「Global by Design」日本語版
米国Byte Level Research社の許諾を得て、同社が運営するWebサイト「Global by Design」の記事を翻訳してお届けします。翻訳の正確性は保証いたしかねますので、必要に応じ原文を参照ください。
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スピードが命:Webグローバリゼーションで投資するポイント
(この記事は、2024年3月18日に公開された記事「Speed Kills: Your web globalization investment」の日本語訳です。)
Webサイトの表示パフォーマンスは、ちょうど天気みたいなもので、誰もがそれを話題にするけれど、実際にそれに取り組んでいる人は、まるで存在しないかのようです。
最近、表示パフォーマンスについて素晴らしい記事を読みました。ぜひ皆さんもお読みください。そのなかで、Tammy Evertsは「表示が遅いページはブランド全体の健全性を損なう」と記しています。
にもかかわらず、多くのグローバルブランドがWebサイト、特にグローバルサイトに関しては、ほとんど表示パフォーマンスに注意を払っていないことを知ったら、ショックを受けることでしょう。
過去8年間、Webグローバリゼーション・レポートカードでは、調査対象すべてのグローバルサイトでトップページの「重さ」を調査してきました。毎年、重さをキロバイト単位で測定しているのです。コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)の影響を考慮し、Webページが読み込むファイルの総容量とキャッシュの重さを平均しています。2022年の時点では、正しい方向に向かっているかもしれないと楽観視していましたが、明らかに間違った方向に向かっていることが、以下のグラフからわかるでしょう。
どのようなCDNを使おうとも、9MBの重さのWebページは世界中の多くの市場で、またアメリカを含むほとんどの先進国のモバイルユーザーにとって、遅く表示されるでしょう。
最も読み込みの遅いWebサイトを取り上げるつもりはありませんが、最も質素なのはWikipediaで、その重さは1MB以下です。これは、Webグローバリゼーション・レポートカードでWikipediaが総合1位になった数ある理由の1つです。
すぐさまWebサイトの多くが1MB以下に軽量化できるとは思いませんが、3MBを目標にすることを勧めます。これは、社内で制限を設けることで実現できます。私は、そのような企業と仕事をしたことがあり、制限を設けることや、さらには制限を遵守することがいかに難しいか理解しています。しかし、その結果は非常に前向きなものであり、読み込みの遅い他社に対して、当該ブランドは競争上の明白な優位性を得ることができました。
全150サイトの重さ順のリストは、レポートカードの最新版をご覧ください。
追記:地球環境への影響を軽減すべくWebページの重さを軽くすることには、非常に強い論拠があります。1キロバイトごとに環境負荷がかかりますので。その話題はいずれ、別の記事で取り上げましょう......。
もはやロシア語はグローバルブランドにとってトップ10言語ではない
(この記事は、2024年3月11日に公開された記事「For global brands, Russian is no longer a "top 10" language」の日本語訳です。)
ロシア語はかつて「トップ10」言語の1つとみなされ、グローバルな成長を真剣に考えている企業であれば、必ずサポートする言語と考えられていました。しかし、プーチン大統領の恐ろしい行動が、それに終止符を打ちました。
過去2年間、グローバルブランドはロシアから相次いで撤退、その一環でWebサイトを閉鎖しました。ロシア語のサポートを打ち切ったWebサイトから、ほんの数例を挙げるならHertz、Intel、Oracle、Starbucksなどがあります。
私は2年前、ロシア向けにローカライズされたWebサイトを擁するグローバルサイトが大幅に減少していることに、初めて気づきました。その減少は今年も続いていますが、ペースは鈍化しています。
一方、小規模ながら注目に値するグループ企業がウクライナ語をサポートし始めた結果、次のグラフに示すような傾向が生じました(2024年版Webグローバリゼーション・レポートカードより引用)。
ロシアの行動は多くの多国籍企業に衝撃を与えました。「どんな犠牲を払ってでも世界に進出する」という考え方は、「自国の近くに留まろう」という考え方に取って代わられています。
それこそ、主要なグローバルブランドがサポートする言語数の平均値が2022年に史上初めて減少した理由の1つです。
しかし今年、その平均値が34言語に達したことを、私は嬉しく思いました。企業は、世界に投資する価値のある機会がまだあると認識しているということです。実際、そこには多くの機会があります。
言語は目的を達成するための手段です。私のように、言語にまつわる状況を追いかけていると、一種の先導役として言語が機能していることがわかります。確かに、世界は現在、大きな課題に直面しています。グローバル化はリスクを伴う取り組みであり、それは今後も変わらないでしょう。しかし、一部の企業にとっては、グローバル化しないこともまた同様にリスクになる可能性があります。
ロシア語サポートの衰退の副作用の1つはポーランド、ベトナム、ルーマニアなどの他の市場への投資の増加です。言い換えれば、ロシアの損失は他国の利益となります。
来年に向けての私の唯一の願いは、少しでも平和が訪れることです。
Multilingual誌のサイトにQ&Aが掲載
(この記事は、2024年3月1日に公開された記事「Q&A with Multilingual Magazine on 20 years of the Web Globalization Report Card」の日本語訳です。)
最新のWebグローバリゼーション・レポートカードについて、Multilingual誌のサイトに記事が掲載されたことを嬉しく思います。記事はQ&A with John Yunker, author of The Web Globalization Report Card | MultiLingualでお読みいただけます。
Webグローバリゼーションの20年間
(この記事は、2024年2月26日に公開された記事「20 years of web globalization」の日本語訳です。)
2024年版Webグローバリゼーション・レポートカードを手短に紹介する動画を制作しました:
(訳注:動画は約11分間の長さです。音声は英語ですが、YouTubeの機能である字幕の自動生成を利用できます。)
2024年版Webグローバリゼーション・レポートカードが選んだ上位25サイト
(この記事は、2024年2月23日に公開された記事「The top 25 global websites from the 2024 Web Globalization Report Card」の日本語訳です。)
20年前、Wikipediaにはわずか数年の歴史しかなく、12くらいの言語で利用可能でした。
今日、Wikipediaは300以上の言語に対応し、2024年版Webグローバリゼーション・レポートカードにおいてトップに躍り出ました。総合トップ25サイトを以下に示します:
- Wikipedia
- Airbnb
- Bosch
- Nestlé
- Coca-Cola
- Philips
- Adobe
- IKEA
- Volvo Cars
- DHL
- Spotify
- Canon
- Microsoft
- John Deere
- Apple
- Deloitte
- 3M
- The Church of Jesus Christ of Latter-day Saints
- Ford
- Netflix
- TripAdvisor
- Pfizer
- Uber
- Tesla
Wikipediaは、多国籍企業でなくとも世界とうまくコミュニケーションできることを、改めて証明しています。世界に通用するテンプレートを制作し、あらゆる人々のために情報を創造・公開するというミッションを共有する、情熱的なコンテンツクリエイターや翻訳者を世界中から集めるだけで良いのです。
Airbnbが2位を維持したのは、顧客向けの自動翻訳(現在は生成AIとして知られる)への投資によるところが大きいでしょう。おそらく今年中には、旅行分野で同じようなコンテンツモデルを立ち上げる企業が他にも出てくるのではないでしょうか。ご期待ください。
上位25サイトのリストに目を通せば、テック企業ばかりが上位を独占しているわけではないことに気づくでしょう。Bosch、IKEA、John Deere、Pfizerといった企業にお気づきでしょうか。私が20年前にレポートカードを作り始めた頃は、ハイテク企業が上位を独占していましたが、今は違います。
上位のリストに新たに加わったうちの一社はTeslaですが、最近になってグローバルゲートウェイが改悪されなければ、もっと高い順位を獲得していたかもしれません。
これら25サイトに限れば、平均58言語をサポートしています。
これは、調査対象となった全150サイトの平均である34言語より、かなり多い数字です:
純粋にサポート言語の数だけで、上位にランクインすることはできません。最高のグローバルWebサイトの1つと見なされるには、4つの主要分野で優れている必要があります:
- グローバルリーチ(言語): インターネットはコンピューター同士をつなぎますが、人と人をつなぐのは言語です。この分野で満点を獲得するには、Webサイトがアメリカ英語を除き50以上の言語をサポートしている必要があります。
- グローバルナビゲーション: ユーザーがローカライズされたWebサイトを見つけられない場合、そのサイトは存在しないも同然です。だからこそ、グローバルナビゲーション(「グローバルゲートウェイ」)が重要なのです。
- グローバル/モバイル アーキテクチャ:Webサイトのデザインは、グローバルに一貫性を保ちながらも、ローカルなコンテンツや機能を可能にする柔軟性を備えていなければなりません。加えて、デザインはモバイルデバイスやユーザーの利用シーンに適応しなければなりません。グローバルな一貫性は、ユーザーが.comサイトとローカルサイトを行き来する際、信頼できるブランドや体験を提供するだけでなく、より効率的な管理をも可能にします。グローバルな一貫性に加え、モバイルデバイスのユーザーにも同様の(またはそれ以上の)体験を提供できるよう、サイトを構築する必要があります。レスポンシブデザインを採用するなど、モバイルデバイスでの閲覧に最適化すべきです。モバイルアプリは必須ではありませんが、アプリが利用できる場合は、デスクトップ向けのWebサイトと同等の言語サポートを提供する必要があります。
- ローカリゼーションとソーシャル:コンテンツはユーザーの国や文化、コミュニティに合わせてローカライズすべきです。ユーザーのために、すべてのWebサイトにわたってすべてのコンテンツを翻訳しなければならないわけではありませんが(そこまでする企業は稀です)、ポジティブな体験をするのに十分なコンテンツを翻訳する必要があります。言い換えるなら、ユーザーが製品やサービスを十分に理解し、購入をしたり、カスタマーサポートに問い合わせたりするのに十分なコンテンツを、自分の言語で見つけることができるかということです。さらに、現地のモデルを採用するなど、ビジュアル表現はローカライズされているでしょうか?また、ソーシャルメディア向けのコンテンツがユーザーの言語でサポートされ、ローカルサイト上で目立つようにすべきです。最後に、Webサイトが自動翻訳を使用し、コンテンツを未翻訳のままにするのではなく、ユーザーが必要に応じてコンテンツを「アンロック」できるようにしているかどうか確認します(Airbnbを参照)。
グローバルサイトのリーダーや主要トレンドについては、今後数週間のうちに、より多くを共有するつもりです。
2024年版Webグローバリゼーション・レポートカードの詳細をぜひご確認ください。
2024年は辰年
(この記事は、2024年2月9日に公開された記事「The Year of the Dragon」の日本語訳です。)
旧暦において卯年に別れを告げ、辰年を迎える時が訪れました。
これに伴い、旧正月を祝うグローバルないしローカルWebサイトを駆け足で眺める旅に出ましょう。
そしてもちろん、お祝いの赤色を多く目にすることでしょう!
まずはAppleの中国向けサイトから:
2024年版のレポートカードで取り上げたように、Appleはついにベトナム向けのローカリゼーションに着手しています。AirPodsの特別仕様を見て、私は興奮しました:
Mercedesは今年、全力で中国市場に乗り込んでいるようです:
こちらはMicrosoft China 、あまり魅力的ではありません:
Nikeはこのホリデーシーズンに向けた限定品を宣伝しています。Nikeの中国向けサイト:
そして、その限定シューズの一例をご覧ください:
そして最後にSamsung China -- やはり、インパクトには欠けます:
新年おめでとうございます!
興味のある方は、過去に掲載した記事のなかから、ハイライトをご覧ください...
Krispy Kremeがフランスに進出
(この記事は、2024年2月5日に公開された記事「Krispy Kreme goes to France」の日本語訳です。)
昨年末、Krispy Kremeは39番目の海外市場、フランスへの進出を果たしました。
それに伴い、ローカライズされたWebサイトが公開されています。
同社は、今後5年間でフランス国内に500店舗をオープンさせる予定です。
フランスには、アメリカのファストフード(ジャンクフード)チェーンが多数、進出しています。New York Times紙によると:
春にはフライドチキンのPopeyesが、フランス国内で計画されている350店舗の第1号店をパリにオープンし、大勢の客を集めました。Wendy'sもフランスへの出店計画を発表しています。Burger King、KFC、Starbucks、Domino's Pizza、Chipotle、Steak 'n Shake、Carl's Jr.やFive Guysは、長く足場を固めてきましたが、全国で数百店舗の新規出店を計画しており、急速に足場を広げています。
その先頭を走っているのは、McDonald'sです。米国に次いで、フランスは同チェーンにとって最も収益性の高い国であり、2022年には1,500以上の店舗から60億ユーロ(65億ドル)以上を売り上げています。フランスはBurger Kingにとっても2番目に大きな市場であり、昨年の売上高は12億ユーロでした。
Krispy Kremeが、ドメインにkrispykreme.frを用い、フランスの国別コードをしっかり使った点は、評価できます。あまりに多くのアメリカのブランドが、これを正しく理解していません。国別コードは重要であり、フランスのような国では特に重要です。
悲しいことに、Krispy Kremeはそのゲートウェイで、初歩的なミスを犯しました:
国旗と言語はイコールではありません。この場合、Webサイトから国旗を完全に削除したほうが良かったでしょう。国旗は地理的なリーチを制限します。英語のサイトは、イギリス在住の人向けに限定されているのでしょうか?
多くのレストランブランドと同様にKrispy Kremeは、フランスでもそうであるように、国ごとのフランチャイズ事業に依存しています。Webサイトにおいて一貫性をグローバルに維持することは、異なるオーナーに対応するWebチームが存在するため、困難な場合があります。とはいえ、グローバルな一貫性を保つことは、グローバルで信頼されるブランドイメージを維持するために非常に重要です。フランス向けWebサイトに関しては、以下に示すアメリカ向けのサイトとは、若干異なっているようです:
いま1つの比較対象として、セミローカライズされた日本のWebサイト(krispykreme.jp)を紹介しましょう。カラースキームは一貫しており、これは非常に重要です。しかし、もっとできることがあると思います。
各国の各社が協力すれば、ヘッダーにグローバルなゲートウェイ(国旗の掲載は無し)を組み込んだテンプレートを開発することができるでしょう。そしてそれは最終的に、ドーナツ愛好家にとってのメリットにもなります。
追伸:Krispy Kremeは2024年版Webグローバリゼーション・レポートカードで取り扱っていませんが、Starbucks、McDonald's、その他多くのグローバル企業を掲載します。ぜひチェックしてください!
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書籍「グローバルWebサイト&アプリのススメ」
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