CSUN 2015基調講演

アクセシビリティ・エンジニア 黒澤

今年も、アメリカのサンディエゴで開催されている30th Annual International Technology and Persons with Disabilities Conference (CSUN 2015)に参加しています。

CSUNはアクセシビリティに関する世界最大級のカンファレンスであり、今年で30回目を迎えます。

今日、3月3日(現地時間)は基調講演が行われました。30周年を迎える今年は、基調講演の前に30年を簡単に振り返るプロモーション動画も発表されました。動画の中では、普段あまり映像として出るのことのない、会場の混雑ぶりや盲導犬が会場を歩いている様子(CSUNの会場では多くの盲導犬が歩いています)なども映っています。

さて、今年の基調講演ではNot Impossible FoundationのMick Ebeling氏が、彼の活動を発表しました。 Mick Ebeling氏は、Help One, Help Many(ある1人の問題の解決することで、全体の問題を解決する)を掲げて活動しており、基調講演では2つの活動が紹介されました。1つは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症したグラフティアーティスト(落書き)のTempt氏向けに視線で線を描くデバイス(Eyewriter)を作る話です。

もう1つはスーダンの紛争で腕を失ったダニエル少年に義手を作るプロジェクト(Project Daniel)です。

基調講演ではEbeling氏がTo change something, build a new model that makes the existing model obsolete(何かを変えるには、いままでのモデルを時代遅れにするモデルを作り上げることです)という言葉を引用していたことが印象に残っています。Ebeling氏の活動は、特定の個人の問題がもとになっていますが、活動の成果は社会全体に影響するものです。私も自分の活動が社会の何に結びついているのかを改めて考えさせられた基調講演でした。