ブランドを守る生成AIワークフロー
X-tech推進本部 副本部長加藤 健志先日、X-techブログに「GenMedia Creative Studioで試す、マルチモーダルな生成ワークフロー」を公開しました。そこでは、Google CloudのGenMedia Creative Studioを例に、画像生成や動画生成を個別に使うのではなく、一連のワークフローの中で使う機能を簡単に紹介しています。
この記事を書きながら、今後の生成AI活用では、一連のワークフローにおける成果物をどうブランドと整合させるか、そしてその仕組みをどう構築し活用していくかが、重要なテーマになっていくのだろうと感じました。
ワークフロー化する生成AI
生成AIの話題は、「画像が作れた」「動画が作れた」といった個別機能の紹介に寄りがちです。ただし、Webサイト運用では、制作物が単体で完結することはそれほど多くありません。例えば、ページのコピーテキストを作り、その内容に合わせてキービジュアルを作り、さらにバナーやSNS向け素材に展開していく、といった流れです。
その点で、GenMedia Creative Studioが、テキスト、画像、動画、音楽などの生成物をライブラリとして保存し、互いに連携できるように開発されている点は、印象的です。
同じ傾向は他のツールにも見られます。例えばAdobeのGenStudio for Performance Marketing Createは、メール、広告、バナー、画像など複数チャネルのコンテンツ生成に対応しています。
新しい生成AIモデルが出るたびにその性能が話題になりますが、重要なのは、どのモデルが質の高い出力を返すかだけではありません。運用フローの中で生成AIを活かす仕組みづくりもポイントになってきます。
ブランドに沿った表現を保つ
さらに言えば、企業の制作現場では、見栄えのよい成果物を作るだけでは十分とは言い切れません。重要なのは、それが自社のブランドに沿っているか、既存のコンテンツと並べた時に違和感がないかです。
これまでブランドガイドラインのような資料は、主に人が読んで制作に反映するために使われてきたと思いますが、GenMedia Creative StudioもAdobe GenStudioも、ブランド要素やガイドラインを生成のためのコンテキストとして設定できる機能を提供しています。
もちろん、AIに読み込ませればブランド運用がすべてうまくいくわけではありません。それでも、ブランドガイドラインが「配って終わりの文書」ではなく、「生成ワークフローの前提となる情報」に変わりつつある点は、重要です。
オンブランドなコンテンツ生成を支えるデザインシステム
デザインシステムを「ブランドの一貫性を保つための仕組み」と捉えるならば、ブランドガイドラインをもとにした生成AIのワークフローも、デザインシステムの1つとして考えられそうです。
従来のデザインシステムは、Figmaなどのデザインデータやコードを通じて、見た目やユーザー体験の一貫性を保ちつつ「どう作るか」をそろえる役割が中心だったように思います。一方で「どのようなコンテンツを作るか」まではそこまで含まれていなかったように感じています。
ブランドガイドラインをAIに渡し、オンブランドな表現を保とうとする仕組みは、「どう作るか」だけでなく「どのようなコンテンツを作るか」にも関わってきます。これは、従来のデザインシステムを拡張する新たな要素とも言えるかもしれません。
企業の中で生成AIの活用を加速させたいのであれば、最初の一歩として、自社のブランドガイドラインがしっかり整理されているかを、改めて確認してみるとよさそうです。
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