品質の追求(その1)Web標準準拠

エグゼクティブ・フェロー 木達

当社はこれまで、優れた品質のWebコンテンツをお客様に提供すべく、さまざまな取り組みを進めてきました。その取り組みは現在もなお継続中であり、決して終わることのない旅のようなものと、私は捉えています。その点は、コラム「品質で選ばれ続けるために」で記したとおりです。

上記コラムの執筆を契機に、これまで歩んできた品質向上の道のりを(私が関わった範疇において、になりますが......)振り返る連載を思い立ちました。その第1回として、Web標準準拠を取り上げます。

W3Cをはじめとする国際的な標準化団体が策定するWeb技術の仕様や規格、Web標準に準拠しているかどうかは、Webで公開するコンテンツが満たすべき品質のなかでも極めて基本的かつ重要なものと考えます。コンテンツも、それを処理するWebブラウザなどのソフトウェアも、共通の仕様に準拠してこそ期待通りの処理結果(描画や動作など)を実現できるからです。

OSやWebブラウザの別を問わず、多種多様な環境において利用できることが、Webの特長の最たるものではないでしょうか。その特長を実現し、WebをWebたらしめているのが、他ならぬWeb標準と私は考えています。

今でこそ、そのような考え方は業界全体に根付き、半ば常識となっていますが、かつて当社が「Web標準準拠サービス」という、その名のとおりWeb標準に準拠したコンテンツ制作サービスをリリースした2004年より昔は、そうでもありませんでした。ブラウザ戦争を背景として、例えばInternet ExplorerとNetscape Navigator、2種類のブラウザそれぞれに異なる実装を提供することが珍しくない時代があったのです。

そのような時代を経て、徐々に業界内でWeb標準準拠が普及するなか、当社の制作するWebコンテンツの「当たり前品質」にそれを位置付けたことで当該サービスは役目を終え、サービスラインナップからは取り下げました。このWeb標準準拠の「当たり前品質」化において、大きな役割を果たしたのが「Auto Validator」です。

お客様向けのSaaSアプリケーションとして誕生したAuto Validatorは、マークアップの文法的妥当性やリンク切れの有無を機械的に検証する機能を有していました(2008年7月18日付けのニュースリリース、『「Auto Validator」をリリース』参照)。既にお客様への提供は取り止めているものの、今なお社内では現役で検品業務の一翼を担っています。

厳密・厳格にHTML仕様に準拠せずとも、モダンかつメジャーなWebブラウザであれば大抵、良きに計らって処理してくれます。しかし、Webコンテンツを処理するのは何もそのようなWebブラウザばかりではありません。Webで公開する以上、検索サービスのインデクサはもとより、さまざまなソフトウェアが処理する可能性があります。そのような可能性を踏まえるなら、制作したコンテンツのHTML品質はこれまでも、これからも重要であり続けるでしょう。

品質の追求(その2)Web標準準拠の普及に続きます。