神戸電子専門学校で、Webアクセシビリティの出張授業を行いました
エグゼクティブエディター 上原ミツエーリンクスは社会貢献活動の一環として、日本全国の専門学校向けにWebアクセシビリティの出張授業を無償で提供しています。今回の学校法人コンピュータ総合学園 神戸電子専門学校(以下、神戸電子専門学校)が5校目となります。
実施内容について
当社エグゼクティブ・フェローの木達が、グラフィックデザイン学科 Web専攻の1年生と2年生、34名の学生のみなさまに向けて、特別授業「これからはじめるWebアクセシビリティ」をおこないました。当日は、60分の講義と30分のグループディスカッションを、それぞれ前半と後半で実施するという構成で実施しました。
前半のテーマ「Webアクセシビリティ入門」では、そもそもWebアクセシビリティとは何かという基礎知識や、なぜ取り組むべきなのか、その理由などを解説しました。グループディスカッションでは、「将来Web業界に進んだら、アクセシビリティにどう取り組みたいか」「Webアクセシビリティに対する見方は変化したか」などについて、グループ内で話し合いました。

木達の講演の様子
後半のテーマ「改正障害者差別解消法とWebアクセシビリティ」では、もとの障害者差別解消法とはどのような法律か? 改正法によって何が変わるのか? Webアクセシビリティにおいて配慮すべき点は? などについて解説しました。その後、「企業に対する合理的配慮/合理的調整の法的義務化に賛成か」「オーバーレイのようなソリューションは必要か」などについて、グループ内でディスカッションしました。

学生のみなさまによるグループディスカッションの様子
授業の様子は、神戸電子専門学校の公式Xの投稿でもご紹介いただいていますので、こちらもぜひご覧ください。
参加された学生のみなさまの感想
当日参加された学生のみなさまから寄せられたコメントを、一部抜粋・編集して紹介します。
セミナー前はアクセシビリティについてあまり理解しておらず、「誰もが使いやすいように改善する」といったユニバーサルデザインのような認識でした。しかし、お話を聞いたことで、障がい者・高齢者にとって使いやすいように改善するだけではなく、それが私たち健常者にも、価値のあることだと知ることができました。
アクセシビリティを意識したサイトを制作するにあたり、レベルの高いことでなくても、意外とこれまで自分が学んできたことを使って、できることが結構あるのだなと思いました。 例えば、しっかりマークアップを意識してコードを書くだけでも、アクセシビリティを意識できていると知ることができました。
クリエイティブにアクセシビリティを取り入れることについて、はじめは「クリエイティブの幅が狭められてしまうのではないか」と考えていました。しかし、お話を聞いてアクセシビリティを取り入れ、多くの人にとって利用しやすいWebサービスやグラフィックを制作することも、一つのクリエイティブなのだろうと考えました。私も、今後制作する機会があれば、これを意識してデザインなどをしていきたいと思います。
日本がアクセシビリティに対する意識がまだまだ低いことが現状であり、本来当たり前に取り組むべきことが、「特別なもの」として捉えられ、対策がされていないWebサイトがたくさんあることを知りました。私は、来年に就職してWeb制作に携わる予定ですが、Web制作に携わる一人の人間として、責任を持ってアクセシビリティについて学び続け、アクセシビリティが当たり前である、という意識を持ち続ける必要があるなと感じました。
今後デザインをするにあたって、アクセシビリティによって起こる企業側のコストや労力といった問題点と向き合いつつも、自分は困ってないから気にしないという考え方にはならないよう、気をつけます。かなり難しいことではありますが、健常者と障がい者の方の両方が快適に見られるWebサイトを作れるよう、取り組んでいきたいと思います。
神戸電子専門学校 菅原先生のコメント
当科は2年間という限られた期間で、Webデザインやコーディングなど、基礎からしっかり教えています。そのため、アクセシビリティのような重要なテーマであっても、カリキュラムの中だけで十分に扱うのは、なかなか難しいのが現状です。今日お話しいただいた内容も、学生にとっては初めて聞くことが多かったと思います。
だからこそ、今回のように企業の現場で活躍されている方から直接学べる機会は、本当にありがたいと感じています。専門的な知識を深めるのはもちろん、「なぜアクセシビリティが必要なのか」という背景を知ることは、学生にとって非常に大きな意味があることです。在学中に学べたことが、彼らの将来に大きな影響を与えると思います。
また、今年の当科の企業連携課題では、SDGsに取り組む企業のパンフレットや動画、Webサイトを、学生たちが制作しました。その中でも「誰もが使える」という視点は欠かせません。今日の授業は、まさにその意識を強く後押ししてくれたと思います。貴重な機会をいただけたことに、心から感謝しています。
最後に
当社では今後もこの出張授業を通じて、学生のみなさまがWebアクセシビリティについて学ぶ機会を提供していきたいと考えています。ご関心のある教育機関のご担当者がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。