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W3C Developers Meetup in Fukuoka参加レポート


チーフアクセシビリティ・エンジニア 黒澤

今年のTPACでもサイドイベントとしてDeveloper Meetupが開催されました。Meetupではアクセシビリティに関する発表が2つ、VR、WebXR、WASMに関する発表が1つずつ行われ、最後にW3C仕様の日本語訳をされている方々の紹介などがありました。この記事ではアクセシビリティに関する発表の1つと日本語訳をされている方々の紹介セッションを紹介します。

Finessing forced-colors: tailoring the High Contrast experience

MicrosoftのMelanie Richardsさんはハイコントラストモードに関する発表を行いました。

近年、CSS WGではダークモードへの対応(prefers-color-scheme)のようなユーザーの設定に応じてサイトの見た目などを調整する機能の標準化に取り組んでおり、発表では主にハイコントラストモードに関する対応が紹介されました。

※ 発表ではダークモードに関する内容もありましたが、すでに様々な場所で紹介されている内容ですのでこの記事では省略します。当社フロントエンドBlogの「近づくダークモード対応の足音」などもご覧ください。

一般に背景と文字の色のコントラスト比が高いほうが読みやすいと感じる傾向がありますが、読みやすさはユーザーや状況によって変わります。白背景に黒い文字と黒背景に白文字のコントラスト比は同じ21:1ですが、黒背景に白文字のほうが読みやすいと感じる人もいます。また、読みやすさは状況によっても変わり、昼と夜では異なる配色を読みやすいと感じるかもしれません。

ユーザーのニーズに合わせた配色でサイトを表示するために、IEやEdgeなどのブラウザーはOSの設定(具体的にはWindowsのハイコントラストモード)を自動的に認識し、背景色や文字色をユーザーが指定した色で上書きします(上書きされるCSSプロパティのリスト(現時点でのEditor's Draft))。

とはいえ、商品の色見本(color swatch)のように特定の色で表現したほうが良い場合もあります。そのような調整を行うためにforced-colorsメディアフィーチャー(現時点でのEditor's Draft)やforced-color-adjustプロパティ(現時点でのEditor's Draft)が提案されています。forced-colorsを使うとハイコントラストモードかどうかに応じてCSSを設定でき、forced-color-adjustを使うとハイコントラストモードでもブラウザーが色を変更しないように指定することができます。

@media (forced-colors: active) {
     .class {
        forced-color-adjust: none;
    }
}

のように指定すると、ハイコントラストモードでも.classの背景色や文字色を維持することができます。

今のところforced-colorsを実装したブラウザーはなく、IEとEdgeが標準化のもとになった独自拡張を実装しているのみですが、今後、標準化された仕様をMicrosoftがChromium(Blink)に実装する予定とのことです。

なお、アクセシビリティに関するもう片方の発表はGoogleのAlice Boxhallさんによる「Accessibility and Innovation」で、アクセシビリティ対応がイノベーションを生んできた事例をWebに限らず紹介されていました。

Recognizing the W3C Japanese translators community

MeetupではW3C技術文書の日本語訳を行っている方々の紹介と記念品贈呈も行われました。

W3Cの仕様は英語で公開されており、英語が母国語でない人にとってはそのまま読むのが難しいのも事実です。実際には、ボランティアの方々を中心に数多くの仕様に対して日本語訳が公開されており、私も一度ならずお世話になっています。日本語訳は世界的に見ても突出して多く、W3C勧告の1/3にあたる数(90前後)に上るとのことでした。Meetupで表示されていたスライドを見る限り2位はフランス語で30前後ですので、日本語訳の数が非常に多いことがわかります。

このような日本語訳を公開している方として、今回のMeetupで以下の方々が紹介され、記念品の贈呈がおこなわれました(発表順)。

壇上で紹介される3氏(左から上綱さん、中村さん、高村さん)

日本語訳を公開されている皆さまの活動には頭が下がります。いつもありがとうございます。

※ 中村は当社社員ですが日本語訳の公開は個人としての活動のため敬称をつけています。ご了承ください。

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