企業のソーシャルメディアで存在感を示すには
企業のソーシャルメディア活用は変化し続けています。広報担当者はオンラインでの発信方法を根本的に見直す必要があります。
(この記事は、 Bowen Craggs社のWebサイト「Our Thinking」において2025年6月17日に公開された記事「Cutting through on corporate social media」の日本語訳です)
最近開催したBowen Craggs Clubのイベントで、ソーシャルメディアの専門家としてイギリスの大手銀行HSBCのBex Griffiths氏と日用品大手UnileverのChristine Dobbin氏から、何が効果的で何がそうでないのか、そして、信頼性、創造性、明確さを持ってパフォーマンスを向上させる方法についてお話を伺いました。
ここでは、そのイベントからピックアップした、貴社のソーシャルメディアを強化する、6つの注目すべき戦略を紹介します。
1. 人々中心コンテンツは、いつでも効果的
ソーシャルメディアで最もエンゲージメント(反応)が得られるのは、「人間味があり、共感を呼ぶコンテンツだ」と、HSBCのBex Griffiths氏は述べました。必ずしも予算をかけて洗練させた動画が、最も効果的とは限りません。実は、シンプルで人を中心にした投稿のほうが、人々を驚かせたり、つなげたりすることが多いのです。例えば、世界各国のHSBCの社員が撮影した「Life at HSBC」のInstagramアカウント向けのリール動画や、本社の誕生日を祝う遊び心ある投稿など、リアルに感じられるコンテンツが、最高のパフォーマンスを発揮する傾向にあります。ここからわかる教訓は、ユーザーは「人」を見たがっているということです。

HSBCの「Life at HSBC」の公式Instagramアカウントでは、従業員とそのリアルな働き方にスポットを当てています
2. 創造性は貴社の競争優位性である
企業コンテンツが、各メディア、インフルエンサー、そしてその他のユーザーの投稿と同じタイムラインに並ぶオンラインの世界では、「存在感を示すこと」がこれまで以上に重要になっています。
「創造性は、最後の強力な競争優位性です」と UnileverのChristine Dobbin氏は言います。彼女はチームに対して、従来の企業的な枠組みにとらわれない発想を促しました。「あなたが競争しているのは、他の企業だけではありません。投稿上のあらゆるコンテンツが競合なのです」。
Unileverは、投資家向けにもインフルエンサー風の動画を試したり、IRコンテンツでTikTok風のグリーンスクリーンをテストしたりしています。結果、最もクリエイティブな動画が、最も高い成果を出しました。
3. 勘に頼らず、データを活用する
Bex氏とChristine氏は、特に有料広告において、データに基づいたアプローチでコンテンツを作成していることを参加者と共有しました。UnileverのSNS担当者は冒頭のつかみから動画構成まで、あらゆる要素でA/Bテストを実施しています。
「データのおかげで、勘に頼る必要がなくなります」とChristine氏は言います。例えば「人を引き付けるのに必要な時間は3秒、あるいは1秒かもしれない」という知見もそうです。UnileverのSNS担当者は、離脱率や見出しの効果、どのコンテンツ要素がエンゲージメントを生んでいるのかを検証しています。
これらの観点から、単なる再生回数だけでなく、動画をどこまで視聴されたか、記事がどこまで読まれたかに注目しましょう。エンゲージメントの深さは、リーチの多さよりも重要です。

Unileverが最近LinkedInに投稿した動画コンテンツの事例
4.従業員を巻き込む
HSBCでは、従業員が発信するコンテンツが戦略の要であり、今では採用ニーズとも密接に結びついています。
Bex氏は、Instagramアカウント「Life at HSBC」がどのようにして自然な形で採用ツールへと進化し、世界中の従業員が自らの思いを発信できる場になったかを解説しました。
現在では、人事や採用チームも編集企画に参加して、注力すべき市場や人気職種を共有しています。これが誰をコンテンツで取り上げるかの判断に役立っています。
それでも、コンテンツはリアルに感じられます。Bex氏は次のように語ります。「私たちは従業員に何を言うべきか支持することはありません。それでも、彼らは多くの場合、私たちが伝えたいことを、自然と自分の言葉で語ってくれるのです」。
5. ターゲットと限界を理解する
規制の厳しい業界でも、創造性を諦める必要はありません。自社のルールや限界をしっかり把握することが重要です。「ルールを理解することで、はじめて限界に挑戦できるようになります」とBex氏は強調します。
HSBCのSNSチームが、社内の専門部署やリスク管理チームと密接に連携していることも、助けになっています。その関係性があるからこそ、たとえ大胆な企画であっても、迅速にコンテンツの承認が得られやすくなっています。
Christine氏もこれに同調し、「信頼は時間をかけて築くもの。その信頼が、より創造的になるための余地を生み出すのです」と語りました。
6. 素早く対応し、変化に備える
企業のSNS担当者、プラットフォームの変化や政治的な緊張、予期せぬ世界的な出来事など、常に変化に直面しています。登壇した両氏は、彼らに「柔軟であること」の重要性を強調しました。
HSBCでは、SNSの仕様変更や規制の変化、世界的なトレンドを常に把握しておくことを徹底しています。また、同チームは業界の変化に対応するコンテンツを模索していて、例えば、関税に関する自社のスタンスを明確にするために、動画を活用しています。
一方、Unileverは「ビジネスインフルエンサー」と呼ばれる社内の専門家による情報発信に力を入れています。なぜそこに注力するのでしょうか? それは成果につながるからです。「社内の専門家がコンテンツを投稿すると、エンゲージメントが最大3倍になることもあります」とChristine氏は語りました。
最後に伝えたいこと
自社ブランドをより深く理解してください。ターゲットである読み手が誰で、何を求めているかを把握してください。そして新しいことへの挑戦を恐れないでください。Christine氏は最後にこう締めくくりました。「あなたたちは、ターゲットのフィード(タイムライン)が存在する権利を、勝ち取らなければならないのです」。