デジタル庁がウェブアクセシビリティ広報向けガイドブックを公開
アクセシビリティ・エンジニア 中村(直)デジタル庁が公開しているWebアクセシビリティの資料として、ウェブアクセシビリティ導入ガイドブックが知られていますが、10月16日付けで更新されました。これと同時に、ウェブアクセシビリティ広報向けガイドブックという文書が公開されました。
この広報向けガイドブックは、
ウェブアクセシビリティ導入ガイドブックが、ウェブアクセシビリティの基礎や確保する上で達成すべきことなど、ウェブアクセシビリティ導入の契機となることを記しているのに対し、本広報向けガイドブックは、ウェブサイト構築後に作成・追加されるコンテンツのアクセシビリティをどのように確保すべきかに焦点を当てました。特に、動画やSNSを活用したコンテンツ作成において、行政の広報担当者が心掛ける点や満たすべきポイントを記載しています。
と位置付けられています。
動画については、「映像コンテンツ・動画配信におけるアクセシビリティ」という章が設けられています。その中では、「キャプション(字幕)」「手話」「音声ガイド(音声解説)」「書き起こしテキスト」とひととおりのものを取り上げており、日本語で動画に関するWebアクセシビリティの入門的なまとまった情報が入手できるという観点で画期的なものではないかと思われます。(より発展的な内容としては、W3CのMaking Audio and Video Media Accessibleというリソースが存在します。W3C WAIによる音声や映像メディアをアクセシブルにするための手引きもご覧ください。)
SNSについては、「画像の代替テキスト」「動画のキャプション(字幕)」について言及されており、Webアクセシビリティの機能を活用するよう促しているのが印象的でした。
個人的に目をひいたのは「2.4.4 PDF、スライド等の資料は、適切なフォーマットになっているか確認する」として、PDFについても言及されている点でしょうか。その中で「まずはHTMLページとして作成・公開できないかを確認してください。」としつつも、「PDF、スライド等の体裁が望ましいと判断された場合であっても、各フォーマット、各アプリケーションが有するアクセシビリティ機能・設定を可能な限り整えた状態にしてください。」としているのは好感が持てます。ちなみにアクセシビリティBlogでは過去にMicrosoft PowerPointについて、
といった記事がありますので、あわせてご覧ください。
このように、かゆいところに手が届いているのがウェブアクセシビリティ広報向けガイドブックといえるでしょう。興味のある方は一読してはいかがでしょうか。