Web Sustainability Guidelines(WSG)1.0が公開

エグゼクティブ・フェロー 木達

W3CのSustainable Web Design Community Groupが、8月30日付けでWeb Sustainability Guidelines(WSG)1.0を公開していました。このガイドラインは、Webサイトをよりサステナブルに、つまり持続可能にするための幅広い推奨事項、ベストプラクティスを列挙したものです。

ガイドラインは、持続可能な社会の実現に必要な、あらゆる戦略やメカニズムを網羅しているわけではありません。しかし、ガイドラインに従うことで、Webサイトの構築・運用に伴い発生する環境負荷を最小限に抑えることが期待できる、とされています。

また副次的に、Webコンテンツがよりアクセシブルで使いやすく、パフォーマンスに優れたものになることも、ガイドラインに従うことの効果として記されています。推奨事項は

  • ユーザーエクスペリエンスデザイン
  • Web開発
  • ホスティング、インフラストラクチャ、システム
  • 事業戦略と製品管理

の4つのカテゴリに大別され、全部で93のガイドラインと、232の達成基準が定義されています。WebコンテンツのアクセシビリティについてのガイドラインであるWeb Content Accessibility Guidelines(WCAG)からインスピレーションを得ていただけあって、この構成はWCAGに近いものがあります。

個々のガイドラインには、その影響とコストがそれぞれ3段階(Low / Medium / High)で付記されています。例えば、フロントエンドに関するガイドラインを例に具体的に紹介しますと、「3.8 正しくHTML要素を使う」というガイドラインは、影響とコストともにMedium、中くらいと定義されています。ちなみに、同ガイドラインには以下の3つの達成基準が設けられています:

セマンティックなコード
コンテンツが、適切なHTML要素を使用し、意味的にマークアップされていることを確かめてください。
非標準のコードは避ける
非標準の要素や属性を使用することは避けてください。
カスタムなコード
ネイティブのHTML要素を使用できない場合や、デザインシステムに定義されたコンポーネントの使用が厳格に求められる場合にのみ、カスタム要素またはWebコンポーネントを使用してください。

既に触れたとおり、Webのフロントエンドにとどまることなく、WSG 1.0は非常に広範な内容を含んでいます。しかし、気候変動をはじめとする社会課題に取り組む意義や重要性が日増しに高まるなか、その内容について知っておくことは、フロントエンドに特化して従事する立場であっても有意義でしょう。ただし、WSG 1.0が現状、コミュニティグループのレポート草案である点には、注意が必要です。

WSG 1.0を読み始める前に、その要約版という位置付けのWeb Sustainability Guidelines(WSG)1.0 at a Glanceを読むと、全体像を掴みやすいかもしれません。また、ガイドラインの執筆者の1人で、書籍『Designing for Sustainability』の著者で知られるTim Frick氏のBlog記事、Introducing the Web Sustainability Guidelinesも、おすすめです。