スクリーンリーダーが出力する音

アクセシビリティ・エンジニア 大塚

スクリーンリーダーが画面上の情報を合成音声によって読み上げることは比較的知られているのではないでしょうか。しかし、スクリーンリーダーはそのほかにもWebページや文書を閲覧する際に役立つ様々な音声を出力します。今回は、そんなスクリーンリーダーが出力する音声を3つご紹介します。

1つ目が、ビープ音によるプログレスバーの出力です。NVDAでは、プログレスバーの進捗状況をビープ音の高さから判断できます。進行するにつれて音が高くなるため、視覚的に確認するのと同様直感的に状況を把握できます。これは、NVDAの[設定]から[オブジェクト表示]を選択し、[プログレスバー出力]を変更することで設定できます。以下はNVDAを使用し、Progress Bar (Bounded)のサンプルを読み上げた際の音声です。

2つ目が、ビープ音による行インデントの報告です。こちらもNVDAで利用でき、タブやスペースでインデントが設定された行を読み上げさせると、ビープ音の高さによってインデントの深さを確認できます。Word文書やマークダウンなど、インデントを多用する文書を確認する際に役立ちます。これは、NVDAの[設定]から[書式とドキュメント情報]を選択し、[行インデント]を変更することで設定できます。以下はNVDAを使用し、サンプルとして作成した行インデントが設定されたテキストを読み上げた際の音声です。

そして3つ目が、PC-Talkerと組み合わせて利用できる音声ブラウザであるNetReaderで利用できるサウンドによる要素の報告です。これは厳密にはスクリーンリーダーの機能ではないのですが、見出しや画像、フォームなどの特定の要素にフォーカスが移動した際に、読み上げに加えてそれぞれの要素に設定された専用のサウンドを再生できます。NetReaderの[環境]メニューの[読み上げオプション]からそれぞれの要素の読み上げ方を変更できます。以下は、PC-TalkerとNetReaderを使用し、ミツエーリンクスのトップページの見出しの一覧を読み上げた際の音声です。

合成音声による読み上げに加え、上記で紹介したような音声によるフィードバックが利用できるメリットとしては、読み上げを聞くのと比べてより素早く状況が把握できること、音の高さの変化などからより直感的に状況が把握できるというものが挙げられます。サンプルをお聞きいただくと、単純に音声のみで情報が伝えられるのと比較し、直感的に状況が把握できることがイメージいただけるのではないでしょうか。

このように、スクリーンリーダーには様々な音声によって状況を伝える機能が存在します。私自身も記事で紹介した機能を業務や日常生活の中で頻繁に活用しています。