構造化データとは?メリット・種類・マークアップ・ツールを解説

アナリスト 堺

2020年頃からよく耳にするようになった「構造化データ」。結局のところ「そもそも構造化データはどういうもの?」「どのように記述すればよいのか?」「メリットは?」といった、疑問をお持ちの方も多いのはでないでしょうか。
そこで、今回は「構造化データ」について、以下の目次にそって、詳しく解説していきたいと思います。

目次

  1. 構造化データとは?そのメリットとは?
  2. リッチリザルトとリッチスニペットとの違いは?
  3. リッチリザルトと強調スニペットの違いとは?
  4. リッチリザルト表示にするメリット
  5. 構造化データを構成する要素
  6. リッチリザルトの種類とマークアップ例3選
  7. 構造化データを簡単に作成できるツール
  8. 構造化データの検証ツール
  9. 構造化データをGoogleが認識できているか確認
  10. 構造化データは導入すべき?

構造化データとは?そのメリットとは?

構造化データは、ページに関する情報を提供し、そのコンテンツ(たとえば、レシピページの場合は材料、加熱時間と加熱温度、カロリーなど)を分類するために標準化されたデータ形式です。
人間は前後の文脈からテキストの意味が理解できますが、検索エンジンはテキストを単なる文字列としか認識できません。例えば、「さんま」というキーワードが「明石家さんま」なのか「秋刀魚」なのかが理解が難しいということです。そこで、テキストに意味や情報を加える、つまり構造化データを提供することで、検索エンジンはそのページをより正確に理解できるようになります。
検索エンジンがテキストを理解できるようになると、ユーザーにとってより有益な情報(リッチリザルト)を検索結果に表示できるようになります。

構造化データは、簡単にまとめると2つの機能(メリット)があります。

  • 検索エンジンがページを理解しやすくなる
  • ユーザーにとってより有益な情報(リッチリザルト)を検索結果に反映できる可能性がある

この構造化データは、W3C(Web関連技術規格の標準化団体)の「セマンティックWeb」の考え方を実現するものとして生まれました。

参照:Google 検索セントラル|構造化データの仕組みについて

セマンティックWebとは?

セマンティックWebは、World Wide Webの考案者でもあるW3CのTim Berners-Lee(ティム・バーナーズ・リー)氏が提唱したものです。Webの利便性向上を目的に、Web上のデータを検索エンジンが理解できるように意味付けし、検索エンジンがより適切に情報を扱える状態を目指しているものになります。

前述の通り、検索エンジンは書かれている文字列は読み取れても、その意味を理解することは難しいです。そのため、コンピューターが自動で情報を解析・分析できるよう、情報に「意味(=セマンティック)」を付与することが求められるようになりました。そして、「意味を付与する」ために必要となるのが、構造化データなどの「メタデータ」です。

また、構造化データによってリッチリザルトが表示されればユーザーは一目で欲しい情報にアクセスできるようになり、この意味でも利便性が向上します。セマンティックWebを取り入れることによって、よりユーザーに寄り添ったサイトになっていくと言えるでしょう。

リッチリザルトとリッチスニペットとの違いは?

「リッチリザルト」と似た用語でよく耳にする「リッチスニペット」ですが、どういった違いがあるのかを解説していきます。

検索結果で表示されるページタイトルやURLの下に表示される説明文を総称して「スニペット」と呼びます。また、文章だけでなく、画像や手順、レビューといったスニペットの表現を豊か(rich)にする拡張機能が「リッチスニペット」です。

Googleではリッチスニペット以外にも「リッチカード」という名称がありましたが、この2つをまとめて「リッチリザルト」として呼ぶことになりました。

リッチリザルト

リッチリザルトと強調スニペットの違いとは?

「リッチリザルト」と似た用語でもう1つよく耳にする「強調スニペット」についても、どういった違いがあるのかを解説していきます。

強調スニペットとはユーザーがGoogle検索で「〇〇とは」などの検索をした際に、検索結果の上部に回答となる情報を強調して表示する仕組みのことを指します。強調スニペットにはWebページから抽出された回答の概要をはじめ、ページへのリンクやタイトル、URLが表示されます。欲しい情報を素早く確認することができるため、効果的にユーザーからの注目を集めることが可能です。

参照:Google 検索ヘルプ|Google の強調スニペットの仕組み

レポート作成

リッチリザルト表示にするメリット

構造化データを実装したからといってSEOにおけるランキングがすぐに上がるわけではありません。
しかし、検索結果を他のサイトと差別化したり、無機質な検索結果ではなく、画像などの視覚的な検索結果を表示させたりなど、検索結果内の表示領域の拡大でクリック率の向上が見込めます。

構造化データを構成する要素

構造化データには値を表す役割の「ボキャブラリ」と、その記述方法となる「シンタックス」が存在します。構造化データはこの2つの要素をもとに構成され、HTML上に直接マークアップすることでリッチリザルトを検索結果で表示できるようになります。

ボキャブラリ

ボキャブラリは構造化データの情報を定義する辞書のようなものです。人の名称を"name"、住所を"address"と記述することで、当該プロパティがどういった情報なのかを検索エンジンに伝えていきます。

現在(2021年11月時点)、Googleがサポートしているボキャブラリーとしては、Google、Yahoo!、Microsoftの大手検索エンジン企業が共同で取り組んでおり、「schema.org」という規格が代表的です。

参照:schema.org

シンタックス

ボキャブラリーが値を定義しているのに対して、シンタックスは実際にマークアップする際の仕様のことを指します。シンタックスの中でschema.orgによって定められ、Googleがサポートしているものは以下の3つです。

  • Microdata
  • RDFa Lite
  • JSON-LD(Google推奨)

参照:Google 検索セントラル|構造化データの形式

リッチリザルトの種類とマークアップ例3選

それでは実際にどんなリッチリザルトがあるのか、どうやってマークアップするのか、今回はJSON-LDのみを例に紹介していきます。

パンくずリスト(検索結果)

パンくずリスト

パンくずリスト(マークアップ)


    <script type="application/ld+json">
      {
        "@context": "http://schema.org",
        "@type": "BreadcrumbList",
        "itemListElement": 
        [
          {
            "@type": "ListItem",
            "position": 1,
            "item":{
              "@id": "URL",
              "name": "TOP"
            }
          }, {
            "@type": "ListItem",
            "position": 2,
            "item":{
              "@id": "URL",
              "name":"第二階層"
            }
          }
        ]
      }
    </script>
  

レシピ(検索結果)

レシピ

レシピ(マークアップ)


    <script type="application/ld+json">
      {
        "@context": "https://schema.org/",
        "@type": "Recipe",
        "name": "ハンバーグ",
        "author": {
          "@type": "Person",
          "name": "ミツエイ 太郎"
        },
        "datePublished": "2021-11-25",
        "description": "ハンバーグのおいしいつくり方",
        "prepTime": "20分"
      }
    </script>
  

FAQ(検索結果)

FAQ

FAQ(マークアップ)


    <script type="application/ld+json">
      {
        "@context": "https://schema.org",
        "@type": "FAQPage",
        "mainEntity": 
        [
          {
            "@type": "Question",
            "name": "Q1:構造化データってなんですか?",
            "acceptedAnswer": {
            "@type": "Answer",
            "text": "検索エンジンがテキストを理解できるようにし、ユーザーにとってより有益な情報(リッチリザルト)を検索結果に表示できるようにするデータです。"
            }
          },{
            "@type": "Question",
            "name": "Q2:リッチリザルトを表示させるメリットはありますか?",
            "acceptedAnswer": {
            "@type": "Answer",
            "text": "検索結果内の表示領域の拡大により、クリック率の向上が見込めます。"
            }
          }
        ]
      }
    </script>
  

他にもGoogleで規定されているリッチリザルトの種類は30種類以上です。詳しくは、「Google 検索セントラル」の「上級者SEO」→「機能ガイド」より全て確認できます。

実装がよくわからない場合は、ぜひ当社の解析チームにお気軽にお問い合わせください。

構造化データを簡単に作成できるツール

マークアップできる種類は限られますが、「構造化データマークアップ支援ツール」というGoogleのツールを使えば簡単にマークアップを作成することができます。

マークアップしたい情報を選択し、該当するページのURLを貼り付け「タグ付けを開始」を押します。

構造化データマークアップ支援ツール

ページ上でハイライトを付与し、その箇所は「何の情報か」を選択します。
ハイライトを付ける作業が終わったら、「HTMLを作成」から構造化データを生成します。

構造化データマークアップ支援ツール

こちらのツールですが、Google 検索のリッチスニペット表示に必要な構造化データの最新の要件を必ずしも反映していません。古い要件に従ったままでは、構造化データを正しくマークアップできないことがあります。

ですので、マークアップ後は公式ドキュメント(Google 検索セントラル)で必ず調べて対応できているか確認しましょう。

構造化データの検証ツール

作成した構造化データをテストすることができるツールが2つあります。

リッチリザルトテスト

構造化データをテストするための Google の公式ツールで、ページの構造化データで生成される Google のリッチリザルトを確認できます。Google 検索でリッチリザルトがどのように表示されるかをプレビューすることもできます。

まず、調査したいページのURLを打ち込むか、コードを直接入力します。

リッチリザルトテスト

正しくマークアップされていれば以下のような画面となります。

リッチリザルトテスト

スキーマ マークアップ検証ツール

ページに埋め込まれている Schema.org ベースの構造化データをすべて検証します。Schema.orgが定義しているすべての構造化データについて、文法の正確さをチェックできます。文法の正確さのみを確認するため、Googleが定めるリッチリザルト表示に必須のプロパティが抜けていたとしても確認できない点には注意が必要です。

こちらも、リッチリザルトテスト同様に調査したいページのURLを打ち込むか、コードを直接入力します。

スキーマ マークアップ検証ツール

正しくマークアップされていれば以下のような画面となります。

スキーマ マークアップ検証ツール

構造化データをGoogleが認識できているか確認

最後に、Search Consoleでクローラーがサイトから構造化データを読み取ることができたかどうかを確認し、エラーに関する情報を確認しましょう。

Search Consoleのメニューの「拡張」から構造化データごとにエラーがないかを確認することができます。

Search Console構造化データ確認

構造化データは導入すべき?

検索エンジンは人間と同様にはテキスト情報を認識することができないため、伝えたい情報がある場合は構造化データ形式を用いることが必要です。

近年Googleは検索結果画面で様々なリッチリザルトを用いるようになっています。これは検索エンジンがページから必要な情報を抜き出し、ふさわしい情報を持っていると判断したページを表示する仕組みです。良質なコンテンツを作成し、検索エンジンに正しく情報を伝えることが重要となってきます。

検索結果でリッチリザルトを表示させることで自社のWebサイトを目立たせる効果が期待でき、特に求人やレシピサイトなどは、適切な構造化データを記述することで特別枠からの流入も見込むことができます。一方で、検索結果の機能は日々追加されており、これに伴いGoogleが利用する構造化データのプロパティも増えています。もし構造化データを含めたSEOのことでお悩みがあれば、ぜひ当社の解析チームにお気軽にお問い合わせください。