使い慣れた文書作成ツールを使って、そのままWebサイトの更新・管理が可能になります。
つまり、Web発信の業務プロセスを簡素化し、より低い学習コストで、組織の誰もがWeb運用に参加しやすくなる。これは、組織全体のWeb発信力を底上げする大きな変革ではないでしょうか。

3. CMSの常識を変えたのは、Webのレジェンドたち
Edge Delivery Servicesの開発には、HTTPやApacheの設計に携わり、「Webらしさ」の本質を「REST」というアーキテクチャスタイルにまとめたことで知られるRoy Fielding氏をはじめ、Webの黎明期からその基盤を築いてきたエキスパートたちが関わっています。
そして、AEM(Adobe Experience Manager)の前身である「CQ5」時代から開発をリードしてきたDavid Nuescheler氏その人が、Edge Delivery Servicesの開発を主導しているといいます。
「イノベーションは自己否定から始まる」──この言葉を体現するように、自ら生み出したCMSの在り方を根本から見直し、まったく新しい価値を創り出そうとしているように思えます。
セミナーで、さらに深く知る
Edge Delivery Servicesの詳細は、英語にはなりますがこちらのサイト(https://aem.live/)で紹介されています。また、こちらのサイトから、Edge Delivery ServicesによるWebサイト作成も可能です。GitHubアカウントやHTML、CSS、JavaScriptの基礎知識は必要になるものの、誰でも無料で試すことができます。
もし、非エンジニアにもわかりやすく、もちろん日本語で、「もっと詳しく知りたい」「自社にも合うのか気になる」と思われたなら、ぜひ以下のセミナーにご参加ください。私も聞き手として登壇します。
本セミナーでは、アドビ株式会社 プリンシパル ソリューションズ コンサルタント 金子氏をゲストにお迎えし、CMSの常識を変える「Edge Delivery Services」について、対談形式で深掘りします。
新たな刺激や発見を得る場としてご活用ください。
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