AI時代にWebサイトは必要なのか?
エグゼクティブ・フェロー(CBO)木達 一仁Web担当者Forumで、たいへん興味深い記事を読みました。6人の専門家の方々が、AI時代におけるWebサイトの必要性に関し5つの質問に答えた、「AI時代にWebサイトは必要なのか? 6人の専門家に聞いた」です。
いずれの回答にも示唆があり、大変参考になりましたが、Web業界の黎明期から制作に携わってきた一人として、自分ならどう答えるかを考えてみました。そこで、同じ質問に対する私個人の回答を、以下に記したいと思います。
生成AIの普及によって、Webサイトの役割は今後どのように変わると思いますか。
組織やブランドにとって、訪問者からの信用・信頼を獲得し関係性を深める場としての役割が、いっそう強まると思います。
さらには訪問者の継続的な関心を育み、ファンとなった方々と直接コミュニケーションを取る機会を創出し続ける役割もまた、強く求められると思います。
「AIが答えを返す時代になると、Webサイトを見る人は減る」という意見もあります。一方で、「Webサイトはなくならない」という声もあります。どちらに近いお考えでしょうか。その理由も教えてください。
Web制作を生業とする立場上、ポジショントークに受け取られたり、「予測」ではなく「願望」に聞こえてしまうかもしれませんが、私はWebサイトはなくならないと考えます。
第一に、AIや検索サービスが参照し得る、公式で検証可能な情報源としての必要性があります。組織やブランドが、常に最新かつ正確な情報をWebで提供し続けることは、AI時代においてますます必要となるでしょう。
第二に、先述の役割の変化に関する質問への回答と重複しますが、ファンとなった方々とのエンゲージメントを強化する手段としての必要性があります。
第三に、何らかの理由で意図的にAIを使わない、ないし使うことのできない人々を含む多様な訪問者に対し、オンラインで情報やサービスを提供する存在としての必要性は無くならないでしょう。
日々AI関連ニュースに接するなかで、あたかもWebへのアクセスすべてがAIを介したものに変わってしまう、生身の人間はもはやWebにアクセスしなくなるかの印象を受けがちですが、当面のあいだ人間によるWebサイトの直接利用がなくなるとは考えにくいでしょう。
これから企業のWebサイトに最も求められるものは何だと思いますか。
AI時代より前から求められてきた点だと思いますが、Webでの発信内容と現実のあいだにおける一貫性、別の言葉で表現するなら言行一致ではないかと思います。
Webサイトの掲載内容が実態と乖離していたり、事実関係と齟齬があるようでは、早晩そのギャップが原因となって、組織やブランドは見限られてしまうでしょう。AI時代においては、そうしたギャップが以前に増して顕在化しやすく感じるのです。
信用・信頼に値することを証明するには、組織やブランドの実態と発信内容を、可能な限り一致させ続ける必要があるでしょう。
企業は今後3年間で、Webサイトについて何を優先して取り組むべきでしょうか。
サイバー攻撃や、それに起因する情報漏洩が相次いで報道されています。AIが攻撃に利用される可能性が指摘されており、私はセキュリティの強化とそれを実現するに足るガバナンスを第一に挙げたいと思います。
複数のWebサイトを運営してきた組織であっても、共通のセキュリティ基盤を整備するなかで必要に応じ運営や管理機能を統合していくべきタイミングを迎えているかもしれません。
第二に挙げたいのが、Webコンテンツの人間可読性と機械可読性を高いレベルで両立するための、アクセシビリティの確保です。
人間のみならず、AIエージェントのようなシステムがWebサイトにアクセスし、情報を閲覧したり機能を操作したりするAI時代においては、ますますWebサイトのアクセシビリティが不可欠です。
そのあたりの私の考えについては、先日行った講演のレポート記事、【レポート】生成AI × マーケティング フォーラム 2026「誰でも使える」は「AIにも使える」―人間と機械の両方に読まれるための“アクセシビリティツリー”をぜひお読みください。
「生成AI時代でもWebサイトは必要か」という問いに対して、一言で答えるとしたら、どのような答えになりますか。
この問いへの私の答えは、すでにご想像いただけるかと思いますが、もちろん「必要」です。
ただしAI時代においては、組織やブランドの実態を正確に伝え、セキュアで誰もが利用でき、機械にも情報の意味や構造が解釈しやすく、利用者が安心して最終的な判断や行動に進める場としてのWebサイトが求められるでしょう。
著者プロフィール
株式会社ミツエーリンクス
エグゼクティブ・フェロー(CBO)
木達 一仁
宇宙開発関連組織でウェブマスターとしての経験を積んだ後、IT業界へ。以来、Webコンテンツの実装工程に多数従事。2004年より株式会社ミツエーリンクスに参加。クライアントワークとしては、主にフロントエンドの設計や実装、関連ガイドラインの策定に従事。アクセシビリティや品質管理、ブランディングにかかわる部門を運営。
主な資格
- 社会構想大学院大学 2022年 修了 コミュニケーションデザイン修士(専門職)
- 日本パブリックリレーションズ協会 認定PRプランナー
- 日本広報学会 会員
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