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Designing with Web Standards

2004年10月22日

Web開発チーム フロントエンド・エンジニア
木達 一仁

Designing with Web Standards 〜XHTML+CSSを中心とした『Web標準』によるデザインの実践」という書籍が、毎日コミュニケーションズより発売されました。世界的に有名なWebデザイナー、Jeffrey Zeldman氏が著したこの本は、昨年の5月にアメリカで発売され、大反響を呼んだ同名の書籍の和訳本です。私は今回、技術校正という立場で出版に携わらせていただきました。

インターネット上の書店から原著を購入したのは、昨年の暮れのことだったように思います。原文はどちらかというとやや技巧的で、英語がそれほど得意というわけではない私にとって、ほんの少し読み進めるだけでかなりの苦労を強いられたこともありました。しかしながら、その内容は確かに素晴らしく、海外での反響の大きさも十分納得できるものでした。

Part1 ヒューストン、トラブルが発生した

本書は、Part1とPart2から構成されています。Part1のタイトルは、かつて月に向かい宇宙空間を飛行中だったアポロ13号が、異常の発生を地球に知らせたときの言葉「Houston, we've had a problem.」を流用したものです。Part1では、Web標準が過去に受け入れられなかった経緯と、近年になって積極的に利用され始めた経緯とが、非常に詳細に解説されています。

Part1を読み進めると、Webの持つ潜在的な可能性がいかに見誤られてきたか、がお分かりいただけるかと思います。本書を通じ、Web標準を利用すれば「いつでも・どこでも・どのようなデバイスを使ってでも」サイトを利用したり情報を取得できるということに、既に多くの人々が気づき始めています。

メジャーなブラウザで閲覧したときの見栄えを同じくすることに熱中するあまり、文書の構造と見栄えを一緒くたに扱おうという傾向が顕著だったことが、そのような見誤りの一つの要因だったと思います。Webは紙メディアと本質的に異なるものという認識を持ち、見栄えよりもまず情報の意味や構造を伝えることに重きを置くべきだったにも係わらず、実際にはそれが実践されていなかったのです。

特定ブラウザの特定バージョンにのみ適合するようWebサイトが構築された時代も過去にはありましたが、もはやそのような方法論では、加速する閲覧環境の多様化に対しコストが見合いません。またブラウザ側の仕様に対する準拠の遅れがWeb標準の積極利用にとって「足かせ」でしたが、比較的良く準拠したモダンブラウザのユーザーシェアは、今や十分高いものとなりました。

Part2 デザインと構築

Part2では、そのタイトルから予想される通り、Web標準をデザインツールとして実際に利用する際の具体的手法を紹介しています。Part1が万人向けのWeb標準「啓蒙書」と表現するなら、Part2は多少なりとも(X)HTMLやCSSなどの技術を使ったことのある人、あるいはWebデザインを本業としている人向けの「チュートリアル」という位置づけになると思います。

特筆すべき点は、Jeffrey氏が呼ぶところの「ハイブリッドレイアウト」を紹介していることです。これは、レイアウト目的でシンプルなテーブル要素を用いる手法です。本来であればCSSを用いたほうが、その理念と照らし合わせればより適切なのですが、過渡期における有効な手法として彼はこれを認めています。

実際、テーブル要素を用いたレイアウトであっても、音声読み上げブラウザやスクリーンリーダーにおける読み上げ順序、つまりコンテンツの線形性に十分注意しさえすれば、一定のアクセシビリティを確保することは可能です。ちなみにWCAG 1.0のレベルAは、ハイブリッドレイアウトでも準拠することができます。

Part1の中で、Jeffrey氏は「準拠」という言葉の持つイメージについて言及していますが、仕様を完全に満たすよりも、まずはWeb標準を少しでも理想的なかたちで「利用」することが求められているわけです。レイアウトをCSSで完全に制御することがゴールだとして、仮にその達成が短期的には難しいとしても、今すぐ実践できることがあれば始めよう、という彼なりのメッセージではないかと、私は感じました。

謝辞

本書は、Web標準に的を絞り、それに特化した内容であるという点において、国内初の書籍ではないかと思います。(X)HTMLやCSSについて、辞書的な使用を想定した解説書ですとか、あるいはチュートリアル集的な本は存在していても、本書のPart1にあるような、Web標準と各種ブラウザにおける歴史的背景をも含め解説しているものは他に類をみないと思います。一人でも多くの方々にお読みいただければ幸いです。

最後になりましたが、著者のJeffrey氏、翻訳を担当された石田優子氏とソシオメディア株式会社、そして本書の出版に参加する機会を与えてくださった株式会社毎日コミュニケーションズの角竹輝紀氏に、この場をお借りして心より感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。

セミナーのお知らせ

なお弊社では、近くWeb標準に関する無料のセミナーを開催いたします。セミナーではWeb標準の「Why」と「How」を、時間の許す限り詳しくお話しさせていただきます。第1回を10月29日に開催しますが、ご好評につき既に満席となっております。第2回を11月12日に開催することを決定しましたが、こちらはまだお席に余裕がございますので、興味をお持ちの方はお気軽にご参加ください。